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2018.05.16

M&A用語解説:DDS(Debt-Debt-Swap、デット・デット・スワップ)

安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

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中小企業が資金繰りに困ったとき、資金調達やリスケジュールをはじめとしてさまざまな手法が選択できますが、安易な金策では一時しのぎはできても根本的な問題の解決にはつながりません。

企業を再生する方法はいくつも存在します。個々の事情を勘案して、いま企業にとってベストな選択は何かをしっかりと考え抜く必要があります。

ここでは、企業再生の手法の一つとしてDDSをご紹介します。メリット・デメリットを確認し、どのような状況においてベストな選択となり得るか、参考にしてみてください。

DDSとは

DDS(Debt-Debt-Swap、デット・デット・スワップ)とは、債権者が既存の債権を別の条件の債権に転換する、中小企業などに対するM&Aの手法のひとつです。

既存の融資を「劣後ローン」と呼ばれる支払い順位が劣る無担保の債権に転換することで、一定期間の返済を猶予してもらえる形で金融支援を受けることができます。

つまり、事業再生を迫られている債務者にとっては、通常ローンを長期ローンへ組み替えることで返済による負担を減らし、事業再生の選択と集中を実現することが可能になります。

たとえば、会社の経営が健全であるときは他の借入と同様に契約書にある返済方法で支払われますが、経営難に陥って会社社再生が優先事項となったときは、DDSによって債務の一部を劣後ローンに転換する救済措置を受けることができます。

このように、DDSは企業にって事業の継続に大変有効な手段であり、資金繰りが悪化した状況を救済する大きな支援と言えるでしょう。ただし、劣後ローンへの変更は金融機関など債権者の同意が必要です。

DDSのメリット

DDSによって、通常の債務が返済の優先順位が低い劣後ローンに転換することはすでに説明しました。

ただし、DDSのメリットはそれだけではありません。DDSによって転換された劣後ローンには「資本性がある」という最大の特徴があります。

劣後ローンの「会社が倒産した場合に回収できる可能性が極めて低い」という特徴から、株式と性格が似ています。そのため、劣後ローンは帳簿上では債務に分類されますが、金融機関では自己資本(純資産)の一部とみなされます。

これにより劣後ローンは資本の一部として認められることとなり、金融業者もその債権に対して貸し倒れ引当金の積み増しを行わなくて良くなります。つまり、企業の債権に向けた新たな貸付が可能となるのです。

DDSで返済の期限に猶予ができるため、会社はその期間M&Aなどの事業再生に向けた計画に集中することができます。さらに、劣後ローンに変更することで、実質的に債務者の財務状態が改善されたとみなされ、信用力も高まります。

DDSのデメリット

企業側・金融機関側にもDDSを活用するメリットが確認できましたが、当然ながら良い点ばかりではなくデメリットも存在します。

DDSによって劣後化した債権は、本質的には支払い期間が延びたにすぎず、いずれ元本を返済する必要があります。

また、劣後化することで金利や手数料も高くなるため、返済額が当初より大きくなることもデメリットと捉えることができるでしょう。

また契約時の特約条項によって、企業側が金融機関側の監視が行われる場合もあります。

企業再生にはDDSも含めたベストな選択を

企業にとって資金繰りは生命線です。資金がショートすれば従業員への給与や事業の継続が困難になり、倒産のリスクも高まります。

企業再生には、再生型M&Aを活用する方法もありますが、金融機関の同意が得られれば、企業にとってリスクの少ないDDSも事業継続のための有効な手段と言えます。

日頃から資金繰りについて注意しておくとともに、万が一の場合に備えて企業再生の手法について、個々の事情に合わせて、それぞれの手法のメリット・デメリットを考え、ベストな方法を選択することが重要です。

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安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。

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