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2018.04.25

面倒そうな「民事再生手続による事業譲渡」をわかりやすくご紹介

安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

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2017年2月、創刊35年目を迎えることになった科学雑誌「Newton(ニュートン)」を発行するニュートンプレスが民事再生手続の申し立てを行いました。負債総額は約20億円、その利息金と遅延損害金を免除してもらうことを条件に、事業の立て直しを図ったのです。

民事再生手続とは、債務の返済が困難になった会社が事業を続けるための法的整理の手続きのことです。民事再生手続は破産よりも実例件数が少ない再建型倒産手続ですが、前述のNewtonのように事業継続を望む場合には有効な方法です。
民事再生にはいくつかの方法がありますが、今回は事業譲渡による手続きについてご紹介します。

民事再生手続の流れ

まず申し立てをする条件として、破産の恐れがあること、そして借金の返済を優先すると事業を続けることが困難になることが挙げられます。そこで債権者の多数の同意を得て裁判所の許可を受けることができれば、民事再生手続を進めることができるようになります。
ただし、債権者の同意を得られなかった場合には、借金の返済が困難であると認められているので裁判所命令により破産手続きが決定し、会社が消滅してしまいます。

民事再生手続が認められれば、再生計画を立てて債務の圧縮などを含め、債権者との権利関係の調整を行います。

事業譲渡による民事再生手続のメリット

民事再生手続を申し立てると、その会社に倒産のマイナスイメージがつき、企業価値を毀損するようになります。すると再生計画を立てても思うように営業が行えず、借金の返済が困難になるケースが少なくありません。
しかし、事業譲渡により健全な企業のもとで再建すれば、そのようなマイナスイメージを回避することが可能です。

2000年4月から2016年3月までに民事再生法を申請した9,406件のうち、進捗が確認できた7,341社に対して東京商工リサーチが行った追跡調査によると、そのうち70.9%は申請後に吸収合併や破産・特別清算などにより消滅しています。
つまり、民事再生手続後に生存している企業の割合は29.1%という、厳しい現実が浮き彫りになっています。
民事再生手続を行ってすぐに事業譲渡を行えば、少なくとも企業価値を大きく損なう前に譲渡金を得て債務の返済に充てることが可能となります。

また冒頭の例のように、収益を確保している事業を残すことが可能です。
「Newton」自体は黒字経営ですが、母体のニュートンプレスが倒産となれば、その発行もできなくなります。さらに通常の事業譲渡とは異なり、株主総会における株主の議決権のうち3分の2以上賛成を得る必要がなく、裁判所の許可を得れば実行が可能です。

事業譲渡による民事再生手続の注意点

まず民事再生手続は、弁護士へ法律相談をすることから始まります。経営状況や借入の状況を確認し、再建が可能かどうかを判断するためです。裁判所に再建不可能と判断されると、破産手続きに移らなければなりません。

事業譲渡する場合には、譲渡先を見つけることができるか判断するために、キャッシュフローを生み出せる事業があるか調査する必要があります。債務超過の会社の場合、売却金額の判断材料となる事業評価は今後見込める利益を加算したものを対価として算出するからです。

裁判所に民事再生の申し立てを行い、保全申し立ての決定がなされると債権者への返済はストップします。逆に言えば一部の債権者への返済も禁止されるので注意が必要です。

債権者へは説明会で状況説明と再建への協力を要請することになります。ここでも弁護士立ち合いのもとで、理解を得るようにしなければなりません。

裁判所への申し立てから2週間もすれば、民事再生手続の開始が決定されます。その後は会社の財産評価や財産目録、賃借対照表などを作成して裁判所への提出が必要です。そのため、会計に疎い弁護士に頼むと自力での作業が必要になります。
民事再生手続の相談は会計分野にも詳しい弁護士か、あるいは会計士と連携している弁護士を選ぶと良いでしょう。

事業譲渡は民事再生手続が始まってから終了するまでの間に行うことができます。民事再生手続は決定してから3年が経過すると終結となります。
つまり、この間であれば事業譲渡ができますが、再生計画案修正の終期以降の事業譲渡は認められないので注意が必要です。また通常の事業譲渡は基本合意を締結してから譲渡契約の締結まで3か月ほどかかります。

民事再生手続の最中となれば、時間の経過と共に社内の混乱や風評などによる企業価値の毀損が生じます。そのため、民事再生手続の申し立てをする前に、譲渡先の選定などを済ませておくことが必要です。
譲受会社も譲渡後に瑕疵の発見などがないように、買収監査を短期間で綿密に行う必要があります。たとえ契約書に保証を盛り込んでいても、簿外債務などの発見で保証を履行してもらうことは、破綻している譲渡会社相手には望めないからです。
まさに民事再生手続における事業譲渡は時間との戦いであるとも言えます。

まとめ

せっかく収益を生み出せる事業があっても、母体の会社が倒産してしまっては優秀な人材や価値ある技術を消失させることになります。このような場合には、事業譲渡による民事再生手続を検討すると良いでしょう。

ただし事業価値を毀損しないために、事前の準備と迅速な手続きが必要になります。

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安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。

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