2018.07.05
「売れる事業」のつくりかた|Vol.050
「事業が売れる」とは、そもそもどういうことか
島袋
今回も、M&Aをたくさんやっていらっしゃる、ベーシックの秋山社長に来ていただいてます!
前回は「買い」の極意を教えていただきましたが、ベーシックさんは「売り」もたくさんやってらっしゃいますよね。マイナビさんにウエディング事業を売却されたり、たも屋、うどん屋さんとかも売られています。
なので今回は「売りの極意」を教えていただきたいなと思います。
秋山
売りの極意と言うとまるで「売る前提」でやってるみたいな感じですが、僕らは全然そんなことないんです。
事業を売却するって、結局「価値が付くか/付かないか」ということだと思うんです。なので、価値の付くものを作れるかどうかだけの話しかないと思うんですよ。
ある日突然「はっ!?なんだこれ!」という(くらいすごい)ものが手に入るわけではなくて、自分たちが「よし!(これでいこう)!」と思うことに挑戦してできあがったものが、他の人が見ても非常に価値があるというものになった、ということでしかない。
僕らとしては、事業を売ることよりも、事業創造のほうに実際は強みを持っている(と考えています)。
島袋
なるほどなるほど。
売る前提(でやるん)じゃなくて、事業を創造していくところで努力する。結果的にそれが売却に繋がったと。
秋山
他社から見たときに、それが魅力的なものだったってことなんですよね。
ベーシック社の事業のつくりかた
秋山
ベーシックという会社自体は「問題解決」を理念に置いています。
基本的にはビジネスって、「未来を買う」か、「痛みを取り除く」しかないんですよ。僕らは、こっち(痛みを取り除く)が得意なんです。
「未来を買う」というのは、楽しいことだったり、エンターテイメントに代表されるような、「なくてもいいけど、あったらより豊かになる」ようなもの(ビジネス)。
その最たる企業はAppleだったりSONY。実際にあの2社がなくても、実際は困らないと思うんですよね。ただ、Appleが生まれてiPhoneが出てきて、スマートフォンが普及したことでみんなの生活が豊かになったり、いろんな楽しみ方ができるようになった。WALKMANを作ってくれたことによって、音楽を持ち歩けるようになった。
まあでも、一応なくても死なないわけですよね。
だけど、僕らがやってる問題解決型のビジネスは、「そこを解決しないと困る人が出る」というものをビジネスに変えてるんですよ。
なので、事業創造のコツとしては、日常のなかにあるちょっとした「あれ、おかしいな?」とか、「これちょっと不都合だな」「めんどくさいな」っていうものを、よくよく深堀りしていくこと。実は事業のヒントってすごいたくさんある。うちとしてはそっちが得意なんですね。
僕はエンターテイメント系はそんなに得意じゃないので、そっちはやらないと決めています。
なので、見えてるものに対しては、素通りしないというか。僕がよく社内で言ってるのは、「心の機微」を大事にしようと。
島袋
心の機微。
秋山
心の機微。心が揺れるというか、無意識なんだけど、なにかを見たときに「ん?」って感じることって、実は結構あるんですよ。あるんだけど、ほとんどの人はそれを素通りするんですよね。素通りして「気のせいかな?」とか「そういうもんかな?」って感じるんです。
けど、そうじゃなくて、「いま心がざわついた。なんでだろうな?」と思うものをよく見ていくと、実は古くからあるものなのにそのままになっていて、もっというとマーケットの人たちはそれを当たり前のように使っている。でも、実はすごく不便を感じている。
僕らがやっているわけじゃないけれど、メールのサービスとかそうじゃないですか。メールはずっとあって、誰もがなんとなく不便さを感じるんだけど、ただそれに代わるようなものを特に発想しないままここまで来てたんですよね。
で、ここ数年になってチャットサービスが現れてきたら「まさにこういうことじゃん!」ということになって、コミュニケーションのあり方が大きく変わったじゃないですか。
島袋
変わりました。
秋山
メールは僕らの事例じゃないですけど、問題解決型のビジネスってそういうものなんですね。いろんな人たちが不都合を感じていたところに新しいコンセプトやツールを提供することによって、サービスを生んでいく。
島袋
なるほど~…
秋山
ちょっと話し過ぎちゃった。(笑)
島袋
ということで、次回も引き続き「売りの極意」について、お届けしようと思います!
