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2018.05.16

M&A用語解説:プロラタ

安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

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プロラタとは、複数の金融機関から借入を行っている場合の、返済方法です。「プロラタ方式」と呼ばれることもあります。プロラタでは、それぞれの金融機関からの借入金額に応じた平等な返済方法で、金融機関からの信用を損ないにくくなるというメリットがあります。

プロラタとは

プロラタとは、「比例して」、「案分して」という意味のラテン語「pro rata」に由来しています。ここから、複数の金融機関からの借入金を「比例配分」で返済する方法をプロラタと呼んでいます。

M&Aの買収資金を複数の金融機関から借入る場合や、業績不振の会社が各金融機関からの借入金をリスケした場合の返済方法として活用されています。

残高プロラタと信用プロラタ

プロラタによる返済方法は、大きく2つに分けることができます。

ひとつが、「各金融機関からの借入残高」に比例して返済金額を決める「残高プロラタ」です。もうひとつは、「各金融機関の信用部分の借入残高」に比例して返済金額が決められる「信用プロラタ」です。信用プロラタでの信用部分とは、無担保部分と言い換えることができます。金融機関が貸し付けている総額から、差し入れられた担保の評価額や信用保証協会の保証額を差し引いた部分の金額です。

一般的には残高プロラタが活用されています。

プロラタによる返済方法

プロラタによる返済がどのようになされるのかを、簡単な例を使って説明しましょう。

3億円の借入金(A銀行:1.8億円、B銀行:1.2億円、C銀行:0.6億円)があり、毎回の返済額が600万円だったとします。ただし、A銀行には6,000万円相当の担保が差し入れられています。

この場合のそれぞれの方法による返済額は下表のようになります。

融資残高

返済額

残高プロラタ

信用プロラタ

A銀行

1.8億円

(無担保分1.2億円)

300万円

240万円

B銀行

1.2億円

200万円

240万円

C銀行

0.6億円

100万円

120万円

合計

3.6億円

600万円

600万円

担保を設定できている金融機関にとっては、信用プロラタよりも残高プロラタの方が有利です。

プロラタが使われる理由

シンジケートローンやリスケが行われる場合、各金融機関が協調して融資をしているといえます。そのため、会社からの返済は、平等に行うべきなのです。もし、付き合いの長い金融機関に有利に返済しようというのであれば、不利に扱われるかもしれない金融機関は融資やリスケを断ってくるでしょう。

あらかじめ、プロラタで平等に返済すると約束するからこそ、シンジケートローンやリスケに応じていることができます。このように、各金融機関を平等に扱うことで、不公平にならず、自社の信用を損なうことも避けることに繋がるのです。

まとめ

プロラタは、複数の金融機関からの借入返済を平等に行うものです。

金融機関との付き合いの長さやサービス面を考慮せずに平等に扱うことになりますが、そうすることで複数の金融機関に協調してもらうことができ、自社の発展や再生へ向けた財務戦略を実現できるという面で有効な手法だといえるでしょう。

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安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。

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