2020.05.23
経営者のタイプ別M&Aの活用法
今回は、M&Aの中でも‟売却”についてのお話です。
M&A BANKではこれまで売却を経験されたゲストを多くお迎えしてきましたが、同じ経営者でもタイプは様々でしたし、M&Aをする理由やその後のキャリアにも枝分かれする部分があるなと感じてきました。
今回は‟経営者のキャリアとM&A”をテーマにひとつまとめてみたいと思います。
ビジネスの成長フェーズと経営者に求められるスキル
ビジネスには‟導入期”‟成長期”‟安定期”‟衰退期”といったライフサイクルがあり、特にそのうちの成長段階はよく数字で”0→1””1→10””10→100”とも表されます。
その段階によって、組織に必要な人材も、経営者に求められる能力も大きく異なります。
たとえば起業家が目標として掲げることの多い‟上場”には、それまでに数段階の成長と、それを支える大きな組織が必要になります。
経営者が創業当初からやってきたであろう‟社長が自身で状況を把握して決裁を行うスタイル”では一定の規模までしか対応できないため、どこかで‟部下に任せる”スタイルに大きく変更しないといけなくなります。
ここでスタイルを変更して‟上場企業の社長”になっていく経営者もいれば、それは自分のやりたいことは違うと感じる経営者もいます。
多くの起業家は試行錯誤の耐性や適性があるからこそ起業しているはずですし、自身の実績からも「自分はやれる」という自負があるため、‟任せる”部分で苦労する経営者は少なくないようです。
合わないフェーズになった時にできること
では、「自分が得意なフェーズに特化して経営したい」とわかった場合はどんな選択ができるのでしょうか。
社内に継げる人がいればその人に任せ、新天地を探すのもありでしょう。あまり成長が見込めない状況であれば、衰退する前に清算するのもひとつの手かもしれません。
しかし、自分にとってはこれ以上成長させられない状態のビジネスでも、欲しがっている人がいるかもしれません。自分が持っていないリソースやスキルを持っている人が、そのビジネスを手に入れて、伸ばしたいと思っているかもしれないのです。
以前、ゲストの金さんはこの点を指して「M&Aとメルカリは同じだ」とおっしゃっていましたが、とても重要な気づきだと思います。
売却した場合も、その後のキャリアは一つではない
同じ‟売却”を決めても、売却のしかたやその後のオーナーのキャリアには違いが出ます。
オーナーの気持ちによって、パターンは大きく3つに分けることができます。
引き続き経営したい
リソースやスキルの問題で苦戦していて、それらの問題を解決できる尊敬できる買い手候補が見つかった場合、M&Aで買い手企業傘下で経営を続けることが可能になる。子会社社長として経営を続けるほか、親会社の経営に参画するケースもある。
買収後も引き続き経営してくれることを望む買い手は多いので、相性さえよければ両者がハッピーになりやすい。
もう一度~~したい
起業や変革など、ある一定期間の経営を得意とする経営者の場合、そのフェーズが終わったタイミングでM&Aを活用すれば、次のフェーズを得意とする経営者(会社)へ該当事業を譲り、得意とするフェーズで課題を抱えている別の事業の経営に取り組むことが可能になる。
起業が得意な場合は‟シリアルアントレプレナー(連続起業家)”、規模の大きい企業をより成長させることを得意とする場合は‟プロ経営者”としてのキャリアを磨くことができる。
少し離れて支援したい
自分が経営するのではなく、経営者を支援する立場としてビジネスに関わっていきたい場合、経営との距離を変える目的でM&Aを活用できる。投資家として関わり、自身の経験をもとに経営者にアドバイスを行うほか、支援先を集めれば横での繋がりや提携も可能になる。
自身が経営やEXITの経験を持っている場合は、単なる資金援助以上のサポートが可能な投資家として起業家を支えることができる。
経営者が自身の能力を一番いかせる環境を構築することは、自分のためだけでなく、事業や会社のためにもなることです。
その選択にもぜひM&Aを役立てていただけたらいいなと思います。
大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。
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