2018.03.26
#12 国立大学のM&A!?名古屋大学と岐阜大学、法人統合へ向けて協議開始
冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士
国立大学の名古屋大学と岐阜大学が、運営法人の統合に向けて4月下旬に協議に入ることが22日、分かった。文部科学省幹部は同日、両大学が統合の協議に入ることを認めた。少子化で学生数が減少する中、経営効率化につなげ、研究体制を強化し国際的な大学間競争の勝ち抜きを目指す。
現在は国立大学は1つの法人が1つしか大学を運営できない。文科省の中央教育審議会が、1つの法人が複数の国立大を運営できる「アンブレラ方式」導入を目指して法改正を議論しており、2018年秋に答申を出す予定。統合の実現は早くても19年度以降で、アンブレラ方式による法人統合が実現すれば、全国初のケースとなる。
…(中略)…
大学に進学する18歳人口が18年から再び減少期に入った。文科省の推計によると、入学定員の充足率は17年度の104%から40年度には84%に落ち込む見通し。人口減に伴う経営環境の悪化で、大学は自主財源の確保やコスト削減など経営面での改革を急いでおり、今回の国立大同士の経営統合が実現すれば、私立大も含めた他大学との連携・統合の議論が加速しそうだ。
国立大学協会も1月に公表した将来像に関する最終まとめで「複数地域にまたがり、戦略的に資源配分や役割分担を決める経営体の導入を検討する」と提言。文科省幹部は「国立大にとっては大きな一歩。(統合は)中教審の議論とも同じ方向だし、やりたいところがあるのは歓迎」としている。記事引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28413670S8A320C1CR0000/
大学、しかも国立大学でM&A!?
3/23、名古屋大(名古屋市)と岐阜大(岐阜市)が、大学の運営法人の統合に向けた協議を始めたとのニュースが飛び込んできました。
大学、しかも国立大学がM&Aするなんて!と驚く方も多いかと思いますが、個人的には全然違和感なく、いたって合理的な判断だなーと感じたのでその辺解説したいと思います。といっても正直国立大学の法制度とか全然詳しくないのですが頑張ります。
法人の体制
記事によれば、1法人が複数の国立大を運営する「アンブレラ方式」による経営統合が検討されているそうです。要は民間企業でいうところの持株会社みたいなものですね。
ここで持株会社を簡略化して説明すると、ホールディングスカンパニーともよばれ、事業を行う会社を複数子会社として持ち、自らは事業を行わずに経営企画機能など一部の機能のみを持つ会社のことをいいます。具体的にはANAホールディングスとか、キリンホールディングスとかですね。
持株会社制のメリットとしては、グループ全体として戦略立案や意思決定を行うことができる、経営資源の共通利用による効率化できる、その一方で各事業子会社に合わせた柔軟な設計が可能などなど。
この点、記事では「事務や会計処理などの管理部門をメインとする運営法人の統合」とあり、これにより経営資源を共通利用することで効率化できますね。また、「大学の名称や、学部・学科編成、キャンパスは存続させる。」とあり、各大学に合わせた柔軟な設計が可能ですね。ということで上記の持株会社制のメリットに当てはまります。
このように、国立大学であろうが事業会社と同じように、M&Aを経営戦略の一つとして利用していると考えれば今回の統合話も納得してもらえたのではないでしょうか。少子化やグローバル化など課題山積の大学業界ですから、今後M&Aを利用した業界再編が活発に行われていくかもしれませんね!というかそのくらいやってかないと生き残れないと思いますよー。
冨岡 大悟: M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士
KPMG/あずさ監査法人のIPO部に所属。IPO関連業務、M&AのDD、会計監査等に従事。フロンティア・マネジメント株式会社にて、M&Aアドバイザー業務等に携わる。その後、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後、TOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。同時に、IdeaLink株式会社の取締役CFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員に就任。
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