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2018.10.05

#49 リンモチによるヴォーカーズへの出資はなぜ22.5億円なのか

冨岡 大悟: TOMIOKA C.P.A OFFICE 代表/公認会計士

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「IPOに向け、欲しかったのはお金ではなくコミット」ーー創業11年の沈黙破り、Vorkersが初の外部調達に踏み切ったワケ

9月20日、組織改善クラウドサービス「モチベーションクラウド」などを展開するリンクアンドモチベーションは、転職・就職クチコミサイト「Vorkers(ヴォーカーズ)」を提供するヴォーカーズへの出資を発表した。出資金額は22.5億円だった。
創業11年目のヴォーカーズにとって、これが初めての外部調達になる。リンクアンドモチベーションが当日発表した資料によれば、直近決算期におけるヴォーカーズの売上高は7億7500万円。当期純損益も3億1100万円の黒字であることを考えても、今回の資金調達がいわゆる“事業継続のための資金調達”ではないことは明らかだ。……

記事引用元:https://gamebiz.jp/?p=221065

リンモチによるヴォーカーズへの出資

9月20日、リンクアンドモチベーションは、転職・就職クチコミサイト「Vorkers(ヴォーカーズ)」を運営するヴォーカーズへの22,5億円の出資を公表しました。
いきなりですがなぜ22,5億円だったのでしょうか。その理由がなかなか面白いので今日はそのお話。

今回のタイミングでヴォーカーズの決算情報が公表されていますが、直近2017年12月期で売上約8億、営業利益約4億とのことです。
パッと見た感じでは単独でも十分IPO可能な利益水準ですし、よほどのことがない限り資金調達も不要でしょう。必要であっても銀行から10億円以上借入可能な財務体質です。
にもかかわらずなぜ外部から株式により22,5億円もの資金を調達したのかということです。
新サービスの「Vorkersリクルーティング」の拡販のため、法人営業に強いリンモチと手を組んだとあります、がこれはあくまでも両者で今後実現していくものからすれば、初めての共同作業という程度の些細なものです。

ヴォーカーズが欲しかったもの

答えは記事内でヴォーカーズの増井社長が言及しています。それは「リンクアンドモチベーションがコミットするという姿勢」。
M&Aや出資においては買い手のコミットを求めることはよくあります。「金だけ出す会社ならいくらでもある、それ以外にあなたは何をしてくれるんですか?」ということです。
今後のIPOやその後の成長戦略について、同じ船に乗って汗をかいてくれるかどうかという点を増井社長は重視したのでしょう。

今回の出資で何が変わる?

では具体的にコミットとは何のことを指すかというと、ここでは「持分法適用会社」になるということです。
持分法については過去記事で何度か取り上げていますが、ある会社の株式の20%程度(その他の条件によって15%でも)を所有することによって、その会社が買い手の関連会社となり、持分法という会計処理方法の適用対象になります。
この会計処理により、例えばリンモチがヴォーカーズ株20%を取得し、ヴォーカーズの当期純利益が5億だった場合、このうち20%の1億をリンモチの利益として連結財務諸表上取り込むことになります。
リンモチが10%程度しか株を持っておらずヴォーカーズが持分法適用会社でなければ、ヴォーカーズがいくら利益を稼ごうがリンモチの利益には直接影響はありません。
もちろんヴォーカーズ自体の株価の変動はありますが。
上場会社のリンモチにとっては利益金額は最も重要な指標の一つでしょうし、ただ株を少し持っているだけの会社と持分法適用会社では力の入れようが変わってくるのが一般的です。

また、買い手サイドの話で、特に大企業ではよくあるのですが、株式の取得比率によってできることが変わってくるということです。
例えば株式取得比率20%以上、つまり持分法適用会社でなければ買い手の既存サービス上に売り手のサービス組み込むことができない、50%以上の子会社でなければ買い手のデータを売り手は利用できないなど、投資を多く行う大企業では厳格に管理している会社は多いです。

結果、ヴォーカーズが手に入れたのは?

話を戻すと、ヴォーカーズは22億円が欲しかったわけではなく、リンモチに20%の株を持ってもらいグループ会社として本気になって欲しかったということです。
そしてヴォーカーズ株20%の金額が22億円だった、というだけです。金額は後付けなのです。
ちなみにヴォーカーズの時価総額は約113億円ということになりますが、株価が純利益の何倍かを表すPERは約40倍で、結構な高水準です。
このことからも売り手の交渉力が強かったことがうかがえる案件ですね。

今回の出資で増井社長はEXITして終わりということでなく、引き続きIPOも目指すとのことです。M&AとIPOのダブルEXITですね。
M&AとIPOは両方狙えるという話はM&A BANKで何度もしてるので、これを読んでる方にはもう説明不要かなと思ってます。

ということで、今回は出資金額決定の背景を説明しました。
実は売り手が買い手のグループ会社化を望むことは特別珍しいことではないのですが、ここまではっきり公表することはなかなかないので、さすが市場の透明性を歌う口コミサービスを運営する会社の社長だけあるなと思いました。

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冨岡 大悟: TOMIOKA C.P.A OFFICE 代表/公認会計士

KPMG/あずさ監査法人のIPO部に所属。IPO関連業務、M&AのDD、会計監査等に従事。フロンティア・マネジメント株式会社にて、M&Aアドバイザー業務等に携わる。その後、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後、TOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。同時に、IdeaLink株式会社の取締役CFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員に就任。

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