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#26 ExitはIPOとM&Aのどちらかしか選べないという誤解 | M&A BANK

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2018.05.21

#26 ExitはIPOとM&Aのどちらかしか選べないという誤解

冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士

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「Exit」にもいろんなやり方がある

『ITベンチャー企業出身者が集まりA社を起業、事業規模が拡大して数年後に東証一部上場企業であるB社がA社株式を取得することでB社の子会社となった。』……この話を聞いてどう思うでしょうか。

A社の経営陣は大金を得て、海外で悠々自適の生活を送っている、シリアルアントレプレナーとして新しい会社を始めている、エンジェル投資家となって若いベンチャー企業に投資を行っている、などといった意見がありそうです。

実際、昨今はベンチャー企業が上場会社からのM&AによりExitするケースが増加しており、A社のケースもそれに該当すると考える人がほとんどではないでしょうか。ちなみに、Exitとは投資した資金を回収することであり、一般的には経営者や出資者が会社のIPOまたはM&Aにより所有する株式を売却することで達成されます。

ところが、A社は上場会社の子会社となって3年後、上場することとなります。しかも、経営陣はA社設立からIPOまでずっとA社株式の過半数を所持したままです。過半数の株式を持っているということは、基本的には会社の意思決定権を持っているということになります。どうやったらこのようなケースが成立するか、できればここまでの文章をもう一度読んで考えてもらえればと思います。

「M&A後、IPOを行ってExitした」ライトアップ社のケース

話をすすめると、この話は架空のものではなく実話です。A社は株式会社ライトアップといい、2018年6月に東証マザーズに上場予定です。

東京証券取引所マザーズ市場への新規上場承認に関するお知らせ

株式会社ライトアップ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:白石崇)は、本日、株式会社東京証券取引所より東京証券取引所マザーズ市場への新規上場が承認されましたことをお知らせいたします。・上場予定日:2018年6月22日(金)
・業種:サービス業
・証券コード:6580ここに謹んでご報告申し上げますとともに、みなさまのご支援、ご高配に心より感謝いたします。今後とも「全国、全ての中小企業を黒字にする」を基本理念に掲げ、全国に所在する中小企業の経営層の皆さまに適切な経営支援を提供してまいります。

なお、新規上場に関する詳細につきましては、東京証券取引所のウェブサイトをご覧ください。
http://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/index.html

記事引用元:https://www.writeup-lab.jp/release/3021

そしてA社の親会社であるB社は、東証一部上場企業である株式会社オプトホールディングス(以下オプト)です。2014年5月にオプトはライトアップに追加出資し(それ以前もオプトはライトアップに出資しています)、連結子会社化しています。これは、ライトアップの経営陣は株式を部分的に売却して大手の傘下に入る、つまりM&Aをすることで部分的にExitしているとも考えることができます。そしてそこから3年後、IPOをすることで正真正銘のExitをしているのです。

少し特殊な「子会社化」

ただし、子会社化と言ってもオプトによるライトアップ株式の取得比率は50%未満です。基本的には50%未満であれば子会社には該当しないのですが、オプトからライトアップへ役員派遣をしているなどの一定の要件を満たした場合は子会社に該当します。

子会社になる意味は様々ありますが、対外的にはオプトグループの一員とみなされことや、オプトにとってはライトアップの決算をオプトと合算することで会社を大きく見せることができます。ライトアップ自身も、ホームページで自社の強みの1つとして下記のように独立系かつ大手系の資本をアピールしています。ここまで資本構成を自画自賛してる会社は珍しいです笑

「株式の50%以上を代表および役員・従業員が持つ独立系のベンチャー企業になります。一方で、第2位の株主には東証一部上場「オプト」が数十%の資本を持つ、オプトグループの企業でもあります。絶妙な資本比率と言われることも多いです。」
引用元:https://www.writeup.jp/company/

そしてライトアップはオプトのグループ会社となったものの、創業社長の白石さんを筆頭に経営陣が中心となり経営を続け、IPOまでたどり着いたのです。

M&AとIPOのいいとこ取り戦略

ライトアップは2014年3月期に大きな赤字に出しており、単独で経営していくことが難しくなったためオプト傘下に入ったなど特別な理由はあったのかもしれません。また、ライトアップの経営陣はこれまで株式をほとんど売却していないかもしれません(オプトによる株式取得方法はライトアップ経営者の持っている株式の購入だけでなく、新たにライトアップ発行する株式を買う方法もあります。前者は経営者に金が入り、後者は会社に金が入ります。つまり後者だけであればその時点でExitしているとは言えません。)。

ただ、ここで私が言いたいのは、ライトアップのケースを参考とすることで、今後IPOやM&Aを検討するベンチャーにとっていくつかのメリットが考えられるということです。まず、大企業の傘下に入ることで信用力の向上、経営指導やIPO準備の支援を受けられる、といったことが考えられます。また、経営者は株式を一部売却することでキャピタルゲインを得ながら経営を続けることができます。ここまでなら投資ファンドの出資を受けながら上場を目指すケースも多くありますが、ファンドから出資を受ける場合は通常株式の過半数(マジョリティと言ったりします)を握られます。

しかし、ライトアップのケースでは50%超を経営陣で握っているため経営の自由度は高いと考えられます。なお、やや専門的な話なのでちょっとだけ言及すると、親会社と子会社が共に上場していることで生じる問題があるのですが、オプトはライトアップの上場と同時にライトアップ株式の一部を売却する予定で、子会社ではなくなるためこの問題も軽減できます。

選択肢は無限

このように、M&Aのメリットを享受しながらIPOをすることは理論的にも実務的にも可能です。ただ、このような事実を知らず、IPOとM&Aどっちにしようと二者択一を考えている経営者もたくさんいます。ライトアップのケースはあくまでも1つの方法であり、他にも色々とやりようがあります。まずは選択肢はいくつもあるんだということを認識してもらえたら嬉しいです。

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冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士

KPMG/あずさ監査法人のIPO部に所属。IPO関連業務、M&AのDD、会計監査等に従事。フロンティア・マネジメント株式会社にて、M&Aアドバイザー業務等に携わる。その後、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後、TOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。同時に、IdeaLink株式会社の取締役CFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員に就任。

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