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要望を通すための交渉術ーM&A交渉のポイント④ | M&A BANK

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2020.08.26

要望を通すための交渉術ーM&A交渉のポイント④

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M&A交渉を控える方のための連載、第4回です。
今回は「要望を通すための交渉術」を取り上げます。

ポイントは「他で譲歩すること」、「相手に言わせること」、「似た事例を探すこと」。
交渉の中で使えるフレーズも覚えておきましょう。

この記事は、M&Aの交渉にあたり、
「不利な条件を飲まされないようにしたい」
「交渉を優位に進めるために、何に気を付けるべきか知りたい」
という方に向けてお届けする全5回の連載の第4回です。

▼予定コンテンツ▼
1. 理想的な交渉・やってはいけない交渉
2. 交渉が成立する条件
3. 交渉力・立場を強くする要因
4. 要望を通すための交渉術
5. M&A交渉の実際の手順とポイント

 

 目次 

 相手から譲歩を引き出す言葉
 その他の間接的な方法

 

相手から譲歩を引き出す言葉

①他で譲歩するタイプ

「親切にされたら(相手に譲歩してもらったら)こちらも返すべき」という心理(返報性)に訴える方法です。

自分の譲歩を相手に認識してもらうこと(場合によってはアピールすること)、一度譲歩したら続けて譲歩せず、その都度相手にも譲歩を求めることがポイントになります。

  1. 他の条件で譲歩する … 「では、○○についてはうちが折れるので…」
    <ポイント>
    ・条件面だけでなく、面倒な仕事を引き受ける等の親切でも可能
    ・相手にとっては重要度が高く、自分にとっては低い事柄で譲歩すると効果的
    ……相手が感じる恩は大きく、損失は少なく済む
    「自分にとって重要度が低い」とわざわざ相手に伝えない
    ……より「大きな譲歩」に感じさせることができる
  2. 過大な要求で譲歩する … 「では、(本来の希望の条件)でいいので…」
    <ポイント>
    ・最初は断られてもいい過大な要求をし、本命を次で出す
    ・一度わざと断らせ、「続けて断るのは悪い」という心理に訴える
    ・無茶な要求になりすぎて、愛想をつかされないよう注意

 

②別のところで相手にOKと言わせるタイプ(一貫性)

「自分が言ったことを覆すと信用を失う」という心理(一貫性)に訴える方法です。
相手に自分で決断、コミットメントさせることがポイントです。

  1. 選択肢を用意する … 「この中ではどれがよいでしょうか?」
    <ポイント>
    ・自分の側が受け入れられる選択肢を複数用意する
    ……「選択肢を準備する」ことも、ある種恩としてカウントされる
    ……どれになっても困らないものにしておく
    「相手に選ばせる」ことで、「自分が能動的にした意思決定」だと思わせる
    ……「こちらの希望のために相手に折れてもらった」印象を抱かせない
  2. 簡単なことでまずOKをもらう …「では、こちら(本来の希望)もよろしいですか?」
    <ポイント>
    ・相手が受け入れやすい部分だけを先に出し、まず一度承諾を得る
    ・承諾を得た流れの中で、あとから希望を追加する
    ……次も「いいですよ」と言わざるを得ない空気を作る
    ・相手に「ずるい」と思われかねないので、ほどほどに

 

③類似例を示すタイプ(社会的証明)

他にも同じ事をしようとしている存在がいることを示す(社会的証明)方法です。
「この取引自体は間違っていない、成立させるべき」という気持ちにさせ、間接的に譲歩を引き出すことがポイントです。

  1. 他の買い手候補の存在を示す … 「他にも欲しいと言ってくださる方がいて…」
    <ポイント>
    ・競争相手は数社程度と思わせること
    ……あまり多く感じると買収自体が難しいと思われてしまう
  2. 競合他社に後れを取る可能性を示す … 「実は御社の競合も買収を考えられているようで…」

 

④好印象を与えるタイプ(好意)

好意を持つ相手の頼み事には応えたくなる心理に訴えかける、間接的な方法です。
交渉のプロセス全般で“仲間感”を醸成することを意識し、“対立関係にある交渉相手”という印象を脱却することがポイントです。

  1. 共通点を明示する … 「私も実は~~です」
  2. 相手を理解していることを示す … 「~~ですよね?」
  3. 味方に見せる … 「私はいいと思うのですが…なんとかしてみます!」

 

 

その他の間接的な方法

他にも相手からの譲歩を引き出すためにできる工夫として、以下のようなものもあります。

  1. 権威を感じさせる
    「この人の言うことはちゃんとしていそうだな」という印象を与えれば、より簡単に相手を納得させることができます。
    資格や会社の規模、肩書きが違えば相手が受ける印象も変わるので、そういった要素を持つ人物を協力者に入れるという工夫ができます。
    必要があれば、自身の服装等も場面に合う物に変えましょう。
  2. 希少性を感じさせる
    「他にはもうないかもしれない」「もうすぐなくなってしまう(取られてしまう)かもしれない」と思わせることができれば、相手を「多少譲歩してもいいから欲しい」という気持ちにさせることができます。
    独自性のある部分についてはしっかりとアピールを行い、希少性を感じさせるよう心がかけましょう。

 
 
交渉中に役立つフレーズ、それぞれ覚えていただけましたでしょうか?

次回は最終回、M&A交渉の実際の手順と、段階別の注意点をご紹介します。
お役に立てていただければ幸いです。

 

 

参考・おすすめ文献

藤井一郎(2011)『プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中―「決まる!」7つの交渉術』東洋経済新報社

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■安田あかね:M&A BANK編集部 ライター
大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。
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