2019.01.17
M&Aしやすい、成長が見込める領域とは?|Vol.124
10億規模のイグジットなら、誰でもできる?
島袋
今回も株式会社Candleの金さんに来ていただいています。
以前、どの領域で仕事をするかが重要、それが8割だと言われていましたが、ぶっちゃけどの領域がいいと思いますか?
金
普通にでっかくなる事業という意味でですか?M&Aとか。
島袋
M&Aを前提として、大きくなる事業について、でお願いします。
金
自論ですが、売却金額が10億弱~20億後半の規模感のイグジットは、世の中に(すでに)ある市場に対して、ちゃんと適切にやればできると思います。
1兆とかの規模だと、ユニークな価値やサービスを提供しないと達成できないので、その場合は世の中で当たるか当たらないかわからないタイミングで作らないといけないと思います。
でも、10億とか20億ぐらいのイグジットは、市場のシェアを1部とるだけでいけますよね。
なので、例えば投資先に対して、今世の中にある市場で適切にやればいいと考えたときは、メディアをやらせちゃいます。普通にwebメディア。
メディアは1強になってしまうとGoogleの意味がなくなっちゃうので、基本的には(検索結果に表示されるメディアは)複数あるし、それにヒットするいろいろなキーワードがあります。だから、市場のシェアを取りやすい領域なんです。正しく切り分ければまだいろいろな市場があるので、10億前後でM&Aしたいなら、メディアを提案します。
それに、メディアはすごく専門的な能力がなくても市場のシェアをとれる領域でもありますし、僕自身が詳しいという点もあるので。
参入が多くて入れないような商圏を避けて、参入した時の適切なやり方を知っている人がいて、やりきることさえできれば、基本的には誰でも10億くらいの規模のものを作れると思います。
島袋
アプリではないんですね。
webメディアで、SEOを主体に、という感じでしょうか。
金
そうですね。アプリをやるのはチャレンジングですし応援したいんですが、10億とかでイグジットしたい場合はメディアですね。
アプリケーションをやるなら、1000億とか1兆とかの規模を狙うようなものじゃないと、リスクに対してリターンが見合わないんですよね。
kurashiru(料理・レシピ動画サービス)とかLIPS(コスメ・メイク・化粧品のクチコミ検索アプリ)みたいに学生が成功しているアプリもあるので、みんなに目指して欲しいなとは思いますが、それらは成功確度が相当低い中での生き残りなので、確率的には低いよと。
島袋
鉄板なのはメディアということですね?
金
そうですね。もっとアップセルを狙うのであれば、アプリケーションにいったほうがいいんじゃないでしょうか。
学生起業家は株式の配分に注意
島袋
学生・若手の起業家も増えていますが、彼らに向けたアドバイスはありますか?
金
M&Aしたいのであれば、メディア事業がいいんじゃないか、ですね。
島袋
たしかに、僕もメディア事業でした。
金
冷静に周りを見てみれば、学生が始めて2桁億の規模でイグジットしているのは、だいたいメディアなんです。
あとは、最初は仲間に株式を放出しない方がいいんじゃないかなと、学生起業家を見ていて思いますね。
3人で始めて各33%ずつとか、2人で始めて50%ずつでやると、途中で気付くんですよ。「やまい、代表がダントツで大変だ」って。
島袋
なんかそれ、経験あるぞ。(笑)
金
最初立ち上げたときは、3人同じように時間を使うし人生を賭けるからいいんですけど、途中で気付くんですよね。責任の違いとか、辞めれないのは自分だけだとか。
いろいろなことを考えてみると、たいていの会社が割に合わないと気づく。
なので出資した会社には、株式比率を調整させてますね。
島袋
理想の比率はありますか?
金
仮に同級生の学生3人で始めたとしたら、代表80%、他の2人が10%ずつ、くらいじゃないでしょうか。
やっぱり「優秀なコミュニティ」はすごい
島袋
事業を始めるときのチーム作りはどういう風にやられたんですか?
金
僕らはもともとTNKのサークルの友人と同じ学部のメンバー3人で、みんな優秀でしたね。
優秀なコミュニティから引っぱってくるために、自分が優秀なコミュニティに入り込む、というのがいいじゃないでしょうか。
島袋
先生、ありがとうございます!
では次回は、クルーズさんのグループに入られてからのお話を伺いたいと思います。
またM&A BANKでお会いしましょう!
■金 靖征(Yasuyuki Kin):株式会社Candle-代表取締役
東京大学の起業家サークル”TNK”9期生。3年次の2014年、二十歳で株式会社Candleを創業。アプリ開発、キュレーションメディアの運営を経て、女性向けメディア「MARBLE」で躍進。2016年10月に全株式を売却し、クルーズ株式会社の子会社となる。
■島袋直樹:IdeaLink株式会社-代表取締役
26歳だった2008年にインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2014年にIPO準備に取り掛かるも、のちに断念。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。「事業は創って売る」がモットー。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。
【株式会社CandleのM&A概要】
当初はM&Aの提案は断っていたが、クルーズ株式会社の環境(裁量権・リソース)に魅力を感じ、売却を決断。2017年5月にはグループにおける新規事業創出企業として位置付けられる。
【YouTubeチャンネル】
https://www.youtube.com/channel/UCbxAeKe2f9WZGbKy1jHV0Dw
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