2018.04.25
どんなメリットがあるの?不動産をM&Aで会社と一緒に売却する理由は?
安田あかね:M&A BANK編集部 ライター
M&Aは廃業よりもメリットが大きいため、前向きに検討しているという方もいるのではないでしょうか。よりよい契約を締結するためには、様々な交渉が必要となります。
また、会社が保有している不動産を一緒に売却することも検討してはいかがでしょうか。会社と一緒に不動産を売却することには様々なメリットがあります。メリットの一つに税金を抑えられることが挙げられます。できるだけ手元に現金を残せるように、不動産の売却を検討しましょう。
ここでは、M&Aで会社と一緒に不動産を売却するメリットとデメリットをご紹介します。
M&Aとは
M&Aとは、「M」が「Mergers(合併)」、「A」が「Acquisitions(買収)」を意味しており、企業の合併や買収のことを指します。M&Aができる条件は、株式会社であることのみなので、非上場企業や中小企業でも株式の売却や譲渡によってM&Aができるのです。
後継者がいないために廃業を考えている場合、M&Aを選んだ方がより高く会社を売却できます。また、社長が会社の借入の個人保証と担保提供をしている場合、M&Aの契約締結後に解除されるというメリットもあるのです。
不動産M&Aとは
不動産には事務所やビルの他、収益に使用するマンションやアパート、戸建て、土地などがあります。M&Aが事業の売却、買収を目的として行うものであるのに対し、不動産M&Aは不動産の売却を目的として会社を売却、買収します。つまり、不動産ごと会社を株式譲渡する方法なのです。
不動産と会社を一緒に売却するメリットとデメリット
不動産と会社を一緒に売却することには、次のようなメリットとデメリットがあります。
売り手のメリット
M&Aで事業だけを売却して、別で含み益のある不動産を売却した場合、譲渡によって得た利益に対して法人税がかかります。譲渡益は、譲渡損や役員退職金など同一事業年度での損金を計上して相殺できる場合があります。しかし、譲渡益が大きすぎる場合、それだけ高い法人税を納めることになるのです。
また、商業建物の売却時には消費税がかかり、株主へと譲渡益を還元するときに所得税などの負担が発生します。このように、不動産だけを売却した場合は様々な税金がかかるのです。
それに対して、不動産M&Aによって会社の株式を売却した場合、一律の20%の所得税率になるため、不動産だけを売却した場合よりも税金面でメリットがあります。また、不動産ではなく会社の株式を売却するため、消費税がかかりません。
例に挙げると、不動産の売却によって5億円の利益が発生した場合、約40%もの法人税の支払いが必要になります。そうなると、5億円で売却できても手元には3億円しか残りません。さらに、3億円を株主へ分配したり、役員退職金にあてたりすることになるのです。
不動産M&Aであれば、個人株主の手取り金額は80%となるため、手取り額に大きな差が生じます。そのときの会社の状況によっては、不動産だけを売却するのではなく、不動産M&Aを実行した方がよいでしょう。
買い手のメリットがある
不動産M&Aは買い手にもメリットがあります。不動産取得税や登録免許税などを収める必要がありません。また、契約書の印紙税も発生しないのです。このように、買い手にもメリットがあることを交渉の際に伝えることで、契約までスムーズに進められる可能性があります。
不動産M&Aのデメリット
不動産M&Aのデメリットは、引き継ぎたくない資産や負債までも売却する必要があることです。また、不動産の譲渡を目的とした株式の売却や、保有期間が短い不動産の移転の場合、不動産の譲渡と判断される可能性があります。
また、思っていたよりも価額が高くならないこともあるでしょう。価額が予想よりも低かった場合、不動産M&Aのメリットを踏まえても契約するかどうか判断に迷うのであれば、契約を再検討した方がよいかもしれません。
会社を丸ごと売却するため、現在働いている社員の待遇について交渉が必要になるでしょう。不動産だけを売却しても社員の待遇は変わりませんが、会社を売却するとなれば社長が変わることになるため、モチベーションの低下に繋がります。そのため、M&Aを機に退職してしまうことがあるのです。会社を支えているのは社員であるため、社員へのフォローに力を入れることがポイントとなります。
不動産M&Aはデメリットよりもメリットの方が多いため、前向きに検討することをおすすめします。
おわりに
不動産M&Aは、不動産の取得を目的とした株式の売買のことです。不動産だけを売却した場合と比べて税金面にメリットがあります。不動産の含み益が大きい場合、それだけ多額の法人税がかかるため、不動産M&Aを選択した方がよいでしょう。
M&Aと同じく交渉が必要になるので、専門機関に仲介を依頼することをおすすめします。
安田あかね:M&A BANK編集部 ライター
大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。
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