■秋山勝:株式会社ベーシック-代表取締役
グッドウィル・グループ事業開発室長を経て、トランス・コスモスでWebマーケティング関連の新規事業などを手がける。2004年にベーシックを創業。「Webマーケティングで世の中の問題を解決する」をミッションに、Webマーケティング事業やメディア事業を展開。設立以降、50を超えるサービスを生み出し、10件以上のM&Aの実績を持つ。
■島袋直樹:Idealink株式会社-代表取締役
2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡。尊敬するじげん社に倣い、「事業家集団Idealink」を目指す。
【株式会社ベーシックのM&A概要】
”Webマーケティングの大衆化”を目指し、オールインワンマーケティングツール「ferret One」の機能拡充(開発)や事業提携・積極的なM&Aに取り組み、これまでに10件以上のM&Aの経験をもつ。
【YouTubeチャンネル】
https://www.youtube.com/channel/UCbxAeKe2f9WZGbKy1jHV0Dw
-
【厳選】売り手支援のプロがM&Aで絶対外せない10のポイントを解説!|Vol.810、823
2023.03.27
【厳選】売り手支援のプロがM&Aで絶対外せない10のポイントを解説!|Vol.810、823
-
LBOを使ったMBOで2段階EXIT!?【スタートアップスクエア・恵島良太郎代表】|Vol.813-814
2023.03.03
LBOを使ったMBOで2段階EXIT!?【スタートアップスクエア・恵島良太郎代表】|Vol.813-814
-
最近の関心事をフリーランスの王に相談【StockSun・株本祐己取締役】|Vol.808-809
2023.02.25
最近の関心事をフリーランスの王に相談【StockSun・株本祐己取締役】|Vol.808-809
-
TOBで上場企業をファンドに売却【ネットマーケティング創業者・宮本邦久氏】|Vol.799-800
2023.02.11
TOBで上場企業をファンドに売却【ネットマーケティング創業者・宮本邦久氏】|Vol.799-800
-
両者の男気と粘りで成立したM&A【メディアリンク・松本淳志代表】|Vol.792-793
2023.01.25
両者の男気と粘りで成立したM&A【メディアリンク・松本淳志代表】|Vol.792-793
-
年間利益の10倍以上で評価されるには【ブルームキャピタル・宮崎社長】|Vol.790-791
2023.01.21
年間利益の10倍以上で評価されるには【ブルームキャピタル・宮崎社長】|Vol.790-791
新着M&Aニュース
-
M&Aニュース
売却後が絶好の買収タイミングになる条件 |ニュース解説プレミアム Vol.29
2021.10.26
-
M&Aニュース
デコルテHDがIPOを実現させた二つのM&A|ニュース解説プレミアム Vol.28
2021.09.28
-
M&Aニュース
非上場会社が株式を使ったインセンティブ設計をする方法|ニュース解説プレミアム Vol.27
2021.08.26
-
M&Aニュース
著名人のビジネスを買収する理由|ニュース解説プレミアム Vol.26
2021.07.28
-
M&Aニュース
freeeによる合同会社のM&A|ニュース解説プレミアム Vol.25
2021.06.23
アクセスランキング
-
売却後が絶好の買収タイミングになる条件 |ニュース解説プレミアム Vol.29
2021.10.26
-
freeeによる合同会社のM&A|ニュース解説プレミアム Vol.25
2021.06.23
-
上場会社を操り人形にする方法|ニュース解説プレミアム Vol.16
2020.09.30
-
2021年大量発生中のM&Aトラブル |ニュース解説プレミアム Vol.20
2021.01.22
-
SOMPOによるABEJA関連会社化、実は今後大流行のM&A手法|ニュース解説プレミアム Vol.23
2021.04.26
案件情報をお探しの方 担当からすぐに連絡いたします。
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.