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#46 元サイバー役員の新会社、エキサイトに対するTOBを公表 | M&A BANK

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2018.09.09

#46 元サイバー役員の新会社によるエキサイトのTOB

冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士

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元サイバー西條晋一氏が代表を務めるXTech、エキサイトにTOBを実施

元サイバーエージェント役員の西條晋一氏が代表を務めるXTechは9月7日、子会社のXTech HPを通じてエキサイトの普通株式を公開買付け(TOB)により取得すると発表した。取得価格は1株あたり875円。最終的には、エキサイトの全株式を取得し完全子会社化することが目的のようだ。期間は2018年9月10日から10月24日まで。決済の開始日は10月31日。
XTechは既存産業×テクノロジーで新規事業を創出するコンセプトの会社で、今年の1月に設立されたばかり。XTechの子会社でベンチャーキャピタル事業を手掛けるXTech Venturesは9月3日、元ユナイテッド取締役の手嶋浩己氏を共同創業者兼ジェネラルパートナーとして迎えたことを発表していた。
記事引用元:https://jp.techcrunch.com/2018/09/07/xtech-tob/

エキサイトの買収

筆者は瞬発力がないためM&A BANKのニュース解説は1週間以上経った話を取り上げることが多いのですが、初めて前日のニュースを解説したいと思います。
9月7日、 元サイバーエージェント役員の西條氏が代表を務めるXTechは9月7日、子会社のXTech HPを通じてエキサイトの普通株式を公開買付け(TOB)により取得すると発表しました。
XTechは既存産業×テクノロジーで新規事業を創出するコンセプトの会社で、今年の1月に設立されたばかりとのことです。

TOBは友好的?敵対的?

TOBという言葉は何となく聞いた事ある人も多いのではないでしょうか。
TOBは株式公開買付の意味で、小難しい定義はググってもらえばいいとして、要はある上場会社の株を一定の金額で買いたいので売りたい人は売ってねー、と世間に対して呼びかける事です。
法的にいえば会社を支配するのは株主なわけで、1/3以上の株式の取得など、会社の支配構造が大きく変更する場合は他の株主にも売却機会を与えて公平にやろう、ということです。

ただTOBについては誤解している人がとっても多いです。主に二つ。
まず、TOB=敵対的な買収というイメージを持っている人がいます。先週お会いした著名な会社の経営者も勘違いしてましたね。
TOBには買収対象会社経営陣の賛同を得て行われる友好的TOBと、賛同得ずに行われる敵対的TOBがあります。
なのでTOBが全部敵対的というわけではなく、むしろ日本では敵対的TOBは実質的に不可能なのでTOBといえば基本は友好的と思ってもらえれば大丈夫です。

二つ目の誤解ですが、敵対的というのは現在の経営陣の同意を得ていないだけで、既存株主や従業員に敵対的というわけではないんです。
ここを誤解している人が本当に多く、これが日本では敵対的TOBを実質不可能にしてると思います。
既存経営陣がうまく経営できておらず、株価が下がっていたり、従業員の給料も上がらず残業付けでブラックな状態になっていたりした場合など、他の経営陣に変えた方がいいケースも当然あるはず。しかし既存経営陣は自分たちが外されるのを恐れ、TOBのオファーに反対するケースがあるようにみえます。
ただこれも、低迷している会社を敵対的TOBにより買収して、その後業績が回復するなど成功例が出てくれば流れは変わるかもしれません。

エキサイトへのTOB

少し説教ぽくなりましたが、本題に戻りエキサイトの買収について。
エキサイト経営陣はもちろん今回のTOBに賛同しており、既存株主に対してもTOBへの応募推奨(売った方がいいよと言う)しています。
そして最終的には1/3以上どころか全エキサイト株式を取得し、エキサイトを上場廃止させるようです。ということでこれで友好的TOBとわかりますよね。
前日の9月6日株価終値が706円で今回の公開買付価格が875円なので約24%のプレミアムです。TOBプレミアムはざっくり30%くらいが多いのでよくある水準でしょう。

ところで、エキサイト全株式を取得しようとすると約55億円程度です。皆さんはこの金額をどう思うでしょうか?
エキサイトは歴史のあるポータルメディアで知名度が高いです。一方で3期連続の赤字で抜本的な改革が必要なのは明らかです。昨日二人の経営者に聞いてみたのですが、二人とも高すぎるという意見でした。

ただもう少し考えて欲しいのが、余っているお金についてです。エキサイトの直近の貸借対照表を見ると現預金が約34億、有価証券が約10億、借入ゼロとなっています。
事業継続に必要なお金は当然あるとはいえ、40億以上の資産が残っていることになります。
なので買収金額の55億だけを見ると一見高いように思えても、買収後に自由に使えるお金が40億手に入ると思えば見え方は大きく変わってくるのではないでしょうか。

ちなみに、このように有利子負債(借入金等)から定期預金等の余剰資金を引いた金額をネットデットといい、M&Aにおいてはネットデットを買収金額に反映させることが一般的です。
今回も、ネットデットがマイナス(お金が余っているということ)なので買収金額を考えるにあたって高い金額を出せる方向に働いたのだと思います。
また、XTechは買収資金についてはファンドからの出資や銀行借入などで約60億円を調達します。

上場会社の買収なんて自分にはとてもできないよ、と思っているそこのあなた。やり方次第で実はなんとかなるかもしれませんので興味ある方はダメ元で相談ください。
久しぶりにM&Aのテクニカルな話書いた気がしますがどうでしょうか。ニーズがあればどんどん書いてきたいと思います。

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冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士

KPMG/あずさ監査法人のIPO部に所属。IPO関連業務、M&AのDD、会計監査等に従事。フロンティア・マネジメント株式会社にて、M&Aアドバイザー業務等に携わる。その後、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後、TOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。同時に、IdeaLink株式会社の取締役CFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員に就任。

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