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2019.03.25

#62 デロイトがM&AのVDRサービス販売開始!したけど本当に必要か

冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士

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バーチャルデータルームとは

事前に断っておきますが、今回は過去最高にマニアックな記事なので、そのつもりでご覧ください。

3月20日、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(DTFA)は、
M&Aに置けるVDR(バーチャルデータルーム)ソリューションの販売を開始すると発表しました。
ほぼ全ての人が「VDRとはなんぞや」、だと思います。

VDRは、M&Aにおけるデューデリジェンスなどの場面において、PDFなど電子化された機密文書をクラウド上で編集・閲覧でき、社内外関係者間のファイル共有を安全かつ迅速に行えるサービスとして、M&A実務において広く使われているものです。
昔は会議室に膨大な資料を印刷して用意して、それを関係者が閲覧するという形でしたが(今も一部ありますが)、それだと何かと不便なのでクラウドを使ってます、ということですね。

なぜVDRが必要なのか

これだけ聞くと、多くの方がこう思うはずです。「Google Driveでよくない?」と。
今これを読んでいる方なら何かしらの形でGoogle Driveを利用しており、その便利さを痛感しているはずです。もちろんビジネスの現場でも多々利用されています。
なのでわざわざよくわからないベンダーのVDRサービスなぞ利用せずに、慣れ親しんだGoogle Driveでいいだろう、という意見が多いのも無理はありません。
実際、上場会社のM&A案件でもデータ共有にGoogle Driveを利用しているケースは多々あります。

では誰にニーズがあるかといえば、簡単にいうと仕事でGoogleを使わない(使えない)人たちです。
例えば社内でGメールやGoogle Driveの使用が禁止されている会社はけっこーあります。セキュリティ面で問題があるから、会社専用システムがあるから、という理由が多いですね。
多くの証券会社やM&Aブティックファームでも、Google Driveなどのコンシューマー向けサービスはセキュリティ面などで問題があるという理由で推奨していません。

この手の会社では、外部とやりとりするときは基本はEメールで、エクセルなどのデータは更新する毎にバージョンを変えてメールで送るという伝統的な方法がとられています。
このような会社の場合、M&A時に大量のデータを複数人が閲覧したり送ったりするのは難しいため、VDRを利用することになります。

本当に必要なのか

ただ、本当にVDRが必要なのかは疑問が残ります。
筆者はセキュリティの専門家ではないため、Google Driveのセキュリティの脆弱性については判断できません。
しかし、単純に考えれば本当にセキュリティに問題があるサービスであればここまでビジネス上で利用されることはないのではないでしょうか。何も機密性が求められるのはM&Aだけではありません。

確かに、多くのVDRサービスでは、権限設定やアクセスログ管理を精緻に行えるなど、Google Driveよりも高機能であることが一般的です。
一方で、UI/UXの観点で操作性が悪く、サポートが十分でなく(VDRは海外製品を日本の代理店が販売しているケースが多く、サポート対応できる人が少ない、ググっても情報が落ちていない)などのマイナス要素も多くあります。
そのため、積極的にVDRを使いましょうとは言いづらい状況です。
英語ではありますが、Google DriveとVDRサービスをユーザーが比較したアンケート結果があります。結論として、Google Driveの方が高い満足度が得られています。

Compare Google Drive vs SmartRoom VDR

 

ではどうするか

ではどうしたらいいかというと、1社でいいのでVDRサービスの提供会社に問い合わせるのがオススメです。
サービス概要を聞いて、しっくりくれば使えばいいし、そうでなければGoogle Driveを利用すればいいと思います。
問い合わせ先として、今回取り上げたデロイトのサービスもいいと思います。監査法人系はこの手の守備的なサービスは得意です。

筆者自身は、3年前まではよくVDRを使っていましたが、最近はめっきり使う機会が減ってしまいました。
当時よりも高機能のものも増えているでしょうし、これはオススメだよ、というものがあれば教えてください。

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冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士

KPMG/あずさ監査法人のIPO部に所属。IPO関連業務、M&AのDD、会計監査等に従事。フロンティア・マネジメント株式会社にて、M&Aアドバイザー業務等に携わる。その後、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後、TOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。同時に、IdeaLink株式会社の取締役CFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員に就任。

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