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2018.05.16

営業権譲渡とは?生じるメリット・デメリットと知っておきたい注意点まとめ

安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

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事業規模の拡大、あるいは多角化のために事業を買収することは、2006年まで「営業権譲渡を受ける」と表現されていました。
2006年の会社法・商法の改正後はほぼ同じ意味で「事業譲渡」という呼称が使われています。

今回はこの営業権譲渡(事業譲渡)について、細かく説明していきます。

事業譲渡(営業権譲渡)は様々な経営戦略に役立つ

2018年2月、中国地方や九州地方でショッピングセンターなどを展開するイズミグループが、西友から山口県と兵庫県のショッピングセンター経営権を取得すると発表しました。

西友には不要な店舗をイズミグループが買収することで、目的である「出店エリアの拡大」を達成できるため、双方に利益が生まれています。

このように営業権譲渡は事業の営業権を個別に売買できるため、経営戦略のひとつとして活用できます。

譲渡金額の決め方

このような事業譲渡(営業権譲渡)を行う際、譲渡金額はどのように決めるのでしょうか。もちろん売却する方はできる限り高くしたいと思いますし、逆に買う側は安くしたいと望みます。

最終的には交渉により決まりますが、一応参考になる適正価格を算出することは可能で、

譲渡する事業の時価純資産額+営業権(のれん代)×既定年数

で算出される価格がその一例です。

時価純資産額について

時価純資産額は時価総資産額から時価総負債額を引いたものとなります。時価総資産額とは建造物や機械、工具などです。不動産の場合は路線価や固定資産税評価額を参考にします。また機械などの減価償却資産は適時計算をして算出することが必要でしょう。

時価総負債額について

時価総負債額は売掛債権などの未回収分などとなります。ただしそのうち、取引先の倒産などにより回収不可能なものは控除することが必要です。同様に不良在庫があれば、その価格を控除します。

債務超過の場合

もし時価総資産額よりも時価総負債額の方が大きい場合には、債務超過となるため時価純資産額はゼロとして計上します。この場合には時価純資産額はのれん代のみとなるわけですね。

のれん代について

のれん代(いわゆる営業権)は、プレミア価格として加算される金額です。これは対象事業の実施利益×〇年分という形で算出します。

この年数ですが、事業にどれほど将来性があるのか、あるいは買い手のニーズがあるのかによって評価が変わります。
例えば流行り廃りのある飲食店の場合には、1年〜3年で計算するのが一般的です。将来性のある事業であれば、5年分は計上することになります。

もし赤字経営であれば、やはりのれん代はゼロとして算出します。つまり債務超過であり赤字経営の会社の譲渡金額はゼロになります。
実際には1円から、将来性について買い手がどの程度評価するかに応じた金額で決まります。

例えば現状では赤字でも、新規立ち上げが難しい事業であれば、それなりの評価額がつくこともあるというわけです。

のれん代の減価償却について

のれん代は減価償却できますが、会計上と税務上とで計上する期間が異なります。会計上は取得後20年以内の均等償却ができますが、税法上は耐用年数5年で定額法による計算が必要となっています。

そして負ののれん代に関しては、事業年度の利益として一時で処理をする必要があります。

 

手続きの流れ

事業譲渡(営業権譲渡)をしようと思ったら、まずはじめに譲渡先を探すことが必要です。適切な譲渡先が見つからない場合には、M&A専門業者に探してもらうこともできます。

適切な譲渡先が見つかれば、譲渡する事業の概要や範囲、どの資産や負債を受け継ぐのか、そして買収金額などの提示を意向表明書として受け取ります。

次に取締役会での承認を得てから行うのが基本合意書の締結です。
その後買い手は弁護士や会計士などに依頼して対象会社に対する調査を行います。あとで簿外債務が発覚しても、契約に記載がなければ引き受ける必要はありません。

次に事業譲渡(営業権譲渡)契約を作成し、取締役会にて承認を得た後に契約書の締結を行います。続いて株主総会にて承認を得たら、譲渡日に財産などの移転手続きを行って完了です。

なお、営業権譲渡を行うと、売り手企業は同一市町村内では同一営業を再開することができません(競業避止義務)。

譲渡に関わる税金

事業譲渡(営業権譲渡)により売却益を得るのは個人ではなく企業です。そのため、税金は所得として譲渡金額が入る会社に対して発生します。株主個人には営業権譲渡に伴う課税はありません。

会社に対して発生する税金は売上に対する消費税と法人税、事業税や事業住民税などです。法人税や事業税などの課税対象となるのは、(売却額-譲渡資産の簿価)となる譲渡益です。一方で消費税は譲渡する資産によって課税されるか否かが違います。

有形資産や棚卸資産(在庫)はもちろん、営業権やノウハウといった無形資産も課税対象になります。土地や売掛金などの債権、株などの有価証券には非課税です。

買い手側では事業買収代金には消費税が含まれるほか、不動産を取得した場合には取得税と登録免許税がかかります。

まとめ

営業権譲渡は細かな契約をする点では面倒なものと言えますが、細かく決めごとができるため、思わぬ債務を引き受けるといったリスクがありません。

必要な事業や財産だけを手に入れたり、あるいは不要な事業を切り離したりすることができるので、便利な経営手法と言えそうです。
 

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安田あかね:M&A BANK編集部 ライター

大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。

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