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2018.06.12

#31 廃業するくらいならM&A、だけどそれもできない事情がある

冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士

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老舗M&Aサイトの終焉

2018年6月、GMOインターネット社はサイトM&Aの終了を公表しました。
サイトM&Aサービス終了につきまして

サイトM&AはM&Aマッチングプラットフォームとしては老舗で、2008年11月から事業運営を行っており、もともとは2008年10月にバトラァーズ社から買収した事業だそうです。

そんなサイトM&Aですが、GMOの元で事業開始してから約10年で終了、閉鎖となりました。
サイトM&AはWebサイト売買のプラットフォームなわけですから、終了するのではなく自らをプラットフォーム上で売却すればよかったのに、とも思いましたが、そうはいかない事情がありそうです。

売れない事情

サイトM&Aというのは業界的には一定の知名度がありましたし、少なくとも数億以上の売上があるビジネスだったと思います。そうであれば、自社で事業運営を行わないという決断をしたとしても、探せば引き取り手はあるはずです。

ここで気になるニュースがありました。2017年9月にGMOの一部サービスで1万4612件の顧客情報が流出したことが明らかになりました。その流出した情報というのが、サイトM&Aに登録されている情報でした。特に上場会社にとっては顧客情報の流出というのは大きな影響をもたらし、信用問題に発展します。
このように問題を起こした事業については、たとえ売却可能であってもそのまま廃業することがあります。

問題のレベルが異なりますが、2017年12月にミクシィ社子会社運営のチケット転売サイト最大手チケットキャンプは、不正競争防止法違反の容疑で捜査当局による捜査を受け、結果としてサービス終了を公表しました。
チケットキャンプは大きな利益を上げており、本来は売却可能な事業でした。そもそも、チケットキャンプは2015年に100億円以上の金額でミクシィが買収した会社の事業です。

このように、売上や利益だけを見れば売却可能な事業であっても、社会的影響などを考慮し閉鎖することがあります。GMOのサイトM&Aの閉鎖については上記の情報流出が原因だったかは不明ですが、大きな影響を与えていることは間違いないと思います。

ではどうすればいいのか?

理想論を言えば、日頃から想定されるリスクを検討し、対応策を講じるということになりますが、なかなかそれも難しいのが現状です。
GMOは東証一部上場企業で金融事業を行っており、法令遵守や管理体制はインターネット系企業の中では最高レベルにあるはずです。それでもこのような問題が生じてしますのです。

そのため、経営者ができることは、たとえ運営する事業の足元の業績が良かったとしても、明日は何が起こるかわからないという覚悟をもって経営するということに尽きるのでしょう。
その考えがあれば、万が一の事態を想定した対策を普段から考えることができます。その対策の一つがM&Aだと私は考えます。

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冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士

KPMG/あずさ監査法人のIPO部に所属。IPO関連業務、M&AのDD、会計監査等に従事。フロンティア・マネジメント株式会社にて、M&Aアドバイザー業務等に携わる。その後、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後、TOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。同時に、IdeaLink株式会社の取締役CFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員に就任。

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