2019.11.23
買ってくれる上場企業、実は限られてる説|Vol.236
買ってくれる上場企業、実は限られてる説
島袋
冨岡くん、上場企業に会社を売却する場合、買い手となり得る会社さんがどこの市場に上場しているかによって、買える会社ってけっこう決まってるんじゃないかと思ったんですが、どうなんですか?
冨岡
どんどん質問がマニアックになってきますね。
島袋
なぜこう思ったかと言うとですね、今僕育毛剤の通販をやってるじゃないですか。
これを売りにいく場合、ファンドか東証1部の会社じゃないとダメなんじゃないかなと思うようになったんですよ。
東証マザーズに上場されている会社さんは、いずれは東証1部に行きたいじゃないですか。それだともう1回東証の審査が入るわけですよね。
となると、景表法とか薬機法とかの問題が起こりうる領域は、「東証審査が厳しいから、欲しいけどなしで!」みたいなことがあるんじゃないかなと思って。
でも、1部まで上がってしまっていたら「いやいや別に東証なんてどうでもいいですから」…とまではいかなくても、やっぱり違うんじゃないかと思っていて。
たとえば東証1部上場のベクトルさんは育毛剤の会社を買われていますけど、それはこれ以上審査がないからなんかじゃないかと。
だから特に通販系の会社は、東証1部上場企業かファンドに売りに行くべきなんじゃないか、という、素朴な疑問です。
影響を与えている、市場変更の条件とは
冨岡
まずは、どこに売るにしろ真っ当な事業をやっているのが大前提ですけど…
島袋
真っ当な事業やってますよ!
冨岡
ちゃんとやっていても、ヘルスケア系とか、アフィリエイト系とかもそうかな。特定の領域のビジネスは敬遠されてしまうことがある、という話ですよね。
真っ当にやっていても東証の審査に対応するのって大変なので、その期間はM&Aを控える会社がそもそも多いんですよ。
というのは、たとえばマザーズに上場して3年以内であれば、少し簡易的な審査で市場変更が可能なんです。だから、市場を変更するならできるだけ早めにしようと考える。
さらに、市場の変更には「上場したタイミングと事業内容が大きく変わっていないこと」という条件もあるんです。
たとえば上場したM&Aですごく大きな会社を買うと、事業内容が全然変わっちゃいますよね。そうすると、(上場からあまり時間がかかっていなくても)もう1回審査しないといけないことになるんですよ。
だから前提として、上場した直後、1部にいく前などは、そもそもM&Aしづらい事情があるんです。気にせずやっているところもありますけどね。
島袋
どこですか?
冨岡
たとえばじげんさんは東証に上がってから1部にいくまで3年以上かかっていますが、もっと早くいけたと思うんです。
再審査の手間よりも成長を重視して、気にせずM&Aをやっていたタイプだと思います。
でも、多くの会社はマザーズに上がったら1~2年ですぐ1部にいって、あとは審査がない環境で自由にやりたいというのが本音じゃないかと思います。
だから、島袋さんの仮説「東証1部上場企業の方が売りやすいんじゃないか」というのは、ある程度正しいと思いますね。
島袋
なるほど!やっぱりそうなんだ。
じゃあ通販をやっている会社のみなさん、東証1部の会社に持っていきましょう!
冨岡
それも1つの選択肢ということですね。
島袋
じゃあM&A BANKでお会いしましょう、ありがとうございました。
■島袋直樹:M&A BANK株式会社-取締役会長
シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡し、2018年3月よりM&A BANKの運営を開始。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。
■冨岡 大悟:M&A BANK株式会社-代表取締役/公認会計士
KPMG/あずさ監査法人のIPO部、フロンティア・マネジメント株式会社でのM&Aアドバイザー業務を経て、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後にTOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IdeaLink株式会社のCFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員も務める。
順次更新、冨岡の出演動画 一気見はこちらから
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