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2018.04.25

相続税を免除?事業承継税制を受けるための条件やメリット・デメリット

安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

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会社の役員や社員などに事業を引き継ぐ際には、相続税や贈与税の支払い義務が発生するため、事業承継の際に大きな税負担がかかります。場合によっては納税資金が不足して、本体会社や持株会社に株式を売却したり、会社から借り入れたりしてまかなうことになるでしょう。

このような問題を解消するために創設されたのが事業承継税制です。全ての企業に適用される訳ではありませんが、適用されれば相続税や贈与税の納税猶予・免除などを受けられます。

ここでは、事業承継税制を受けるための条件やメリット・デメリットをご紹介しますので、参考にしてください。

事業承継税制とは

事業承継税制は、一定の条件を満たした場合において、贈与税と相続税が全額免除、もしくは納付猶予となる制度です。相続税の全額免除は、先代の経営者が死亡したために相続した場合に適用されます。

先代の経営者が死亡していない場合は、あくまでも納付猶予となるため、いずれは納税が必要になることを覚えておきましょう。

事業承継税制を受けるための条件

相続税の免除の条件は、一定の要件を満たして都道府県知事の認定を受けることと、事業継続の年次報告書を提出して確認を受けることです。それぞれ、具体的にみていきましょう。

都道府県知事の認定を受けるための要件

都道府県知事の認定を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

(1)会社
・非上場企業である
・中小企業基本法に基づいている中小企業である
・期間の定めなく雇用している従業員が1人以上いる
・直前の年度の事業における総収入金額が1円以上である

(2)相続人
・相続してから5ヶ月後の時点で会社の代表権を持っている
・会社の筆頭株主である

(3)被相続人
・会社の代表権を持っていた
・会社の筆頭株主であった

また、納税額に対して適正な担保を税務署に提供しなければなりません。なお、事業承継税制の対象となる株式などを担保として提供することが可能です。

年次報告書の提出

事業承継税制は、実際に相続税が免除されるまでは「納付猶予」となります。事業承継税制の適用を受けてから5年間は一定のルールを守る必要があり、途中でルールを破ってしまうと利息をつけた相続税の納税義務が発生するため、注意しなければなりません。

ルールを守っていることの報告として、年次報告書を毎年1回都道府県知事へと提出し、確認を受けることになります。

主なルールは次のとおりです。
・会社の代表権を持っている
・会社の株式を保有している
・雇用の80%以上を維持している

このうち、守ることが難しいといわれているのが、雇用の80%以上を維持することです。50人の会社の場合、39人以下になった時点で利息をつけた相続税の納税義務が発生します。10人の会社の場合では、3人の従業員が退職してしまうと80%以下になってしまいます。

雇用の80%以上の維持については、1年に1回の判定でしたが、平成27年度の条件改定により、5年間の平均での判定となりました。つまり、一度に多くの従業員が退職してしまっても、5年間の平均で雇用の80%以上を維持できていれば、ルールを破ったことにはならないのです。

なお、平成30年1月からは、雇用に関する条件を満たしていなくても、経営状況の悪化のような正当な理由がある場合には、ただちに納付猶予が適用されなくなることはありません。ただし、詳細については未発表となっています。

なお、5年間を過ぎても、株式を保有しているという条件は常に満たしていなければなりません。株式を売却すると、納付猶予が打ち切られて相続税の納税義務が発生します。

事業承継税制のメリット

事業承継税制のメリットは、税負担の軽減によって事業をスムーズに経営できるようになることです。相続税は負担が大きいため、業績が良かったとしても税負担の影響で経営難に陥ることがあります。

このような状況は、雇用が失われるだけではなく、国の活力までも失われてしまうことに繋がるため、事業承継税制は会社と国の両方にメリットがあるといえるでしょう。

事業承継税制のデメリット

ここで紹介した事業承継税制の条件以外にも、非常に細かい条件が定められています。条件のどれか1つでも満たせなければ納付猶予が打ち切られてしまうリスクがあります。そのため、事業承継税制について詳しい税理士に相談することが大切です。

しかし、事業承継税制について対応できる税理士は少ないといわれています。無理に依頼をすることにはリスクがあるため、事業承継税制について詳しい税理士に相談することをおすすめします。

おわりに

事業承継税制を利用することで、相続税の納付猶予や免除を受けられます。事業承継税制を受けることで、円滑な事業経営に繋がるでしょう。

株式の保有や代表権、雇用の維持など適用条件が非常に細かいので、事業承継税制について詳しく、経験が豊富な税理士に相談することをおすすめします。

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安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。

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