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売り主の情報提供に問題があった(表明保証違反)ことを訴えたい|判例紹介 Vol.04 | M&A BANK

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2019.05.22

売り主の情報提供に問題があった(表明保証違反)ことを訴えたい|判例紹介 Vol.04

安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

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 判例によれば… 
表明保証違反が認められても、損害賠償は最低限

〇 意図的な嘘、重要な情報隠しは表明保証違反になる
▲ 事業計画通りに伸びなかった、という主張の場合は難しい

 

ポイント|表明保証条項を定めていても、保証範囲はそんなに広くない

    • 虚偽がないこと」「財務状況に悪影響を及ぼす事実が生じていないこと」が保証する範囲はそこまで広くない
      株価や不動産の評価が妥当だったかどうかは「情報が虚偽だったか否か」とは別問題
      …文言になくても、「財務状況に悪影響を及ぼす事実」は原告が認識しえない具体的事実に限られる(不動産市況の下落などの一般的な事象は含まれない)
    • 表明保証条項の文言を忠実に適用する傾向がある
      …「売り主が重要であると認識していた情報」と「…認識し得た情報」の表現の違いで判決に差が出うる(前者の方が範囲が狭い)
    • 損害の範囲は簿価純資産額の目減り分や現実の出捐額を認めるにとどまっている
      …買主の主張である株価算定への影響額などは必ずしも認められていない

判例紹介

概要

  • 買い手が対象会社(売り手)の株価算定書の算定方法や算定の前提となった事業計画、不動産鑑定評価等において重要な点に虚偽があり、対象会社の財務状態に悪影響を及ぼす重要な事実が存在していたとして表明保証条項の違反を訴えた

判決

  • 虚偽には該当しない

→表明保証違反を認めず

理由

前提とされた事業計画は営業利益を予測したものに過ぎず、予測と実際の営業利益との間に齟齬があったとしても、そのことは虚偽には該当しないため。
また、株価や不動産の評価の妥当性は、虚偽かどうかを表明保証した当該条項の対象外。

参考文献
阿南剛・後藤高志・辻川昌徳(2015)『実務分析 M&A判例ハンドブック』商事法務

 

「期待と違う!」という訴えに怯える必要はない

売り手からすれば、表明保証は自分たちが責任をとる範囲を約束させられる感があり、伝えそびれている事柄があったら…と思うとそわそわしそうで怖い印象でしたが、実際の責任範囲は思っていたよりも納得のいく、常識的な広さのようです。

逆に、買い手は思った通りに業績が伸びなかったとしても、その根拠に意図的な誤りがない限り表明保証違反を訴えても通らないことが多いので、「予想ほど伸びなくても欲しいと思えるか」とよくよく覚悟してから買うしかないなのかもしれません。
(実際、M&A成功確率(定義は調査によります)は3~5割と言われています)

 

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安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。

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