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リスクを承知でとった、上場後の成長戦略とは|Vol.238 | M&A BANK

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2019.11.28

リスクを承知でとった、上場後の成長戦略とは|Vol.238

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 目次 

1.  ロックオン時代の強烈な思い出
2.  事業を1本に絞った「後」も、苦労は続く…
3.  市場の期待を裏切ってでも、賭けないといけなかった

 

ロックオン時代の強烈な思い出

島袋
今回も旧ロックオン、現イルグルム社の岩田社長に来ていただいています。
僕、ちょっとね思い出しました。
2015年くらいの冬に…銀座のオフィスって今もありますか?

岩田
あります。今は日比谷に移ってますが。

島袋
あれは寒い日で、2月くらいだったと思うんですが、雪が降る中御社に行ったら、取締役の女性の又座さんが、梅こぶ茶を出してくださったんですよ。
それが本当に美味しくて、「なんて素晴らしい会社だ!」と思って、弊社でも梅こぶ茶を導入させてもらいました。

岩田
そうでしたか(笑)

島袋
いやもう、素晴らしいおもてなしでした、本当に。
たぶんあの梅こぶ茶、売上に貢献してると思いますよ。
普通の昆布梅茶じゃないんです、めちゃめちゃ美味しいんです。

岩田
ははは、けっこうこだわっていたみたいなので、そう言っていただけてよかったです。(笑)

事業を1本に絞った「後」も、苦労は続く…

島袋
さて、前回の続きですが…

岩田
はい。次に外に出したのがEC-CUBEです。これも続けていると話がややこしくなってきたんですね。
たとえば社員総会で「これからは効果測定のAD EBiS一点で頑張るぞ」「これが負けると会社もコケる」というメッセージを言った直後に、「ECも頑張るぞ」と言わなければならないわけです。

島袋
あるあるだ。

岩田
そうするとどっちやねんみたいな話になってくるし、やっぱりパワーが出ないので、やっぱりEコマース事業は外に出さないといけないと考えて、100%子会社の会社を作ってそっちに事業を移管して、社員も転籍なりしてオフィスからも出て行ってもらって、社員総会も別でやって、その事業を切り出しました。

本体の今のイルグルムは、効果測定プラットフォーム・AD EBiSのみをやる。これがコケたら会社がコケると誰が見てもわかるから、すごいパワーが出るようになって、売上が伸びるようになってきました。

島袋
はぁー、すごいなぁ。戦略的ですね。

事業を整理して、AD EBiS1本に絞って伸ばしていこうという体制を整えたわけですよね。
それからどうなったんですか?

岩田
そこからですね、いろいろあったんですよこれが。

島袋
いろいろ…。ちょっと聞きましょう!

岩田
まずは重いやつからですね。
上場するときは、五穀豊穣を祈って鐘を突くわけです。
そのときに7人いたんですね。取締役が4人と、監査役が3人と。現在残っているのは、なんと私だけなんです。

島袋
うそー!!

岩田
そうなんですよ、いろいろありまして。
島袋さんもなんか、いろいろあったとか…

島袋
僕もいろいろ、いろいろありましたね…髪の毛白くなっちゃいましたよ。
人生いろいろありますからね。

岩田
そうなんですよ。

市場の期待を裏切ってでも、賭けないといけなかった

岩田
それに、これ(AD EBiS)はサブスクビジネスなので、今日開発したもので今日売上が上がるわけではなくて、コツコツ月額5万10万と積み上げて、しばらくしてからこの初期投資を回収するというモデルじゃないですか。
そういう意味では踏み込んで投資をしないといけない事業なんです。

と考えると、このAD EBiSという事業を伸ばすためには、一定期間どんどん減益を続けるような形でやっていかないと、中長期的な伸びが期待できない。

やっぱり、上場すると単年度での増収増益を当然ながら期待されるわけです。我々の場合、申請期の利益が2億5000万でした。上場した期は予想で3億5000万はいきますと言っていました。そうなってくると、次は当然ながら4億5000万から5億となるわけです。そしてさらにその次…と。

その当時、我々はフィンテック銘柄という形になっていたんです。
ブロックチェーンの研究をやっていますという話をしていたからだと思いますが、それで株価がどんどん上がって、一時時価総額が300億とかになっていました。
まあいい感じなんですが、そうするとそこからさらにちょっとずつ上がっていくかなという期待もある一方、経営者としてはこのままずっと伸び続けるのは難しいと体感でわかるわけです。
3億5000万が10億になるモデルかと言うと、やっぱりそうじゃない。

それでいろいろと考えて、ここは踏み切って1回全部投資にまわそうと決断しました。
利益が3億5000万あるので、この部分を全部投資にまわして若干マイナスくらいまでいくと、4億~5億くらい投資できる。
細かい話ですが、当時我々はソフトウェアの資産とかを一切計上せずに上場していたので、そういうのも入れると年間6億くらいは投資できる余力がある。

ただ、それとトレードオフになるのが当時300億あった時価総額で、おそらく5分の1にはなる。

じゃあどうするんだという話になりましたが、やるしかない。
利益も3億5000万から2億5000万、1億からマイナス1億に、ここ4年くらいでどんどん掘っていったんです。
株価もそれに伴ってどんどん下がって、半分になり3分の1になり、4分の1、5分の1にと実際なりました。

島袋
そのときの心境ってどんな感じなんですか?すごく焦る気がするんですけど。

岩田
もちろんです。四半期とか単年度で考えると絶対にやるべきじゃないという判断になるんですが、やっぱり3年後・5年後・10年後、さらにその先を考えると絶対に今やらないといけないし、やるべきだという信念を持って。
いろいろと言われたり、最悪は株式市場から無視されて、出来高がほとんどない状況にはなるんですが、それは甘んじて受け入れて、さらにその先を目指そうよ、という思いでしたね。

島袋
実際、やっぱりこうV字で上がってきてますよね。

岩田
今はちょっと上がり始めたくらいですね。
一時、時価総額も50億から60億に、さらに上がって100億くらいになったりというレベルにはなってきました。
そういう意味では、水面下からようやくちょっと回復してきて利益も出るフェーズになってきた。
少しずつ上がってきたくらいではあります。

ただ、やっぱり300億以上までいかないと掘り始めた意味がないので、そこから考えればまだまだ「ちょっと浮上した」くらいです。

島袋
なるほど、今後がさらに楽しみですね。

【出演者情報】
■岩田 進:株式会社イルグルム-代表取締役
1997年、関西学院大学を休学し、バックパッカーで東南アジア、北米を旅する。飲食店経営、旅行ビジネスでの起業を経て、2001年有限会社ロックオンを設立し、代表取締役へ就任。卒業翌年に有限会社ロックオンを株式会社化。2019年に社名を「株式会社イルグルム」に変更。

■島袋直樹:M&A BANK株式会社-取締役会長
シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡し、2018年3月よりM&A BANKの運営を開始。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。
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順次更新、岩田さんの出演動画 一気見はこちらから
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