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表明保証の対象を限定することで責任範囲を狭めたい |判例紹介 Vol.03 | M&A BANK

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2019.05.15

表明保証の対象を限定することで責任範囲を狭めたい |判例紹介 Vol.03

安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

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 判例によれば… 
そんなに都合よくはいかない

〇 表明保証に責任を負わない範囲を発生させる機能もあることが指摘されている
▲ 論理的にはそのような解釈も可能だが、本来の意図が優先される

 

ポイント|対象は限定されるものだが、意図的な限定は認められない

    • 「完璧な情報開示」は現実的には難しいので、情報開示の対象は重要な意思決定に影響を及ぼす情報におのずと限定される
       …契約書にそのように記載していなくても、裁判でそう解釈された事例がある
    • 表明保証の本来の目的は、後で想定していなかったトラブルが起こるリスクに備えること
       …「調べきれなかったこと・リスクと言い切れなかったことがトラブルになった」「もらっていた情報が間違っていた」ということを防ぐために、問題がないこと・間違いがないことを保証してもらうもの
      …「表明保障事項を定めた=責任を負う範囲が限定された」という主張は通らない

判例紹介

概要

  • 表明保証に関する覚書にある「当社またはAが貴社に対してデュー・デリジェンスの際に提示した資料は、重要な事実において真実かつ正確である」「当社またはAが貴社に対して本件株式交換契約締結の時までに開示(口頭、書面、その他開示方法を問わない)した資料、情報、事実は重要な事項について誤りがなく、また重要事項について誤解を生ぜしめたり、かけているところがない」との文言から、表明保証事項はデュー・ディリジェンスにおいて原告が開示要求を行ったのに対して被告が開示した資料に記載された事実関係に限定されると主張

(※ 要は、表明保証の対象を覚書で定めていたので、それ以外の事実は表明保証の対象に含まれない、と主張した)

判決

  • DDはほぼ会計監査に限られていたが、労働紛争や訴訟リスクなどの法務リスクについても表明保証の対象としている

→被告の主張を退けた

理由

情報開示に関する表明保証条項を定めた場合も、通常締結した条項に表明保証の対象を開示情報に限定する効果を付与する意図はないため。

参考文献
阿南剛・後藤高志・辻川昌徳(2015)『実務分析 M&A判例ハンドブック』商事法務

 

執筆者所感)
厳しすぎる表明保証はどうすれば避けられる?

とてもまっとうな結論になりましたが、やはり売り手としては、「こういうことが起こったらそちらの責任ですからね」とガチガチに念を押されるようで、できるだけそういう内容になることは避けたいですよね。

そもそも表明保証は、契約実行後に発生するリスクは基本的に買い手が責任を負うため、その代わりとして売り手に正確な情報開示の義務が定められているものなので、盛った情報をもとに譲渡契約を結ばない限り、大きなトラブルにはならないはずです。
自信のないところは正直に申し出ておき、了承をもらった状態で話を進められれば、表明保証の時点で保証できるかわからない条件を出されることは避けられるかもしれません。(相手にもよると思いますが)

今回は表明保証の対象範囲について取り上げましたが、表明保証関係はまだまだいろんな争点がありますので、次回以降も引き続き扱っていきます。

 

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安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。

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