2018.10.02
M&Aにも通ずる、IRのテクニック|Vol.084
金さん、時価総額はどうしたら上がるんでしょうか。
島袋
今回はちょっと久しぶりに、IRTVの金社長にお越しいただきました。
金さん、上場企業で同じネットのサービスをやっていても、時価総額が全然違う会社がありますよね。やっぱりそこはIRが重要なのかなと思っているのですが、いかがでしょうか。
金
IRはInvestor Relationsなので、いかに投資家、株式を買ってくれる人とコミュニケーションするか、彼らをどう攻略するかというものです。
結果としてその辺りを突くのが上手い会社の時価総額が上がっていったり、一定数上がってキープする、ということがありますね。
島袋
シェアリングテクノロジーさんはやっぱりすごいですよね。
金
シェアリングテクノロジーさんは面白いと思います。売買代金や出来高を見れば、どれだけマーケットから注目されてるか指標としてわかります。関心度みたいなものなので。シェアリングテクノロジーさんは、株式市場の中でそういった評価がある程度高いですね。
現在、上場企業は3650社あって、日本の東京証券取引所の中の現物の取引のお金は2017年去年で約800兆円ぐらいなんですね。
800兆円が取り合われるような形で3650社に行き渡るわけですから、やっぱりお金を出す側からしたら、「わかりやすく配当を出してくれるか」、「いくら出したらどのくらい返ってきて、それに何年かかるかイメージできるか」、もしくは「半年後や1年後といった未来に、より注目を浴びて株価が上がって利ザヤが抜けるか」といった観点で優位なところが強いわけです。
その点、シェアリングテクノロジーさんはこの1年だけでも7件のM&Aをされていますから。
島袋
ニュースに出てましたね。
金
賛否も様々だと思うんですが、やはり「チャレンジングだな」「いろいろしかけているな」「なにか考えているんだろうな 」という印象は与えると思うんです。
そういう風に、その1つの事象からも伝わる事はあると思うんですよね。
例えば、新規で上場して7件のM&Aにトライする会社とトライしない会社が、2社とも配当を出していないとしたらどう思うか。ベンチャー上場企業だったらほとんど配当を出さないので、しばらく内部流用になると考えたとき、どっちにお金をはりたいかと言ったら、それは仕掛けている会社にお金をはりたくなる心理は当然だと思います。
IPOデビューしたら半年間ぐらいは投機でお金が入るので、良くも悪くも出来高が高くてボラ(ボラティリティ・価格の変動性)が大きいですが、半年、 1年と時間が経つとまたフレッシュ銘柄が入ってくるので、面白そうでチャレンジングな会社があればそちらに注目がいきます。
要するに(目立たなければ)どんどん忘れられるという構造です。
島袋
どんどん窓際の方に(笑)
金
窓際どころかもういなくなっちゃいます。
立ち上がったり、大声を出したりして初めて、「何あいつ!?」と気にしてもらえるわけです。
島袋
なるほど。
金
全ての関心はそこから始まる。
「何を目指していて、どこまで到達しているか」を伝える
金
もう1つ、投資家の心理をどう捉えるかという部分も、僕はけっこう重要だと思っています。
テクニカルな話かもしれませんが、実際にIRのコミュニケーションで重要だなと思っているポイントは2つあります。
まずひとつは、その会社が「今、山で例えると何合目にいるのか」。そういうことを伝えるコミュニケーションがない会社がほとんどなんですよ。
結局株価、投資は先食いなので、「この10合の山を登れるけれど、今は2合目しか来てない」という状況なのか、「実はもう8合目まで来ていて、これ以上株価が上がらない」のか、そういうことがとても重要です。「山の何合目か理論」ですね。
こういうことを明確にして、自分たちのマーケティングがどういうもので、まだやれる事はいっぱいあるということを伝える、「今山の何合目か」を伝えるコミュニケーションをとっていく事が必要です。
キーメッセージをつくる
もう1つの重要だと思っているのは、キーメッセージです。ある種の戦略ですね。
例えばベクトルという会社は、僕がやっている会社であるIRTVの親会社でもあって、良くも悪くも客観的に見られるんですが、ベクトルは「ファストカンパニー」という言い方をしています。これは、「PR、つまり物を広げるバリューチェーンを全部持ってます」というメッセージなんですが、こういう風に相手に自社のイメージを持ってもらうための工夫は重要だなと思いますね。
島袋
どういう風に見せたいかによって、社名を変えるのもIRの一環ですもんね。
金
それも1つですね。
やはり理解を促進するため、投資家を攻略するためのコミュニケーションとして、そういったことが重要になると思います。
島袋
今回の内容からIRに関心を持たれた方、ぜひIRTV社にもお問い合わせを!
金さん、今回もどうもありがとうございました。
■金成柱:株式会社IRTV-代表取締役
これまでに面談してきた経営者の数は5,000名を超え、多くのビジネスモデルを知る。上場企業・上場準備中の企業・成長ベンチャー企業等の複数社の経営アドバイザーに就任し、企業成長支援・IPOのアドバイス・M&Aのアドバイス等を行う。
■島袋直樹:IdeaLink株式会社-代表取締役
2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡。尊敬するじげん社に倣い、「事業家集団IdeaLink」を目指す。
【M&A BANK YouTubeチャンネル】
https://www.youtube.com/channel/UCbxAeKe2f9WZGbKy1jHV0Dw
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