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売り手支援のプロがM&Aのプロセスを解説!|Vol.233 | M&A BANK

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2019.11.16

売り手支援のプロがM&Aのプロセスを解説!|Vol.233

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 目次 

1.  売却のプロセスは3段階。「中間条件提示」がポイント
2.  アドバイザーが力になってくれるところは
3.  全体像を押さえて、戦略を決めてから動く。

 

売却のプロセスは3段階。「中間条件提示」がポイント

島袋
宮崎さん、売却型M&Aのプロセスについて、改めて教えていただけますか?

宮崎
こういう大きな手順を経ることになります。①~⑤のところが初期段階ですね。

⑥に「買収者側の条件提示」とあります。そのあとが第2ステージみたいな感じで、⑥までとそのあとと合わせて、3段階に分けて考えるといいと思います。

シンプルに言えば、売り手はまずいろいろと準備をして、買い手のリストを作って打診をして、NDA(秘密保持契約書)を結んで検討してもらいます。これが初期ステージです。
初期ステージは面談の回数も多くて2~3回くらいで、買い手に理解してもらって中間的な条件提示をしてもらいます

なぜ中間条件提示をするかと言うと、買い手はそのあと、高額なお金をかけてデューデリジェンスをしていきます。
デューデリジェンスは会社の評価のことですね。大きく分けてビジネスと財務と法務に分かれていて、弁護士とか税理士・会計士を、たとえば何百万、何千万という金額で雇います。

調査をして出した「これくらいだったら買えそうだ」という条件をもし売り手がOKしてくれなかったら、そのコストが全部無駄になりますよね。
売り手としても、ある程度の買収条件を買い手から提案してもらわないと、あまり細かい資料は出したくない。たとえば総勘定元帳もそうで、自分がどこのお店に行っているか、場合によってはどこのキャバクラに行っているかまで全部書いてあります。
それはまだいいとして、もっと深い情報とかもあるわけです。取締役議事録のような深い情報を出すのは、買い手が「だいたいどれくらいで買えるか」を提示してもらってからにしたいものです。

そうして、中間提示で出した金額で問題ないかを確認した上で、最後のクロージングを迎えます。

こんな風に、買収までのプロセスはプレフェーズ、相手からの条件提示を受けるフェーズ、最終合意の3つの段階に分かれます。まずそれが基本だと思ってください。

 

アドバイザーが力になってくれるところは

宮崎
最初の段階で行う準備として専門家がまず作るのが、ティザーメモランダムと呼ばれるものです。
これは対象会社名を伏せてある資料で、特定されないレベルで、ある程度魅力的な情報を書いていくものです。

売り手側にプロが入った場合は、「セルサイド・デューデリジェンス」という、先ほど買い手がするとお話していたものとほぼ同じことをして、どこが魅力的かを見たり、役員報酬をいっぱい取ったり接待交際費をいっぱい使ったりしている場合はそれを削って、オーナーチェンジしたあとにどれくらいのコストになるかを見て利益(予測)を出したりします。

売り手さんの希望売却価格に対して「それはちょっときついですよ」と言うこともあれば、「もうちょっと期待できると思いますよ」と言うケースもあります。
たとえば、他のところに相談したら2~3億と評価されていた会社さんで、僕が10億くらいで売れそうだと評価したことがありました。さすがに10億では売れなかったけど、7~8億になった。

なぜこういうことが起こるかと言うと、アドバイザーからすれば、安く売れた方が楽なんです。買い手が楽に買えるから、ディールが長引かなくて。
売り手の高めの希望金額に合わせようとすると時間がかかって、FAは大変なんです。
とはいえ、最初に評価した結果まではいかなくても、最初の金額の3倍近くになったわけです。だからこういうところは大事ですよ。

 

全体像を押さえて、戦略を決めてから動く。

宮崎
あとは売却戦略、これを考えなきゃいけないですね。
たとえば相対でやるのか入札で進めるのか、どれくらい(の数)打診するかから始まって、細かいところまで戦略を組んでいきます。
それが終わったら、買い手のリストアップをしてあたって、打診していくことになったらNDAをまいて、そこから開示資料を準備するように(売り手に)伝える。

相対であれば、そこで会社の説明資料をどう作るかが重要になります。
たとえば決算書の利益が3000万でも、もし役員報酬で1億取っていて本来9000万くらい浮くとしたら、利益は1億2000万になるので、そういうことをちゃんと書くことも必要です。今のは大げさな例ですが、そういうことは売り手からちゃんと説明しないと、買い手はあえて高く評価したりしないわけですから。

そういう風に打診や説明をして、買い手候補から提示が来るのが早くても1週間~2週間。事業会社、特に大企業であれば1~2ヶ月くらいはかかりますね。

たとえば50社打診して2社くらいから中間的な提示額が来たら、正式にデューデリジェンスのプロセスに進みます。
そこで独占交渉権を付与するかしないかという議論が起こることもあります。独占交渉権を付与すると、その買い手以外の買い手とは打診しないし話もしないと契約することになります。

買い手は、本格的なデューデリジェンスに入るとなると専門家を呼んできてバーっと資料を並べて、資料をひとつずつ見ていくような形でチェックします。多いときだと20人くらい参加することもあります。

それが終わったら、中間的に提示した条件で買収していいのかを、買い手の役員会や投資委員会で議論します。
そして契約の締結、クロージングというのが一般的な流れです。

島袋
まとめるとどんな感じになりますか?

宮崎
まず初期で1番大事なのは、自分たちが訴求するポイント基準となる希望価格をちゃんと決めること。ここがまずスタートになると思います。

あとは、フェーズごとにポイントがたくさんあるんですが、まずはプロセスの全体図をおさえるということが1番大事だと思います。

島袋
なるほど、全体図をおさえて、それを知った上でアドバイザーさんにたのんで、ディールに挑むべき、ということですね。
アドバイザーさんにお願いする前に、自分で全体像を知っておくべきだと。

宮崎
はい、やっぱりそこは知っておいた方がいいと思います。

島袋
そうなんですね。
次回も宮崎さんをお招きして、買い手候補との話の進め方について、ポイントを教えていただきます。皆様どうぞお楽しみに!

【出演者情報】
■宮崎淳平:株式会社ブルームキャピタル-代表取締役社長
ライブドアグループ、株式会社セプテーニ・ホールディングス、株式会社社楽にてM&Aアドバイザリー業に従事。その他にもプライベートエクイティ投資案件、資金調達案件、及びファンド組成・運営を多数経験。2012年にブルームキャピタルを創業。『会社売却とバイアウト実務のすべて』著者。

■島袋直樹:M&A BANK株式会社-取締役会長
シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡し、2018年3月よりM&A BANKの運営を開始。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。

順次更新、宮崎さんのご出演動画 一気見はこちらから
(M&A BANK YouTubeチャンネル)

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