2020.11.20
島忠を巡るTOB合戦の裏で最も儲けた組織 |ニュース解説プレミアム Vol.18
冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士

ここのところM&A BANKの動画と記事で、島忠を巡るTOB合戦についてとりあげています。
『同時多発TOB勃発、DCMとニトリによる島忠争奪戦について解説』
結果としては、当初DCMのTOBに賛同していた島忠でしたが、予想通りニトリのTOBに賛同することを表明しました。
よってTOBが成立し、島忠をニトリの完全子会社になる形で本件は終了でしょう。
ということで、今日はこの一連の流れの感想戦をします。
ただ振り返ってもつまらないので、論点を一つに絞ります。ずばり、今回「誰が一番儲けたのか?」です。
「誰が一番儲けたのか?」各プレイヤーの採点
主要プレイヤーについて検討しましょう。
- 島忠
 厳しい競争が行われている業界で中堅に位置しており、単独で生き残ることが難しい可能性があった中、結果としてホームセンターの近接業界である家具業界の最強企業のニトリと組めたことは
 かなりのリターンでしょう。
 特に株主は、ニトリが提示した大幅なプレミアムにより得る利益は大きいです。
- ニトリ
 同じく、ニトリが手薄だった都市部好立地に多数店舗を構える島忠の買収は、今後の拡大戦略の大きなピースになるため、利益は大きいです。
 買収金額が高すぎたのでは、という議論はありますが、それはこれからどの程度島中の売上と利益率を上げられるかにかかっています。
- DCM
 そして今回のドラマでニトリと共にヒロインの島忠を奪い合い、そして敗れたDCM。
 この3社で見れば、明らかに利益を得られていません、というより損をしています。
 「買収してないのだから利益はないかもしれないが、損もしていないのでは?」という意見もあるかと思います。
 しかし、TOBを行う場合は基本的にファイナンシャル・アドバイザーと呼ばれるM&Aのプロを雇う必要があり、今回の場合日興証券がこれに該当します。
 成功報酬による部分もありますが、大きな費用はかかっているはずで、社内でも本件に多くのリソースを割いているのは明らかです。
 本質的には、中長期でみれば自分たちのマーケットにニトリが参入してきたこと、しかもゼロからでなく島忠を利用して攻めてくると考えれば、これが最も大きなダメージです。
- シティインデックスイレブンス
 見知らぬ社名だと思う方も多いと思いますが、シティインデックスイレブンスはアクティビストファンドで、DCMによるTOB公表後、島忠株を買い進めてました。
 そしてその後ニトリによるTOBが公表され、島中の株が急上昇したため、大きな利益を得ています。
ざっと見た限り、大きく儲けたのは島中の株主、ニトリ、シティインデックスイレブンスでしょう。
ただ、全く違う視点からこのディールを見てみると、水面下で大儲けした組織があることが明らかになります。
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冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士
KPMG/あずさ監査法人のIPO部に所属。IPO関連業務、M&AのDD、会計監査等に従事。フロンティア・マネジメント株式会社にて、M&Aアドバイザー業務等に携わる。その後、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後、TOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。同時に、IdeaLink株式会社の取締役CFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員に就任。
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