2019.03.21
ファンドの種類・高額買収の理由|Vol.151
ハイバリュエーションの理由
島袋
本日も、日本創生投資の三戸政和さんに来ていただいています。
これまでの回では、書籍にもあるサラリーマン向けの個人M&Aについてお話しいただきました。
今回は、この番組を見ている経営者向けにお話をしていきたいと思います。
最近こうして番組をやっていて少なからず知識がついてくる中で、ファンドからは高いバリュエーションが得られやすそうだなと少し思っています。
三戸さんはファンドを運営されているわけですが…
三戸
そうですか?
そう思える理由の1つとして、ファンドにお金が集まりすぎて無理に買っていることはあると思います。だからハイバリュエーションで買っているかもしれないですね。
でも本来、ファンドは安く買って高く売るビジネスなので、普通の事業会社が買う値段より低くしないとリターンがないですよね。
だから本当は、そんなに高くならないはずなんですよ。
今はLBOローンという、買収資金の借入のレートが低いことを利用して、事業キャッシュフローで返していくというスキームがあります。
これがキャピタルゲインらしきものを出しているスキームなので、それなりにハイバリュエーションでもキャッシュフローが回っていればいいかなということで選ばれているんだと思います。
ただ、それは金余りだからそういう形になっているだけで、本来的にはファンドはそんなに高く買ったら商売にならないですからね。
うちなんかは「EBITDAがなんぼ以下じゃないともう買いません」と決めてます。
島袋
ちなみにどのくらいですか?
三戸
(EBITDAが)4倍を切らないと、我々としても次がしんどくなるので買わないですね。
厳格に決めているわけではないですが、あまり積極的には検討しないです。
フェーズによって組むファンドは変わる
島袋
ファンドの方が投資する案件を見られるときは、急成長しているどうかよりも、一定期間安定しているものを好まれる印象があります。
実際はどうですか?
三戸
結局、さっきのLBOローンの話になりますからね。5年間なり6年間の間でLBOローンをちゃんと返せるビジネスが回っていないと、怖くて買えないじゃないですか。
だからLBOローンでリターンを得ようと思っているファンドは、事業キャッシュフローが安定的なところをずっと探していますよ。
だから、急成長しうる会社は急降下する可能性もあるわけなので、そういうところには手を出しにくいですよね。
島袋
そういえばファンドっていろいろ種類がありますが、PEファンドとバイアウトファンドはどう違うんでしょうか。
三戸
バイアウトファンドもPEファンドですよ。PEはプライベート・エクイティ、未公開株式にお金を集めてきて投資しましょうというものです。
その中にベンチャー投資をするベンチャーキャピタルがあったり、我々みたいにバイアウトファンドというカタチで100%取得するファンドがあったり、再生系の投資をするようなファンドがあったりするんです。
要は未上場企業のフェーズによって、投資のしかたとか呼称が変わるんです。
上がっていくところに投資するのはベンチャーキャピタルだし、キャッシュフローが安定しているところに投資をしていくのはバイアウトファンド、主にLBOローンを組み合わせて落ちて行っているところに投資するのは再生系の投資ファンドです。
プライベート・エクイティ・ファンドの中身はだいたいこんなイメージです。
島袋
わかりやすい。じゃあヘッジファンドというのはなんなんでしょうか?
三戸
ヘッジファンドは私もそこまで詳しくないんですが、どっちかというと上場株とか為替とか、アービトラージ(裁定取引)なところでやっていくやつですよね。
ヘッジファンドはどちらかというと経済とかマクロな環境の中で戦っていくので、ぶっちゃけやっていることは全然違います。
我々はどちらかというと「この会社・ビジネスをどうするか」というところで投資をしているので、ヘッジファンドの方は私はあんまり関係がないし、はっきりはわかんないです。
島袋
そうなんですね。勉強になりました!どうもありがとうございます。
そろそろお時間ですね。次で最終回になります。
ではまた、M&A BANKでお会いしましょう!
■三戸 政和:株式会社日本創生投資-代表取締役社長
日本最大級のベンチャーキャピタルにて国内外の投資先の経営に参画。その後、兵庫県議会議員を務める。2016年に中小企業向けの事業承継・事業再生専門の投資ファンドである日本創生投資を創業。ロンドンにて会社を立ち上げ、従業員へ事業を引き継いだ経験も。2018年、「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」を出版。
【株式会社日本創生投資とは】
「地方創生」「中小企業」「事業承継・事業再生」をキーワードに設立された投資ファンド。ベンチャーキャピタルやバイアウトファンド出身のメンバーで構成される。金融機関への借入返済がリスケ状態となり、事業価値が毀損している企業の抜本改革を得意とする。
■島袋直樹:IdeaLink株式会社-代表取締役
シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。
【YouTubeチャンネル】
https://www.youtube.com/channel/UCbxAeKe2f9WZGbKy1jHV0Dw
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