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2018.06.21

投資契約の内容はM&Aに影響大|フォーサイト総合法律事務所大村代表コラム Vol.3

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ベンチャー界隈No.1との呼び声の高いフォーサイト総合法律事務所・大村代表パートナー弁護士をお招きして、ベンチャー企業経営者にとってのM&Aについてたっぷりお話しいただきました。
IPOを目指していた、またはIPOを目指しているものの、M&A(バイアウト)についても理解を深めたい経営者必見の情報が満載。普通はなかなか教えてもらえないM&Aの実情についても大公開してくださいます。

VCに会社を売られてしまう!?ドラッグアロング条項

ベンチャーが外部資金調達をした場合、投資契約の内容があとあとバイアウトするときに響いてくることがあります。そのなかでよく嫌がられるのが、ドラッグアロング条項です。これはベンチャー企業にとって重要な話ですよ。

例えば、A社に株の10パーセントを持っているVCが入っているとしましょう。わかりやすく言うと、VCがこの会社の株をB社に売りたいとき、もしドラッグアロングをつけていてそれを発動すると、A社の経営陣の株もふくめて全部譲渡しないといけなくなります。

買収する側の会社は100%の株を買収したがるものですが、ドラッグアロングはそれに応える条項であるということです。出資者の中には10パーセント以下、時には3パーセントぐらいの株保有でもドラッグアロング条項をつけろという会社もありますが、これは拒否すれば削除してくれることもあります。ドラッグアロング条項がついているとVCが売りたいように売られてしまうわけですが、断ればそれを防げるかもしれないということです。

経営者側が仕掛けておくこともできる

逆に今のトレンドとして、経営者側からVCに対してドラッグアロング条項をつけろと要求する流れもあります。これは、経営者がまとめて株を譲渡したいときに、VCが株を売ってくれない事態を防ぐための動きです。経営者側がドラッグアロングを発動すると、VCの株もいっしょに売ることができます。M&Aにおいてバイサイドとしては株を100%取得したいし、セルサイドにとっても金額が全然変わってくるので、こういう動きも出ています。

昔、ある企業の株主が売りたい先と、経営陣が売りたい先が分かれたことがありました。経営者側は自分たちにとって都合のいい株主に売りたい。株主は、一番高いところに売りたい。このケースでは結局、経営陣が望む株主に売りました。
ベンチャー企業でも、VCはこの会社に売りたいが、経営陣はこっちの会社に売りたい、と意見が割れる可能性はあります。そういう可能性も考えておかないといけません。

もっとも、IPOしか選択肢がないなら、そういうことは考える必要はないかもしれません。しかしIPOはなかなか難しく、VC等からエグジットを求められるときがやってくる可能性は高いので、そのときどうエグジットさせるかを考えて投資契約をしないといけません。ここを安易にしてしまうとあとで大変です。
セルサイドとしてはバイアウトしたあと、自分がどういうポジションでやるのかを考えなければいけません。上場会社の子会社になったあと、社長をやり続けるのか、やるならいつまでやるのか。これは売り側としては重要な点です。

例えばソラコムは去年KDDIに200億円で過半数の株式をバイアウトしたと報道されていました、ソラコムはKDDIにバイアウトしてエグジットではなく、そこからさらにIPOを目指すためのバイアウトということのようです。ソラコムにはグローバルに展開しているIOTのプラットフォームがありますが、その事業をグローバルに展開するにはKDDIのグローバルネットワークが必要でした。資本業務提携して、KDDIの傘下に入ってやっているのですから、今後のIPOもあり得ます。ただこれは例外で、普通はバイアウトでエグジットして、終わりになることが多いですが。

支払い方法も検討の余地あり

セルサイドからすると、バイサイドが譲渡代金をちゃんと払ってくれるかどうかの確認も重要です。一括で払ってくれたらそれで終わりですが、もし2年分割にしてくださいと言われたら、「この会社は大丈夫か」と考えなければいけません。

最近はアーンアウトという支払いかたもあります。最初で一部支払うものの、今後の売上などを指標にして、ここまで売上達成すれば残りはこの額を払うが、達成できなければこの額しか払わない、という契約形態です。欧米では普通ですが、日本では最近ベンチャーで行われつつあるところです。
開示されている有名な事例では、コインチェックがアーンアウトの方法で36億円で買収されました。ただし、これは最初の支払額で、追加の支払いがまだ必要です。買収発表後の業績が売上600億円強、営業利益500億円強と出ていたので、追加で支払う分はもっと高い金額になるはずです。「買収額36億は安い」という声もありましたが、そういうわけで私は安いと思いませんでした。

アーンアウト以外のケースでは、基本的には会社を売ったきりで終わります。変なことをしていれば責任を追及されることもありますが、それは売る前にある程度整理しないといけないことです。

ベンチャー企業(セルサイド)が今対策しておくべきことと言われれば、やはりちゃんと法令を遵守することですね。例えば残業代をちゃんと支払う、などの労務管理はちゃんとしておかないと、あとで「残業代未払いが1億円あるから、譲渡代金を1億円ひかせてください」と言われてしまうかもしれません。
一般的に中小企業は未払い残業代が多いですね。ベンチャーで上場を目指す会社も例外ではないですが、どこかで精算しないといけません。


次回更新は6月25(月)、ダウンラウンドを引き起こす原因について、詳しく解説いただきます。

■大村 健氏:フォーサイト総合法律事務所‐代表パートナー弁護士
代表を務める法律事務所は、生え抜きの弁護士・司法書士が所属し、幅広い業種のベンチャー企業に対する法的支援業務を展開する。IPOや市場変更、M&Aの支援実績も多数。複数の上場企業で社外役員も務める。
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