M&A BANK Copyright©idealink Inc., All rights reserved.

売り手にとってのM&A|フォーサイト総合法律事務所大村代表コラム Vol.1 | M&A BANK

コラム

M&A BANK > コラム > 売り手にとってのM&A|フォーサイト総合法律事務所大村代表コラム Vol.1

2018.06.13

売り手にとってのM&A|フォーサイト総合法律事務所大村代表コラム Vol.1

  1. HOME
  2. Twitter
  3. Facebook
  4. はてなブックマーク

ベンチャー界隈No.1との呼び声の高いフォーサイト総合法律事務所・大村代表パートナー弁護士をお招きして、ベンチャー企業経営者にとってのM&Aについてたっぷりお話しいただきました。
IPOを目指していた、またはIPOを目指しているものの、M&A(バイアウト)についても理解を深めたい経営者必見の連載です。
普通はなかなか教えてもらえないM&Aの実情についても大公開してくださいました。
ぜひ最後までお楽しみください。

資金の調達方法によってM&Aの状況は大きく変わる

まず基本的な前提として、ベンチャー企業のM&A(バイアウト)と、老舗企業の事業承継的なM&Aは似て非なるものです。老舗企業の場合はデット(借入)で資金調達をしていて、同族会社で事業承継をしたり、株を譲渡するケースが大半です。一方、ベンチャーの場合はベンチャーキャピタル(VC)等の外部資本が入っていることが多く、さらにここ3、4年で、普通株でなく優先株を発行して多額の資金調達をすることが多くなってきています。それらの資金調達の条件によってM&Aの状況は大きく変わってくるので、その点についてまずご理解いただく必要があると思います。

優先株を発行している場合は要注意

特に注意が必要なのは、優先株を発行して資金を調達しているケースです。従来は普通株だけでしたが、このところ優先株の発行が増加してきています。

優先株は、「みなし清算条項」等といったバイアウト時の残余財産分配と同様の優先の定めを置くことにより、ダウンラウンドのバイアウトの場合にもVC等の投資家が損をしないように設計されていることが多いです。例えばある企業が資金調達したラウンドよりも企業価値が下がってしまった(=ダウンラウンド)ときに株を売却する状況になり、このときVCが企業価値10億円のうち普通株を10パーセント持っている(=1億円出資している)とすると、仮にこの企業が5億円で売却することになったとき、VCは10パーセントの普通株なので5000万円しか回収できません。
ところが、これが普通株ではなく優先株だと少なくとも出資額の1倍(1倍~2倍程度で設計されていることが多いため)は取ることができ、さらに契約内容によっては残った売却代金の中から10パーセント程度の金額を回収できる場合もあります(「参加型」と言われています)。例えば企業が5億円で売却される場合でも、出資した1億円に加えて残り4億円の10パーセントである4000万が追加され、1億4000万円を回収できるといった具合です。

買い手は株を100%取得したがるが、難しい場合も多い

さらに、株主間契約を締結しているケースでは、ベンチャー企業は優先株の問題だけではなく、他の株主に対して配慮する必要もあって複雑になりがちです(ベンチャー企業で外部資金を調達している場合、株主間契約を締結している場合が多いと思われます)。ただし、ベンチャー企業でも外部資金を調達していない(=株式の発行で資金調達をしていない)場合のM&Aなら、従来の事業承継と変わりません。

東証1部の会社が子会社譲渡をする場合は「株式を持つのは51%でよい」というケースもあるかもしれませんが、ベンチャー企業を買収する場合は、通常株式の100パーセントを取得したいと考えるものです。しかし、それは買収する際に既存の株主とコンセンサスが取れなければできません。既存の株主が嫌だと言えば、5パーセント、10パーセントの株が既存の株主のもとに残ります。ただし、今の会社法では、90パーセント以上株式を持っている株主には「売渡請求権」があるため、90パーセントの株を持っていれば、法的に残り10パーセントの株主をスクイーズアウトする(=株主にお金を支払って、強制的に出て行ってもらう)ことは可能です。ただし、費用も時間もかかるので、バイサイドは基本的にこの方法を嫌います。

これが同族会社であれば、みんなで話し合えば既存の株主が株を売ってくれる流れになるでしょうが、資金調達をしているベンチャー企業の場合は、既存の株主がうんと言ってくれないと株を取得できません。特にダウンラウンドの状況では売ってくれない場合が多いです。民間VCなら「仕方ない」と諦めてくれることもありますが、特に政府系のVCは税金を投資しているので、なかなか応じてもらえません。そこで株主間の調整が必要になるのです。

そういった理由で、ベンチャー企業のM&Aと一言で言っても、資金調達をしているか、していないか、事業承継系なのかで、M&Aのやり方やセルサイドとしての立場は大きく違ってきます

次回更新は6月17日(日)、資金調達のスキームとM&Aへの影響について、さらに詳しく解説いただきます。

■大村 健氏:フォーサイト総合法律事務所‐代表パートナー弁護士
代表を務める法律事務所は、生え抜きの弁護士・司法書士が所属し、幅広い業種のベンチャー企業に対する法的支援業務を展開する。IPOや市場変更、M&Aの支援実績も多数。複数の上場企業で社外役員も務める。
  1. HOME
  2. Twitter
  3. Facebook
  4. はてなブックマーク

新着M&Aインタビュー

もっと読む

新着M&Aニュース

もっと読む

アクセスランキング

案件情報をお探しの方 担当からすぐに連絡いたします。



連絡手段の希望:
電話メール