「最高額での売却 = 最高のイグジット」とは限らないーー後悔しないM&Aの為に | M&A BANK
アドバイザー対談

「最高額での売却 = 最高のイグジット」とは限らないーー後悔しないM&Aの為に

M&Aにおいて、自社の価値を適正に評価してもらうことは極めて重要です。しかし、「提示された金額が最も高い買い手」を選ぶことが、必ずしもオーナー経営者にとって「最高のイグジット」になるとは限りません。
実際、M&A BANKのアドバイザーが支援した直近の成約案件でも、最高額の意向表明(LOI)を選ばず、あえて別の買い手との道を選んだケースが続いています。
一生に一度の大きな決断において、経営者は数字の向こう側に何を見ているのか。後悔しないM&Aを実現するための「判断のポイント」を、アドバイザーの斎藤と小林が紐解きます。

数字を超えた「信頼関係」が意思決定を左右する

斎藤:今日は「最高額の買い手を選択しないケース」という、非常に本質的なテーマでお話していければと思います。M&Aを検討している経営者の方とお話ししていると、どうしても「いくらで売れるか」という点に意識が向きがちですよね。もちろん、それは経営者としての正当な関心事です。しかし私たちM&A BANKのアドバイザーが共通して持っている認識は、「最高のイグジット体験=最高額のディール」とは限らない、ということです。

小林:本当にそうですね。面白いもので、私が担当して直近で成約した案件を振り返ってみても、実は続けて「最高額の意向表明」を選んでいないんですよ。

斎藤:続けてですか。それは、これからM&Aを考える経営者にとって非常にインパクトのある事実かもしれませんね。金額面で一番高いオファーがあったにもかかわらず、売り手がそれを選ばなかった。そこには、数字を超えたどのような「決め手」があったのでしょうか。

小林:一言で言えば、買い手との「信頼関係」がどこまで築けたか、に尽きると思います。単に「気が合う」といった表面的な仲の良さではありません。オーナー経営者が「この人たちなら、自分が手塩にかけて育てた会社と従業員を安心して預けられる」と、腹の底から確信できるかどうか。その確信が、数千万、時には億単位の金額差を凌駕することがあるんですよね。

斎藤:経営者にとって、会社は自分の分身のようなものですからね。その「分身」を託す相手として、単に資金力があるというだけでは不十分だということですね。

小林:まさにそうですね。だからこそ、トップ面談以降の接点や、グループイン後の具体的なビジョンをどこまで共有できているかが重要になります。最高額を提示した企業よりも、自分たちの強みを深く理解し、「グループインすることで、これだけの相乗効果が生まれる」という具体像をロジックで示してくれた企業の方が、結果として選ばれているんです。これが現場のリアルですね。

アドバイザーは「一生に一度の縁」を結ぶ仲人

斎藤:よく「M&Aは結婚」に例えられますが、私たちアドバイザーの役割は、単なる条件交渉の代理人ではありません。売り手である経営者の人生が譲渡後も豊かになるような縁を繋ぐ「仲人」としての責任があると思っています。

小林:その通りですね。「買ってくれれば誰でもいい」というわけではない。買い手企業がこれまでどのようなM&Aを行い、譲渡された側の従業員が今どう輝いているか。そのような面にも気を配り、「紹介責任」を果たすことが、私たちM&A BANKのプライドでもあります。

斎藤:時には、条件が良くても「この買い手は、売り手の文化には合わない」と判断すれば、あえてブレーキをかけることもありますよね。

小林:昨今、特異な買い手によるトラブルが注目されましたが、そのような買い手に気付くことで売り手を守り、一生に一度の決断を正しく導くこと。この見極めこそが、プロが介在する最大の意味かもしれません。

自分たちの価値を、深く理解し、尊重してくれる買い手

斎藤:とはいえ、信頼関係だけでなく「条件」も当然重要です。もし、信頼関係がどちらも良好だとしたら、普通は金額が高い方を選びますからね。それでもあえて、最高額ではない方を選ぶ理由について、もう少し具体的に掘り下げてみたいです。

小林:私が担当した事例で非常に印象的だったのは、譲渡金額の算出根拠の「誠実さ」かもしれません。最高額を提示した企業は、ある種「相場」からシンプルに算出した数字でした。一方で、選ばれた企業は、その金額を下回っていたものの、自社と合流した後に生まれる「シナジー金額」まで詳細に計算し、それを明示した金額を提示してきたんです。

