2018.12.11
スピード経営・成長のカギ|Vol.111
IPO路線でしたが、なぜM&Aを?
島袋
今回もあしたのチーム代表取締役会長の髙橋さんに来ていただいています。
前回事業の説明をしていただきまして、うちでも導入することがほぼ決まりました。(笑)ぜひよろしくお願いします。
髙橋
慎重にご検討いただいた方がいいと思います。(笑)
島袋
では今回は、あしたのチームのM&A(売却)について伺っていきたいと思います。
ニュースが流れた時、えーー!ってびっくりしました。もともとはIPO路線でしたよね?
今回、株の過半数をベクトルさんにバイアウトされたということですが。
髙橋
既に数%持っていただいたので、その意味では54%ぐらいです。
島袋
ベクトルの西江さんがFacebookでも「過去最大のM&Aです、チャレンジします」みたいなポストをされていたので、「今回のM&Aは相当すごいんだろうな」と思って見ていました。
IPOするという選択肢もあったなかで、なぜベクトルの傘下に入るような形に、過半数を売却することになったのか、そのあたりを伺いたいです。
髙橋
1人で自宅マンションで起業した当初から、私の経営の持論があるんです。
ズバッと言いますが、ベンチャー企業というのであれば、ずっと100%オーナーでやっていくのは正しい経営じゃないんじゃないかと思っています。
ベンチャーと言うのであれば、最終的にはIPOも目指すかもしれませんが、まずはスピード経営の中で時価総額を上げていくことを目指すのだと思います。その点では、よい仲間、良質なステークホルダーが増えれば経営としてのレバレッジが効く。
ステークホルダーには金融機関、取引先もありますが、1番は株主だと思っています。なので、良質な株主をいかに早いタイミングから巻き込めるかが、今のスピード経営の時代における成長の鍵だと思っています。
アーリーステージから億単位で資本金が入っていて、きちんと経営にも参画してもらえる株主を招聘している会社が、早期IPOできていたり、IPOが多少伸びたとしてもユニコーンのように大きくなっていると、私は思っています。
ベクトルのグループ会社になる前も、実は株主は47名ほどいました。未上場の状態、設立10年未満でも40数名という状況でしたね。
株主には上場企業・事業会社も複数いて、あとはメガバンクやベンチャーキャピタル、個人の投資家など、経歴が素晴らしい方々を株主に迎え入れました。
そういった方々の人脈で採用・顧客・ベンダーに巡り会うことで、あまり回り道をせずにやれてきたと思います。
保有比率を下げて、株価や時間を得る
株式が少しずつ希薄する中で感じてきたことで、「3つの掛け算」というものがあります。
ひとつは自分の保有比率、ふたつめは株価、そしてもう一つ、極めて重要なのが、時間軸なんです。
自分が1万株持っていて、1株1万円だとしましょう。時価総額が1億円になるのに5年かかった場合、株価を2万円にするのにこのままだとさらに5年かかります。
これを1万株×2万×10年という掛け算で考えます。
保有している株が仮に50%になっても、2倍以上の株価で時間がショートカットできるのであれば、個人の金銭的なメリットは減るように感じられるかもしれませんが、結果的にはメリットが大きいと思います。
成長する蓋然性・確率がそれで高くなるのであれば、経営者は積極的に株を手ばなすべきなのではないかと思います。
島袋
なるほど……。
そろそろお時間になりましたので、M&Aについて、また次回続けて伺いたいと思います。
■髙橋恭介:株式会社あしたのチーム-代表取締役会長
興銀リース株式会社で2年従事したのち、設立間もなかったプリモ・ジャパンに入社。取締役副社長としてブライダルジュエリー業界シェアNo.1へと導き、人事にも深く関わる。2008年に株式会社あしたのチームを設立し、代表取締役社長に就任。2018年6月から現職。
■島袋直樹:IdeaLink株式会社-代表取締役
2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡。尊敬するじげん社に倣い、「事業家集団IdeaLink」を目指す。
【株式会社あしたのチームのM&A概要】
より盤石でダイナミックな経営を可能にするために子会社化を検討。多数の買い手候補との交渉を経て、2018年7月、2015年から3%弱の出資を行っていたベクトル社へ株式の54%を売却し、子会社化。
【YouTubeチャンネル】
https://www.youtube.com/channel/UCbxAeKe2f9WZGbKy1jHV0Dw
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