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資本政策に関するQ&A|Vol.210 | M&A BANK

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2019.09.07

資本政策に関するQ&A|Vol.210

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 目次 

1.  今回もこのメンツです。
2.  「共同経営者と50:50で出資して起業」はやめとけ。なぜなら…
3.  たとえば、どうするべきか
4.  「ハイバリュエーション=善」とは限らない
5.  鵜呑みは厳禁、「経験者のアドバイス」
6.  調達の相場も、一応わかる

 

今回もこのメンツです。

島袋
今回もまたこのコンビですよ。出演してくれる方が切れたとき用のこの2人です。

冨岡
最近多いですね。
お盆に休みすぎましたね。

島袋
そうですね。今回は、普段TwitterやYoutube、facebookなどソーシャルで配信していると、いろんな問い合わせをいただくので、そういったお問い合わせに回答させていただきましょうという回です。

冨岡
質問回答回ですね。

 

「共同経営者と50:50で出資して起業」はやめとけ。なぜなら…

島袋
まず1つ目です。
「会社設立準備中で、将来IPOかM&Aを検討しています。共同経営者と50%ずつ株式を保有する形での創業を検討していますが、自分で過半数を持った方がいいでしょうか?
ほうほう、素晴らしいですが…

冨岡
共同経営を予定されている方のどちらか、たぶん社長さんからのご質問ですよね、こう聞いてくるということは。

島袋さん、これ経験してますよね。どうですか?

島袋
絶対やめとけ、100%やめとけ。ですね。
まじで本当にやめといた方がいいです。地獄ですよ。

冨岡
絶対なんてものはないですけど、それでも「絶対やめとけ」ということですね。(笑)
意思決定できなくなっちゃいますもんね、責任が曖昧になるし。

島袋
(2人で意見が)割れるから何も決められなくて、やめることもできない
じゃあ何で決まると思います?

冨岡
まさか、じゃんけんですか?

島袋
…確かに、じゃんけんいいですね。
いや違いますよ。なんかね、雰囲気です。空間を制した方が勝つんです。

冨岡
あー…すごいわかる。

島袋
そういうことになりえるから、基本的にはやめた方がいいと思いますよ。

 

たとえば、どうするべきか

島袋
最初はよくても会社が大きくなってくると組織も歪になってきますし、そもそも50:50である必要がない。それだったら、まだ10%放出して45:45の方がいいんじゃないでしょうか。

やっぱり金融リスクを取る代表の方創業者が過半数を持つべきだと思います。

冨岡
たとえば70%持って、エンジニアですごいコミットしてやってくれるような共同経営者の候補がいたら、その人に2~3割渡すとか。
IPOにしろM&Aにしろ、過半数は取っておいた方がいいです。その後の資本政策の中で株を放出することもありえるわけだから、可能な限り多く社長が持っておいた方がいい

あるいは、エンジェル投資家みたいな人が数%持っているといいと思います。
そういう状態を基本として、個別に調整していくべきじゃないかと。

島袋
50:50で始まった会社でIPOやM&Aをされたところもありますが、僕が知っている限りは、どちらかが途中で相手方から株を買ってマジョリティをとっていますよね。
でも、会社がある程度の規模になっていると社長さんが個人で買うのが大変で、個人PLはマイナスになっちゃうとか。

冨岡
そういう風にキャッシュが苦しくなる可能性はありますね。
その場合はたとえば社長が買い取るんじゃなく、事業提携ができそうな会社に共同経営者の株を買い取ってもらって持ち株比率を調整することが多いです。
「IPO直前に社長が全部買い取る」とかは相当きついので。

島袋
なので、結論は「やめとけ」ですね。まじでやめとけってことです。

 

「ハイバリュエーション=善」とは限らない

島袋
では、次行きましょうか。
「会社設立後、資金調達を計画していますが、できるだけ高いバリュエーションで調達するべきでしょうか?」

冨岡
これはさっきの質問の延長のような質問ですね。
会社設立から1,2年とかで、プロダクトを作ってファイナンスするような状況でしょうか。

「高いバリュエーションで調達した方がいい」というようなことを言う人が最近増えているんですが、必ずしもそうじゃないと思います。
調達がそこで終わりならいいんです。あとは一切調達する必要ないとか、これでビジネスが完成するような状況ならわかります。