斎藤:なるほど。単なる「利益の○倍」という計算式ではなく、「御社と一緒になることで、これだけ新しい価値が生まれるから、この金額を支払いたい」という、グループイン後の具体的な画を示した数字だったわけですね。

小林:そうです。「この事業計画なら絶対にこれだけ伸ばせる」という確信を、緻密なロジックで表明してくれる。その姿勢が、売り手には「自分たちの価値を、買い手側が誰よりも深く理解し、尊重してくれている」という安心感に繋がったんです。

社長の体温が伝わる「直筆」と「書き直し」

斎藤:意向表明書(LOI)は、まさに買い手からの「ラブレター」ですよね。

小林:以前、ある買い手企業の役員から伺った話ですが、部下が作成した事務的な意向表明書のドラフトを社長が見て、「こんな事務的な内容じゃダメだ、相手に失礼だ。もっと気持ちを込めろ」と突き返して、すべて書き直すことを命じたそうです。

斎藤:素晴らしいご方針ですね。

小林:はい。最終的には、その社長自身が「なぜ貴社が必要なのか」「譲渡後に従業員の皆さんにどう活躍してほしいか」を、自身の言葉で備考欄に書き添えた。中には、そのメッセージをわざわざ「直筆」で添える買い手トップもいます。

斎藤:その数行の重みは、計り知れないですよね。普段、誰にも相談できず孤独に経営判断を下しているオーナー経営者にとって、相手方のトップが自ら筆を執り、情熱をぶつけてくるという「ウェットな接触」は、何物にも代えがたい感動を与えます。

小林:そんなことをされたら、経営者として痺れてしまいますよね。そこで一気に「この人に託そう」と恋に落ちてしまうような感覚になる、その気持ちも分かります。ドライな入札(オークション)形式では決して得られない、人間的な共鳴が成約の決め手になるんです。

言語化されていなかった「本当のニーズ」を掘り下げる

斎藤:買い手の熱意に打たれるのは素晴らしいことですが、一方でアドバイザーとしては、売り手が「あの時、もう少しこういう観点でも選んでおけばよかった」という後悔がないよう、フラットな視点を持っていただくための動きを作るべきだと考えています。

小林:確かに、そうですね。熱狂の中でも冷静に判断できる「評価基準」や「観点」をプロの目線でお伝えする。これも私たちの重要な仕事です。

斎藤:はい。案件をトントン拍子に進めたい方もいれば、一つひとつ石橋を叩いて進めたい方もいらっしゃる。大切なのは、売り手としっかり対話を重ねて「今回の譲渡を通じて、何を求めていらっしゃるのか」を改めて定義し、納得感のある合意形成(コンセンサス)をしていくことですよね。

小林:それで言うと、結局は「原点」に戻りますよね。「なぜ今、会社を売却したいのか。」その理由を、私たちアドバイザーが正しく捉えられているかどうかが勝負です。

斎藤:売り手ご自身の中でも、売却の理由は意外と「おぼろげ」だったりしますからね。

小林:そうなんです。ご自身でも気づいていないような想いを、私たちがヒアリングを通じて「言語化」していく。そこまで深く掘り下げて初めて、大事な場面で「間違った決断」をすることを防げるんだと思います。

斎藤:本当におっしゃる通りです。事業計画を一緒に作っている最中に、「あ、うちの会社って、もっとこうすれば伸ばせるんだ」と売り手がハッとされる瞬間がありますよね。第三者であるアドバイザーと話して初めて、「自社の真の価値」や「本当に行きたい方向」に気づけることもある。

小林:その気づきを提供できることこそが、アドバイザーとしての醍醐味であり、最高のイグジット体験への第一歩になりそうですね。

 

総括:安心感と誇りを守る、M&A BANKのビジョン

M&Aは、決してドライな数字のオークションではありません。それは、経営者が心血を注いできた事業という「魂」を、次の世代やパートナーに託す、極めて人間的な営みです。

最高額のオファーを選択しないという決断の裏には、従業員の未来、取引先との関係、そして何より「自分の会社を本当に任せられるか」を純粋に願う、経営者のひたむきな姿勢があります。

M&A BANKは、単なるマッチングにとどまらず、経営者の皆様が「この決断に悔いなし」と胸を張って次のステージへ進めるよう、数字の多寡だけでは測れない「最高のイグジット体験」を全力で支援してまいります。安心感と誇りを守る――それが、私たちの目指すM&Aのあり方です。

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