2020.04.07
元野村證券、逆張り起業、2年足らずでイグジット【SPLENDID・塩谷社長】|Vol.286-288
今回のゲストは、WELQ騒動後に医療系ウェブメディアを立ち上げ、2年足らずで調剤薬局チェーンのクオールHD子会社のアポプラスステーションへ売却した塩谷氏。
聞けば、今回のM&Aは買い手探しもDD対応も自力で行ったとのこと。29歳の若き起業家はどんな経緯で売却を決め、どうやって成立に至ったのか、詳しくうかがいました。
▶塩谷社長の出演動画 一気見はこちらから◀
1990年 福岡生まれ。東北大学卒業後、野村證券株式会社にてリテール営業に従事。2017年2月に株式会社SPLENDIDを設立。正しい医療情報を発信するWEBメディア「medicommi」を運営。2018年11月、成長にドライブをかける手段として、クオールホールディングスに参画を決める。
#286 元野村證券、逆張りで起業、2年足らずでイグジットした29歳現る
逆張りの創業から2年足らずで売却
- 創業2年足らずでアポプラスステーションへ売却、しかもまだ29歳
2017年 株式会社SPLENDID創業
2018年11月、調剤薬局チェーンのクオールHDの子会社に売却 - むしろWELQ問題を見て攻め込んだ“ヘルスケアメディア”事業
創業前、当時推定3億PVを誇ったWELQの問題が話題に
一気にあいたパイに興味を持ち、ヘルスケア事業への参入を決める - 出稿先を失ったナショナルクライアントが顧客に
医師の監修をつけ、WELQを反面教師としてメディアを作る
当初は厳しかったが、徐々にナショナルクライアントの純広告が出るように - Google対策に加え、コンテンツプロバイダ事業も走らせる
グーグルの動向に合わせたメディア作りだけでは不安定と判断
製薬メーカー向けの記事作成代行事業を立ち上げたところ、順調に推移 - ある投資家が創業からハンズオンで支えてくれた
資本金5000万円からスタート、医師のアサインもサポートしてくれた
創業7か月でアルゴリズム改訂により資金ショート危機が訪れる
さらに5000万円の出資を受け、なんとか回っていった
新しい事業を立ち上げようとして持ち上がった“M&A”
- デジタルサイネージ事業を始めようと営業したことがきっかけ
2018年、タクシーのデジタルサイネージが伸びた
ヘルスケア版のデジタルサイネージアドネットワークを作ろうと奔走 - 「資本業務提携なら」から「100%買収なら」へ
前向きな企業が少ない中、「資本業務提携なら全面協力する」と言う会社が出てきた
さらに「100%買収ならまとめてやってあげる」という会社も
M&Aという選択肢もありえることを知った塩谷社長は、その後経営者の友人等に頼んで買い手候補となる企業を紹介してもらい、そこで買い手となったホールディングスの方に会えたんだとか。
▶動画はこちら◀
#287 ロックアップ期間を終えて、M&Aを振り返る
新卒で入った野村證券での経験が起業のきっかけに
- 野村證券でリテール営業、配属が渋谷だった
担当している顧客は、一回りしか年齢が変わらないのに超お金持ち
今の会社の延長に彼らの姿はないと思い、2年半で退職、起業へ
FAなしで買い手探し・DD対応のスーパーマンぶり
- 売却できるとわかってからは、自分でも買い手探し
自らfacebookメッセンジャーで買い手候補に打診
友人経営者が食事会を設けてくれ、人の紹介やアドバイスを得る - デロイトの方とつながり、買い手に興味を持たれ、3ヶ月で契約
大企業を紹介してくれるデロイトベンチャーサポートの方とつながる
デロイトファイナインシャルアドバイザリーがクオールHDのFAを務めていた - まさかの「DD対応は自分で」
FAを立てていなかったので、塩谷さんが株主や役員を回って資料を作成
将来のキャッシュフローに納得してもらうのに苦労
バリュエーションにはメディア事業・デジタルサイネージ事業も含まれている
IPOにも未練なし
- IPOは「一生しなくていい」?
持ち株の分の資金を得て、ロックアップも終えた塩谷さん(兼任期間中)
IPOを目指すものと思っていたが、M&Aの方がハッピーになることが多いとの感想
役員や株主とは細かくコミュニケーションをとっていたため、売却が決まっても特に反発はなかったそうです。
▶動画はこちら◀
#288 経験者が語る、YMYL領域での事業、株の配分
YMYLはもう「本当にやめておいた方がいい」
- 短期的な対応もできるが、いずれは難しくなる
YMYLにカウントされていない単語を探して記事を書くこともできる
ただし、グーグルもアップデートを続けるのでいつかは上位表示されなくなりうる - 民間企業はもうチャレンジするべきではない
クリニックや公共機関からリンクを大量に貰えるところにしかできない
メドレーやEPARKがその一例
約1万人を抱える大企業のグループに入ったことで意思決定のやり方が複雑になったそうですが、「いろいろな人の意見が聞ける」とポジティブにも捉えている、とのこと。
元の会社の経営を兼任しながら、新しい挑戦も既に始めている塩谷さんでした。
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