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2018.05.28

#27 単一ブランドへのこだわりを捨てて成功した飲食企業

安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

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M&Aに力を入れている飲食系企業とは?

飲食店業界で、M&Aにより規模を拡大している会社をご存知でしょうか。クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、独自のブランドを持たずに200ほどのブランドと850店舗を展開しており、売上高1,500億円を目指す会社です。

2017年2月期の連結決算では売上高約1,135億円、営業利益は約58億円を記録しており、その原点ともなったのが、2013年に行われたSFPダイニングの買収です。

成長のきっかけとなったSFPダイニングの買収

2013年3月、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、ポラリス・キャピタル・グループなどからSFPダイニングの株式を取得、資本提携しました。この買収の目的は、単一ブランドを持たないクリエイト社が、店舗拡大で効率良く売上高を増加させることにありました。

クリエイト社は出店する立地に合わせた事業業態で多種多様な飲食店を展開する戦略を取り、1つのブランドにこだわらないことが強みでもありました。一方のSFPダイニングは鳥良や磯丸水産ブランドなど90店舗ほどの飲食店を展開しています。

クリエイト社の新規出店には、2012年から陰りが見え始めていました。2010年からの景気の冷え込みで、個人消費の伸び悩んだためです。2012年2月期には37の店舗を新規で出店し、24点を業態転換、さらに19店を撤退させるなど模索を続けましたが、売上は伸び悩んでいました。

そのような中、SFPダイニングともう1社を買収することにより、純粋にその売上を積み増すという形で業績拡大に成功しました。自社で新規出店するよりも、既存の利益が出ている店舗を買収した方が効率が良いと気づいたのです。

SPFダイニングの買収額と結果

クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループなどの株主から約65億円で株式を譲り受けています。その際に取得したSFPダイニングの株式は74.6%で、その後も追加取得を進め、株式所有割合を94.6%としました。

クリエイト社の売上高は、買収時から1年(2013年2月期~2014年2月期)で370億円から525億円まで伸びました。また、同年12月にSFPダイニングの株式が上場された際には1,620円の初値がつき、クリエイト社が保有する株式の時価総額はおよそ800億円となりました。上場はゴールではなく、初値も公募割れではありましたが、この結果はクリエイト社にとって一つの成功と言えるでしょう。

このとき、クリエイト社は自らが保有する株式を売り出していません。足元では大きな資金が必要ないこと、今後大きな成長を見込んでいることが伺えます。また、上場支援を続けてきた売り主のポラリス・キャピタル・グループの要請もあったことが伺え、クリエイト社が公言している買収した「会社の文化と経営戦略を尊重する方針」の表れともとらえられます。クリエイト社の資金的・文化的な余裕を感じるところです。

その後のM&A戦略

その後もクリエイト社は自社の店舗運営のノウハウを提供し、それぞれの店舗の企業文化や戦略を尊重する形でのM&Aを進めました。新規出店路線から収益性のある店舗を買い取る路線に変更し、売上高を順調に伸ばしたのです。また、それまでは商業施設や路面店での出店が主でしたが、買収を進める中で郊外ロードサイド立地における出店ノウハウも取得していきました。

2014年にはつけ麺ブームの火付け役ともなったYUNARIを買収、2015年にはKRフードサービスを買収してさらに売上高を上げています。KRフードサービスは国内に95店舗、そして海外にも11店舗を展開する会社です。また2015年には、オリエンタルランドの子会社であるアールシー・ジャパンの買収も行っており、当時6億円の債務超過となっていた同社を救済する形のM&Aとして注目されています。

こだわりにとらわれてはいけないタイミング

クリエイト社が行った「他ブランドのM&Aによる拡大」路線は、どのような企業でも取れるものではありません。創業者が最初に持っていたブランドにこだわりがあれば、合併する事業のブランドに対して何かしらの条件を付けたり、ブランドの扱いに差が出る、といった事態は容易に予想できます。クリエイト社は特定のブランドへのこだわりを持たずに様々なブランドの受け皿となり、それぞれの特性や戦略を尊重する方針を取りました。だからこそ多数のブランドの取り込みもでき、売り上げを拡大させることにも成功したのでしょう。

ひとつのブランドで勝負する際には、ブランド価値の創出は間違いなく重要です。しかし、企業全体が目指す結果にとっては必ずしもそれが最優先課題ではない場合があります。それぞれの事業では大事なことも、企業全体として目指す方針を考える時には手段として捉えることもできるよう、新しい事業を抱えたりM&Aを実施する際には特に、状況に合わせて柔軟に視点や認識を変える力が必要になります。

外食産業では一般的に、同一の業種・ブランドの出店数は1,000店舗が限界と言われています。その点、ブランドに制限を持たないクリエイト社にはそのような通例は通用しないかもしれません。

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安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

大阪大学人間科学部を卒業後、教育系大手企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画を行う。IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に携わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。

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