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2019.07.03

債務を抱える状態で事業譲渡したら、債権者から訴えられるか|判例紹介 Vol.10

安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

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 判例によれば… 
債権者への弁済が減るように仕向けていたらアウト

〇 相当の対価を得て、弁済や有益な投資を行うなら問題ない
▲ 弁済に支障が出る事業譲渡なら取り消し請求されるかも

 

ポイント|安すぎる対価、不平等に注意

  • 過度に安く譲る・対価が入ってこない形はNG
    もちろん、額面が安くてもそう評価される理由があり、専門家が妥当と判断する場合は問題にならない
    譲渡後に新たに債権者による支払いが必要になる費用(譲渡後の新しいゴルフクラブの預託金形式の会員費など)と相殺する形をとるなど、債権者を害するものもNG
  • 一部の債権者への弁済の目的で売却するのもNG
    重要な財産を一部の債権者に譲り、債務と相殺する形をとる場合、他の債権者へは弁済が行われず、担保としての会社の価値が下がってしまうため、他の債権者への詐害行為になりうる
    …一部の債権者から強い要請を受けてやむなく譲渡する場合など、他の債権者よりも優先する意図がなければ問題にはならない

債権者間での不平等に関する判例

概要

  • 債務を抱えていた会社が経営する6店舗のうち3店舗を事業譲渡
  • 譲渡の対価は現金ではなく債務の引き受け
  • 買掛金債務の支払いを滞りなく行った

訴えた側:まだ支払いを得ていない他の債権者
自分の債権の正当な弁済を妨げられた(詐害行為)として訴えた

判決

  • 一部の債務を早期に返済できたのは譲渡を受けた(買った)会社の手腕・努力によるもの
  • 他の債権者を害する意思があって初めて詐害行為になる
  • 今回の事業譲渡はそれ自体がただちに詐害行為にあたるとは言えない

詐害行為の成立を認めず

 

参考文献
阿南剛・後藤高志・辻川昌徳(2015)『実務分析 M&A判例ハンドブック』商事法務

 

支払いを減らす目的の行為はもちろんアウト

中には債務を抱えたオーナーが別に会社を設立し、そちらに事業を移した(譲渡した)事例もあるようです。
実質同じ会社同士で譲渡を行ったと判断されればこちらもアウトになります。

平等な弁済のための有意義な譲渡しか認められないということですね。

 

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安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。

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