2018.03.03
#3 ライザップ、2018年M&A第1弾!CDショップの新星堂など運営企業を買収
冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士
RIZAP、「新星堂」運営元のワンダーコーポレーションを子会社化
RIZAP(ライザップ)グループは2月19日、エンターテインメント専門店「新星堂」「WonderGOO」などを展開するワンダーコーポレーションを連結子会社化すると発表した。ワンダーが運営する店舗内にRIZAPグループのジムを出店して入会者の獲得を図るなど、両社の強みを組み合わせてシナジーを生み出す狙い。RIZAPグループは2月20日~3月22日に株式公開買い付け(TOB)を行い、ワンダーの筆頭株主でスーパーマーケット事業を手掛けるカスミが保有する株式の43.1%を取得する見通し。
ワンダーが実施する第三者割当増資も引き受ける予定で、5月31日までに58.0%を保有する親会社になる。取得総額は16億5330万円。
RIZAPグループは今後、ワンダーを「住関連・ライフスタイル事業」の中核企業に据える予定。ボディメイクに成功したジムの顧客を対象に、ワンダーが手がける古着の買い取りサービス「WonderREX」を訴求するなどし、事業の拡大を図っていく。
ワンダーの来店率向上のためのテレビCMの放映や、RIZAPグループのPB(プライベートブランド)商品を「新星堂」などで取り扱うことも計画中。ワンダーの不採算店舗は、閉店や業態の転換などによってコスト削減を図る方針だ。
顧客基盤のさらなる拡大も目的の一つだ。現在、RIZAPグループは全国に825店舗を構えるが、ワンダーの傘下入り後は1125店に増えるため、より多くの潜在顧客と接点を持つことが可能になる。
一連の施策により、RIZAPグループは2019年3月期の「RIZAP関連事業」の売上高を18年同期の1.5倍に増やすとしている。同事業の18年4~12月期の売上高は、前年同期比36.6%増の235億円。
記事引用元:http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1802/19/news127.html
M&Aで急成長している企業と言えば
第2弾があるかは全然知りませんがライザップならどんどんM&Aするでしょうということで2018年第1弾というタイトルにしました。2月19日、ライザップは新星堂やWonderGOOなどを運営するワンダーコーポレーションの株式の過半数を取得し、子会社すると公表しました。
ライザップのM&Aはいつも「どこにシナジーあるんだ」的なことを言われますが、そういう問題じゃないんですよね。
シンプルに、「一定の規模のビジネスを作り上げたけど最近うまくいってない会社を買って再成長させる」という観点でみれば大抵は説明がつきます。この点、ワンダーコーポレーションは近年業績は低迷し、直前事業年度で約10億円の赤字を計上していました。
買収先を選ぶのに有益な指標「PBR」
ちなみに、うまくいってない会社を定量的に選ぶのに手っ取り早い方法があります。もちろん、赤字というのもその一つですが、成長性はあるけど投資したり一時的な損失が発生したりしているから赤字というケースもありますよね。そんなケースに有益な指標として、PBRというものがあります。
wiki先生によるとPBRとは下記の通りです。
「株価純資産倍率(以下PBR)は、一株あたり純資産額に対する株価の倍率を測る指標である。以下の式で求められる。
PBR=株価÷一株あたり純資産額
一般にPBRが1倍であるとき、株価が解散価値と等しいとされ、それ以下だと割安株として扱われる。1倍以下の水準では会社が保有する純資産の額より株式時価総額のほうが安いことを意味しており、継続的に事業を行うより解散した方が株主の利益になる可能性がある。魅力的な事業・資産を持つにも関わらず低PBRで推移している企業は絶好の買収対象になるかもしれない。一方、PBRが高いからといって割高であるとはいえないが、資産を目的とした買収の対象としては魅力的とは言えない。」 色んな考えや例外がありますがとりあえずざっくりいうと、PBRが低いということは「資産を有効に活かしていないし活かせそうにない」とみんなから思われている会社ということですね。そしてPBRが1倍以下の会社はその代表例として扱われます。
本件もM&A公表前ではPBR1倍を大きく下回っていました。そして過去のライザップの買収案件でもPBR1倍以下のケースが多くあると思います。たぶん。
ライザップのM&Aの歴史と真の目的はそのうち特集しようと思っているのでお楽しみに!
冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士
KPMG/あずさ監査法人のIPO部に所属。IPO関連業務、M&AのDD、会計監査等に従事。フロンティア・マネジメント株式会社にて、M&Aアドバイザー業務等に携わる。その後、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後、TOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。同時に、IdeaLink株式会社の取締役CFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員に就任。
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