RIZAPが赤字転落、急ピッチのM&Aがあだに 瀬戸社長「見通し甘かった」
「ステークホルダーの皆さまの期待を裏切る結果となり、おわび申し上げる。ここ1~2年はM&A(買収・合併)に注力して(傘下の)会社を増やしたが、見通しが甘かった」――。RIZAPグループの瀬戸健社長は、11月14日に開いた決算会見でこう謝罪した。
同日発表した2018年度上半期(4~9月)の連結決算は、売上高が前年同期比74.3%増の1091億500万円、営業損益が88億2900万円の赤字(前年同期は49億8700万円の黒字)、純損益が85億3200万円の赤字(前年同期は29億3200万円の黒字)に転落した。……
記事引用元:http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1811/14/news120.html
ライザップ M&Aを原則凍結
11月14日、ライザップは決算発表において新規のM&Aを原則凍結すると公表しました。
ライザップの超積極的なM&A戦略は数年前から話題になっていましたが、その方針を大きく転換することになるようです。
そしてこの影響が思わぬ形で出てきており、今日はその点についてです。
ところで、公開情報ですが筆者がかつて所属していた経営コンサルティングファームはライザップのM&Aアドバイザリーを務めており、それ以来ライザップに注目していました。
M&A BANKでも下記のような記事を書いています。
「#29 ライザップのサプライズ人事に見る、アクハイヤーより優れた人材獲得術」
ライザップのM&A戦略
ライザップはこの2年で50社以上グループ企業が増加しており、これまで行なったM&Aを挙げていくときりがないですが、近年は出版社の日本文芸社、アパレルのジーンズメイト、プロサッカーチームの湘南ベルマーレの買収など多角化を進めていました。
しかもその多くが業績が低迷している企業であり、あまり業種にこだわらず会計上割安な価格での買収を行い、経営改善によって業績を上げていくというスタイルをとっていました。
しかしその目論見が外れ、買収先の業績悪化が深刻化していることから当期の業績予想を下方修正し、純損益を159億円の黒字から70億円の赤字になる見込みと公表しました。
そして対応策として、選択と集中を行う予定です。
具体的には、新規のM&Aを原則凍結し、ライザップ関連事業を中心とした成長事業への投資を行い、不採算事業や中核事業とのシナジーが乏しい事業の売却を行う見通しとなっています。
他社への波及効果
ここ数日たまたま上場企業経営者とお話しする機会が続いたのですが、すでに今回のライザップの影響が出始めていました。
その内容は、本業と関連性の強いM&A以外は今後相当やりにくくなるだろう、という声です。
ライザップの件は日本中の注目を集めており、下方修正の原因としてそのM&A数だけでなく、過度な多角化があると言われています。
そのため、今後他社がM&Aを行う際も、本業との業務関連性の有無が投資家等から今まで以上に厳しく追及されるだろう、ということです。
これは当たり前といえば当たり前の話なのですが、経営陣としては今まで以上に慎重に取り組まなければならず、M&Aのハードルが一段上がったという印象を持つ経営者が相当数いそうです。
逆にいえばM&Aに消極的になる企業が増えるということは、買い時とも考えられます。
ということで、これを機に各社が自社のM&A戦略を見つめ直す機会になればいいんじゃないでしょうか。
あとライザップは過去にも数回経営危機をむかえており、その度に復活してより大きな成長を遂げてきました。今回もそうなるだろうと確信しています。
冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士
KPMG/あずさ監査法人のIPO部に所属。IPO関連業務、M&AのDD、会計監査等に従事。フロンティア・マネジメント株式会社にて、M&Aアドバイザー業務等に携わる。その後、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後、TOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。同時に、IdeaLink株式会社の取締役CFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員に就任。
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