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交渉力・立場を強くする要因ーM&A交渉のポイント③ | M&A BANK

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2020.08.20

交渉力・立場を強くする要因ーM&A交渉のポイント③

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M&A交渉を控える方のための連載の第3回です。
今回は「交渉力を強くする要因」を取り上げます。

特に売り手は交渉の際に弱い立場になりやすいため、その要因を理解しておき、交渉の際に意識的にふるまえるようにしましょう。

ポイントは、「別の選択肢」「相手の情報」、そして「演技力」です。

この記事は、M&Aの交渉にあたり、
「不利な条件を飲まされないようにしたい」
「交渉を優位に進めるために、何に気を付けるべきか知りたい」
という方に向けてお届けする全5回の連載の第3回です。

▼予定コンテンツ▼
1. 理想的な交渉・やってはいけない交渉
2. 交渉が成立する条件
3. 交渉力・立場を強くする要因
4. 要望を通すための交渉術
5. M&A交渉の実際の手順とポイント

 

 目次 

 売り手はなぜ立場が弱くなりやすいか
 交渉力を上げるために売り手ができること

 

売り手はなぜ立場が弱くなりやすいか

売り手の立場が弱くなりやすいことは説明を聞かずともイメージできるかもしれませんが、なぜそうなるのか、その要因をここで改めて把握しておきましょう。

立場の強弱が生じる主な要因には、次のようなものがあります。

  1. その取引を実現させたい気持ち(思い入れ)の強さ
    余裕のある方の立場が強い
  2. 相手の状況に関する正確な情報
    …相手の事情に通じていると、強く出られるポイントを探しやすい
  3. “自分の立場を強くする振舞い”をする力(演技力
    …相手に強いと思われれば利益を守れることもある
  4. 客観的な状況・評価
    …第三者にも納得のいく根拠や評価を持っていると強い
  5. 人間力の高さ
    …「この人の言うことなら…」と思わせる力

それぞれについて、

  • 売り手は他の選択肢がなくなってから(消極的な理由で)M&Aを検討することが多い
    →その取引を実現させたい気持ちが強い ①
  • 買い手はDDの機会に売り手の多くの情報を得やすい
    →売り手の状況を正確につかみやすい ②
  • 買い手は売り手よりもM&A経験が豊富な場合が多い(何度も売ったことのある経営者は多くない)
    →立場を強く見せる振る舞いに長けている ③

といった傾向があるため、売り手は買い手よりも立場が弱くなることが多いのです。

 

交渉力を上げるために売り手ができること

売り手ができる工夫としては、以下のようなものがあります。

常に“別の選択肢”もある状態にしておく

<M&A検討段階>
まず、後ろ向きな理由で「どうしても売りたい」と思う前に売却を検討することがポイントになります。
売り手の交渉力は、自分がその事業に魅力を感じているとき(売りたくないとき)に最も高くなります。
より良い条件で売りたい場合、余裕がある人は売却に動き始めてからも事業に磨きをかけ続け、さらに価値を上げるのも手です。

<買い手との交渉を始めてから>
特定の買い手候補との交渉が始まってからも、その会社への売却という選択肢以外の魅力的な選択肢を常に探し続ける意識を持つようにしましょう。

相手の状況を正確に把握する

相手に関して最も正確に把握したいのは、先述したようなその取引への温度感・他の選択肢の有無・時間的余裕です。
相手も前向きに検討している場合は、期限を決めてより早い決断を促すといったことも可能になります。

より多くの情報がある方が推測の精度は上がるので、時には真正面から質問して、相手の返答や反応など、新しい判断材料を得るのがポイントです。
相手は何を重視していて、何を重視していないかも見極めましょう。

なお、相手側からそれらの質問をされた場合は、明らかな嘘はつくべきではありませんが、重視していないことについてははっきり伝えない方が交渉上よいとされています。
「譲歩できるポイント」は交渉上重要なカードになるため、譲歩が必要になったときのために取っておくべきだからです。

強くなる条件を把握し、そう見えるように演じる

他にも選択肢があることを匂わせるなど、余裕がない状況であることを伏せて交渉して、よい条件で交渉を成立させるケースもあります。
ただし、信用を失うようなや、強気に出すぎて破談になり、M&Aという選択肢自体を失ってしまう可能性には注意が必要です。

自分に有利な客観的事実を集める

買い手が強い立場を利用して強気な交渉をしてきた場合は、相場専門家の意見判例など、自分の主張の根拠を支える第三者の視点を取り入れて対抗しましょう。
お互いがお互いの立場から主張を行うと話が平行線を辿ってしまうので、それを動かすには客観的な評価や事実が必要になります。

それが叶わずに譲歩することになった場合は、代わりに相手から別の条件での譲歩を引き出せないか交渉してもよいでしょう。

 

 

交渉には視野を広く持った状態で臨み、自分たちからもはっきりと主張ができる状態を保てるようにしましょう。

次回は買い手―売り手間で利害が対立した際に、要望を通すためのノウハウについて考えます。
お役に立てていただければ幸いです。

 

 

参考・おすすめ文献

藤井一郎(2011)『プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中―「決まる!」7つの交渉術』東洋経済新報社

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■安田あかね:M&A BANK編集部 ライター
大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。
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