質問者さんがどういうフェーズかわかりませんが、ベンチャー企業でその後も成長を目指すなら、追加で株を放出してファイナンスすることもあると思うんです。
その場合、もし現段階で本来の実力よりも遥かに高い金額でバリュエーション設定をして調達できたとすると、それは投資した方の責任でもありますが、次のラウンドに進んだときに「前回のバリュエーションが高すぎ、今回はもう少し低いバリュエーションじゃないと出せないよ」となりえるんです。
そうなると、前のラウンドで出資した人は「俺らはこんな高いバリュエーションで出してるのに、なんで次はこんな金額なんだ」と揉めかねない。

要は計画が大事で、事前に「このタイミングこのくらいのバリュエーションになって、このくらい調達しよう」と想定しておかないと、そういう歪な構造がどこかで出てきちゃうんです。

 

鵜呑みは厳禁、「経験者のアドバイス」

冨岡
「バリュエーションは高いほうがいい」とアドバイスする人は、正直会社を売却した人とかイグジット組にけっこう多いんです。
イグジット組からすれば、高いバリュエーションで売ることが1つの正解じゃないですか、そこで終わりだから。

でも、それを成長途中のベンチャーに当てはめちゃうと、必ずもフィットしないんです。
イグジット組が増えてアドバイスできる人が増えているのはすごくいいと思うんですが、IPO志向とか、どんどん大きくなっていこうと考えているベンチャーに対するアドバイスとしてはミスマッチになることがあるなとは感じています。

島袋
確かにね。
僕は売却経験だけでIPOはしたことがなくて、次にやる事業もいつか売却するつもりでやっていて、わざわざ自分のお金を事業資金にしてやる必要がないと思っています。
うまく株の仕組みを使って調達して、もちろん出資していただいた方には損をさせずに還元するつもりです。

でも、IPOを目指すような場合は、ラウンドによっていくら放出するか、ちゃんと計画的に考えてやっていく必要がある
どんぶり勘定で「おっしゃ20%あげる!」みたいなことはできないですよね。

冨岡
やるべきじゃないですね。あとで行き詰まっちゃうので。

島袋
「ちょっと待てよ、このままシリーズAシリーズBといくと、…俺マイノリティじゃないか?」みたいなことになりますよね。

冨岡
それ以上お金が調達できなくなって、志半ばで全部売る…みたいなことにもなりかねない。

IPOのときにも経験者から不適切なアドバイスをされることはあって、たとえば自分の経験から「あの証券会社はいい」とか「この監査法人はダメだ」とか「こういうところが審査でだめって言われがちだけど、意外と通せるよ」みたいなアドバイスをされることがけっこうあります。
でも、それはその会社のケース特有のことだったり、そのときはOKでも今の状況では通用しない、ということも多いんです。

経験者の方のアドバイスはもちろん参考になる部分もすごくありますが、だからといって「じゃあ俺たちも絶対大丈夫なんだ」と思わないほうがいい。

 

調達の相場も、一応わかる

島袋
最初のラウンドで調達するときは、何%放出していくらぐらい調達するのがいいんでしょうね。
サービスによるとは思いますが、なにか基準ってないんですか?

冨岡
500 StartupsというVCが平均の数値を公開していたと思うので、その資料は参考になるかもしれないですね。

※対象の記事が閲覧できなくなっていましたが、そちらをもとに作成された別の記事がありました。→「スタートアップの資金調達相場を語る

 

島袋
そうなんですね。それも見てみます。

そろそろお時間ですね。
M&Aを検討中の方から他にもいくつか質問をいただいているので、次回はそちらに回答していきます。どうぞお楽しみに!

 

【出演者情報】
■島袋直樹:M&A BANK株式会社-取締役会長
シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡し、2018年3月よりM&A BANKの運営を開始。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。

■冨岡 大悟:M&A BANK株式会社-代表取締役/公認会計士
KPMG/あずさ監査法人のIPO部、フロンティア・マネジメント株式会社でのM&Aアドバイザー業務を経て、オーストラリアに駐在。日系企業の海外進出支援、事業開発業務等に携わる。帰国後にTOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IdeaLink株式会社のCFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員も務める。

順次更新、島袋・冨岡の出演動画 一気見はこちらから
(M&A BANK YouTubeチャンネル)

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