2018.03.12
#8 M&Aにより獲得したM&AマッチングサイトをリニューアルしM&A事業開始!(後編)
冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士
デロイト トーマツが中堅・中小企業向けM&Aマッチングサービスを開始
マッチングプラットフォーム「M&Aプラス」のサービスサイトをオープン事業承継の問題や事業成長戦略の選択肢を広げ、信頼の取引ができるM&Aの場を提供デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(本社:東京都千代田区、代表執行役社長:烏野仁)は、中堅・中小企業向けのM&Aマッチングプラットフォーム「M&Aプラス」(https://ma-plus.com/)のサービスを開始しました。
■M&Aマッチングプラットフォーム「M&Aプラス」の特長
中堅・中小企業向けの「M&Aプラス」は、既存の仲介サービスとは異なり、中立性を重視した新しい形態のサービスです。現在事業承継問題や、事業成長戦略で課題を抱える中堅・中小企業とファイナンシャルアドバイザー(FA)をオンライン上でマッチングすることで、スムーズで公正な取引を実現します。●M&Aの専門家が選べます
売却や買収を検討中の企業が「M&Aプラス」に登録すると、会員専用ページの地域や実績などの情報から、自社にあったFAを選定できます。
●全国の企業からマッチングする相手を探せます
売手、買手企業が選定した担当FAは「M&Aプラス」で全国の登録案件の検索が可能です。担当FAは、担当企業の意向や、戦略に合った相手を効率的に探すことができます。
●信頼性の高い取引を実現します
マッチング後も、案件がどの過程に位置するかが「可視化」されるので、担当FAがM&Aのプロセスを適切に管理でき、売手・買手企業も自社の売買の進捗状況をサイトで確認することができます。■M&Aマッチングプラットフォーム「M&Aプラス」サービスの背景
近年、日本各地において経営者の高齢化や後継者不足を背景に、事業承継に関する問題に直面する企業は増加の一途を辿っています。今後、中小企業におけるM&Aのニーズが増え続けることが予想され、政府も2018年度の税制改正で、中小企業の事業承継を促す税優遇策や事業承継を拡充する方針を固めています。
しかし、中堅・中小企業のM&Aにおける課題として、都心部以外の地域においてM&Aを専門とする経験豊富なFAが不足しているため、限られた選択肢の中で決断しければいけないという現状があります。
デロイト トーマツは、成約までのボトルネックを解消するために企業とFAをつなぎ、売手と買手のマッチング支援に関しては全国の案件情報を共有することのできる中立性の高いプラットフォームを構築しました。このサイトにより、全国のM&A専門家と連携することで、中堅・中小企業の経営者の方々が、全国のM&Aに関して気軽に相談できる体制づくりを進めます。■「M&Aプラス」の概要
サイト名 M&Aプラス 運営会社 デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 サイトアドレス https://ma-plus.com/ 機能 案件管理機能、マッチング管理機能、FA検索機能、FAと売手/買手間の承認機能、情報統制機能 記事引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000131.000000202.html
M&A業界のジレンマに対するデロイトの決意
前回はM&Aアドバイザーの利益相反問題の代表例について解説しました。今回はそれとデロイトが買収したM&Aプラスというサービスがどう関係しているのかを解説したいと思います。
M&AプラスはM&Aのマッチングプラットフォームであり、会社や事業を書いたいor売りたい会社を探すことができるというサービスです。これだけなら同じようなものはいくらでもあります。特徴的な点は、このプラットフォームを利用する場合は仲介型ではなくFA型のアドバイザーが買い手と売り手の双方に必ずつき、その上でM&Aを行うサポートをするということです。これは過去にないサービスです。具体的には、M&Aプラスに審査を通過した全国のFAが事前に登録し、M&Aを検討する経営者はその中からFAを自由に選ぶとのことです。これにより、地方などM&Aに精通したFAを探せなかった経営者などにも一定以上のクオリティのサービスを届けたいそうです。
このサービスを見たとき、かなり偉そうですが「デロイト頑張ってるなー」と思いました。というのは、従来から「仲介型は問題だ」的な理屈を言う人たちは大量にいたのですが、「じゃあ小さいM&A案件であんまり報酬も払えない会社はどうやってFA見つけるの?」的な問いに対してはゴニョゴニョ言うだけで明確な解決策をもってませんでした。この点、デロイトは自分たちでこの問題を解決するためのサービスをリリースしたことから、その本気具合を垣間見たということです。
ただ、このサービスが全国に広がるかといえば私はまだ懐疑的です。世の中にサービスが広がるかどうかも、やはり理屈ではないからです。M&A事業を行う大手各社は、本当に泥臭く全国津々浦々まで営業活動を行った結果今の地位を築いているわけで、デロイトに同じことができるかは微妙です。なのでこの事業をM&AセンターがTTP(徹底的にパクる)した方が手取り早く全国に広がるかもしれません笑
ちなみに、私自身はどういうスタンスかというと、「仲介型M&Aもいいんじゃないの?」という感じです。今まで自分で仲介型はやったことありませんが。というのは、結局理屈をこねくり回しても実際に困ってる人たちは救えないわけで、仲介型M&Aを多く扱うM&Aセンターなどのお客さんはやっぱりハッピーになってるケースが多いんですよね。もちろん仲介型を行う悪質な業者が一部にいるのも事実なのでそこは業界全体の責任でもあると思っています。
ということで、前後編に渡り利益相反問題とその解決策となりうるM&Aプラスを解説してみました!これも解説してほしい的な意見あれば連絡ください!
冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士
KPMG/あずさ監査法人のIPO部に所属。IPO関連業務、M&AのDD、会計監査等に従事。フロンティア・マネジメント株式会社にて、M&Aアドバイザー業務等に携わる。その後、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後、TOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。同時に、IdeaLink株式会社の取締役CFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員に就任。
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