事業継承では会社の代表が変わるため、社員や役員のモチベーションにも変化が起こります。社員や役員のモチベーションの低下は生産性の低下に繋がるため、経営状況の悪化を招く恐れがあるため、注意しなければなりません。
そのため、事業継承の手続きだけして終了ではなく、後継者のサポートや従業員のフォローなども必要です。事業継承の失敗には様々なパターンがあるので確認しておきましょう。
失敗の原因に対してしっかりと対策することが、事業継承の成功の秘訣です。ここでは、事業継承に失敗する原因と対策法をご紹介します。
事業継承とは
事業継承とは、会社の事業を人へ引き継ぐことです。会社の資産ごと引き継ぐこともあれば、経営件のみ引き継ぐこともあります。
いずれにしても会社の代表が変わることになるため、これまで通りに社員や役員が働いてくれるとは限りません。多数の退職者が出てしまい、営業に支障をきたす可能性もあります。
また、後継者が経営に関するノウハウを持っていないために、業績が悪化することも考えられるでしょう。
事業継承に失敗する原因
事業継承に失敗する原因としては、後継者が経営者としての自覚を持っていない、後継者のサポートや従業員へのフォローができていないことなどが挙げられます。どのような原因があるのか、詳しくみていきましょう。
後継者が経営者の自覚を持っていない
後継者になることを納得していない人物が事業を継承すると、経営者としての自覚が芽生えず、経営に支障をきたす可能性があります。子供に半ば無理に事業を継承した場合や、後継者が従業員に認められていない場合などに起こり得るでしょう。
事業継承において、後継者候補の選出はとても重要です。事業を継承する気持ちがあることが必須条件と言えます。経営者としての自覚を持たない親族に継承するのではなく、社外や従業員の中から後継者を選出することも視野に入れましょう。
後継者の仕事を経営者が奪う
後継者には役員などの役職を与え、少しずつ権限を移行することが一般的です。
経験に乏しい人物を後継者にする場合においては、経営者が後継者のことを信頼しきれず、与えた仕事を奪ってしまうことがあります。それによって、経営に関わる判断ができなくなり、後継者としての自覚と自信が失われてしまうのです。
信頼しきれないほどに能力に問題がある場合は、後継者を選び直すことが必要になるでしょう。
株式を複数人の子供に均等に分配してしまう
通常、後継者に自社株を集中的に相続させるのですが、子供が複数人いる場合、株式を平等に相続させてしまうケースがあります。そうなると、会社経営に関わっていない子供が配当金の分配や株式の現金化を要求して、会社の資金に大きな負担をかけることになりかねません。
また、経営に関わる大きな決定には株主の同意が必要なので、思うように経営ができなくなることも考えられます。基本的に、株式は後継者に集中させましょう。
事業継承を成功させるためのポイント
事業継承を成功させるために、経営者が事前にしっかりと対策しておくことが大切です。どのような対策法があるのかみていきましょう。
後継者の存在を周知しておく
後継者について十分に周知していない場合、次の経営者として従業員や役員に認めてもらえない可能性があります。タイミングを見計らい、従業員や役員に周知しましょう。
また、事業継承がうまくいくように、従業員や役員にフォローを入れることも大切です。
時間をかけて後継者を育てていく
親族内事業継承の場合、時間をかけて後継者を一人前の経営者へと育て上げることができます。経営者が急病によって急きょ事業継承が必要になった場合のことを考えて、できるだけ早めに育成を始めることが大切です。
会社にいる時間が長ければ長いほど、事業に関する経験を積むことができます。また、経営のノウハウについても時間をかけて伝えることができるでしょう。
相続税対策を万全にする
事業継承すると、相続税がかかります。相続税は資金面に大きな負担をかけるため、資金繰りに支障をきたすことがあるのです。相続税は、事業継承税制という制度によって納付の猶予や免除を受けられます。このことを後継者が知らなかったために、多額の税負担を強いられるケースが後を絶ちません。
このように、経営者であれば知っておいた方がいい知識についても、後継者に伝えておくことが大切です。
おわりに
事業継承の失敗の原因には、経営者が後継者の仕事を奪ってしまったことや、株式を複数人の子供に均等に分配してしまったことなどが挙げられます。また、相続税の納付猶予や免除の制度を知らなかったために、多額の相続税の支払いが必要になるケースもあるでしょう。
どれも、経営者が事前に対策をすることで防げる可能性があります。事業継承を成功させるために、しっかり対策しましょう。
安田あかね:M&A BANK編集部 ライター
大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。
-
M&Aにおける買手側、売手側のメリット・デメリットまとめ
2019.01.08
M&Aにおける買手側、売手側のメリット・デメリットまとめ
-
M&A用語解説:ハンズオン
2018.05.16
M&A用語解説:ハンズオン
-
M&A用語解説:DES(デッド・エクイティ・スワップ)
2018.05.16
M&A用語解説:DES(デッド・エクイティ・スワップ)
-
M&A用語解説:DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)
2018.05.16
M&A用語解説:DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)
-
M&A用語解説:デューデリジェンス
2018.05.16
M&A用語解説:デューデリジェンス
-
M&A用語解説:CA(Confidential Agreement:秘密保持契約書)
2018.05.16
M&A用語解説:CA(Confidential Agreement:秘密保持契約書)
新着M&Aニュース
-
M&Aニュース
売却後が絶好の買収タイミングになる条件 |ニュース解説プレミアム Vol.29
2021.10.26
-
M&Aニュース
デコルテHDがIPOを実現させた二つのM&A|ニュース解説プレミアム Vol.28
2021.09.28
-
M&Aニュース
非上場会社が株式を使ったインセンティブ設計をする方法|ニュース解説プレミアム Vol.27
2021.08.26
-
M&Aニュース
著名人のビジネスを買収する理由|ニュース解説プレミアム Vol.26
2021.07.28
-
M&Aニュース
freeeによる合同会社のM&A|ニュース解説プレミアム Vol.25
2021.06.23
アクセスランキング
-
売却後が絶好の買収タイミングになる条件 |ニュース解説プレミアム Vol.29
2021.10.26
-
freeeによる合同会社のM&A|ニュース解説プレミアム Vol.25
2021.06.23
-
上場会社を操り人形にする方法|ニュース解説プレミアム Vol.16
2020.09.30
-
2021年大量発生中のM&Aトラブル |ニュース解説プレミアム Vol.20
2021.01.22
-
SOMPOによるABEJA関連会社化、実は今後大流行のM&A手法|ニュース解説プレミアム Vol.23
2021.04.26
案件情報をお探しの方 担当からすぐに連絡いたします。
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.