2019.07.02
資金調達、VCからしなかった理由|Vol.189
「ないから、公開しよう」のノリ
島袋
フェイスブックでもバズっていた、マーケロボさんの資金調達について詳しく教えてもらえますか?
田中
あれは本当に、純粋に誰かのためというか、挑戦する起業家の役に立ったらいいなと思って公開しました。
上場したあとは決算書とかは公開されますし、調達する前のピッチのイベントは、動画でも上がったりしますよね。でも、いざ何千万とか何億と調達するフェーズの会社の事業計画書ってどこにも落ちてないなって思ったんです。
じゃあ公開しよう、っていうノリですね。
島袋
ノリ(笑)
あれを公開するにあたって、調達したところ及び社内はどういうリアクションだったんですか?
ポチっと公開する前は。
田中
そこはちゃんと大人なので、株主さんに迷惑がかかる情報はマスキングしていたので大丈夫です。(笑)大事な数字とか割合とかは当然書いていません。
でも、会社としてどこが評価されているのかというのは本当に全部書いてます。
絶対、発信したほうがいい
島袋
あれをシェアしてみて意外だった反応はありますか?
田中
意外だったのはまずその数ですね、200人ぐらいかなって思ってたんですよ。
知り合いがちょっと面白がって「見せてよ」って言ってくる程度かなと思ったら、今でも毎日増えてて、7800人くらいになってます。
島袋
すごいですね。
あれだけシェアされると、資金調達のしかただけじゃなく、知名度が一気に広がるわけじゃないですか。いろんな面でポジに作用しそう。
田中
いろんな面でそうです。
まず単純に営業でプラスになりました。わざわざ会社を理解をしてくれた上で問い合わせをして来てくれる。
採用面でももちろんプラスです。会社のことを理解してくれた上で、最近バズってる会社があるなって応募して来てくれる 。
あとは社内ですね。名刺交換をしたら、「あのマーケロボさんですね」と今日も言われましたみたいな会話が毎日起きてるんで、本当に社内の雰囲気が「見られてるんだな」と、いい意味で緊張感を持てるきっかけになった出来事でしたね。
島袋
各社調達したらああいう風に出して欲しいですよね。
田中
絶対出した方がいいですよ。
島袋
僕らもM&Aの見えないところを引き出したいと思ってこれをやっているので、同じですね。
田中
当然ベンチャーの成長フェーズによってはステルスでやるべき時も必ずあるんですが、そんなに多くないと思うんですよね。
だいたいは広報をして社名を広めたいわけですから、絶対公開した方がいいなと思いますね。
「VCからの調達」のタブー
島袋
僕VCから調達したことがないので教えてほしいんですが、調達するにあたってのタブーとかってありますか?これやっちゃダメだよとか。
田中
やっちゃダメ…難しいですね。
実は今回、マーケロボもVCは1社もいないんですよ。
島袋
それはなぜですか?
田中
VCが嫌いだからです(笑) ウソですウソです、大好きなVCもあります。
VCからの調達もしたことがあるんですが、やっぱりメリットデメリットがありますから、今回はやめようと。それについて誰も話さないという意味では、それがある種のタブーかもしれないですね。
リスクマネーイコールVC、調達イコールVC、起業したらVCってなってますから。
VCの人に嫌われそうなことばかり言ってしまいましたけど。
島袋
それくらい尖っている方がいいし、響きますよ。
調達するときに、みなさん「なぜVCはダメなんだっけ。田中さんが言ってたのは…」って調べられますから。
田中
単純に、VCって上場したりすると(株を)売りますよね。
VCが嫌いっていう話じゃなくて、見てる視点の長さ、時間軸の長さの違いです。
VCって、ファンドを形成したら絶対10年とかで売らないといけないじゃないですか。
ほとんどの起業家は、M&Aを狙うにしても上場するにしても、ちゃんと長く事業を続けようと思うでしょうし、僕もその一人です。
10年後、20年後も社会にインパクトのある会社を作りたいなと考えていたら、5年先しか見ていない人と話が合うはずがないですよね。
なので、はなから選択肢になかったです。
島袋
自分が描いている経営計画のビジョンと、出資してくれるところの出口戦略が一致しているかは、確認が必要ですね。
田中
その当たり前のことができていない人、けっこう多そうですね。
もうVCと一緒に短期で、M&Aで売り抜けるんだったらいいと思います。
でも、「M&Aだけじゃなく、IPOも選択肢としてあるな、世の中を20年後30年後良くしたいな」という思いなら、少し慎重になった方がいいと思いますね。
島袋
なるほど、勉強になるな。こういう話を聞くと、調達もいいなと思いますよね。
M&A BANKもどこか手をあげてくれないですかね、M&Aセンターさん!(笑)
ということでお時間になりました。
続きはまた次回ですね、またM&A BANKでお会いしましょう!
■田中亮大:Marketing-Robotics株式会社-代表取締役
1985年山口県萩市出身。2008年大学卒業後、外資系製薬会社に入社。翌年、個人コンサルタントとして独立。以降、日本の社長.tvの取締役やベルフェイス(株)を設立し副社長、販売会社の社長を歴任し、2016年9月にタクセル(現:Marketing-Robotics)を設立。MA(マーケティングオートメーション)やインサイドセールスの専門家として確固たる実績を持つ。
■島袋直樹:IdeaLink株式会社-代表取締役
シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。
順次更新、田中さん出演動画の一気見はこちらから
(M&A BANK YouTubeチャンネル)
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