2018.04.25
Win-Winになるために!事業譲渡・M&Aを成功させるポイントとは
安田あかね:M&A BANK編集部 ライター
M&Aは買い手企業と売り手企業の双方がWin-Winの関係になることが望ましいですが、必ずしも希望通りの条件で事業譲渡ができるとは限りません。
では、失敗のリスクを回避するためにはどういった点に気をつければ良いのでしょうか?今回は事業譲渡M&Aを成功させるポイントをご紹介します。
会社売却のタイミングを見極める
M&Aは成約するまでに3ヶ月~12ヶ月の期間を要することが一般的です。その間に会社の業績や経営者・オーナーの体調が悪化してしまう可能性は、必ずしもゼロではありません。何らかの原因で顧客や取引先を失ったり、企業価値が下落したりすれば、買い手側も大きなダメージを受けることになり、譲渡が不可能な状況になってしまいます。
したがって、売り手企業側の経営者・オーナーはM&Aを決意した後も本業に注力し、なおかつリタイア前でもしっかりとコンディションを整えておきましょう。
売却意思・売却条件を社内で固めておく
事業譲渡は、売り手企業の経営者・オーナーの一存で決めてしまっていいものではありません。株主や役員の承諾を得られていない状況では、買い手企業も真剣にM&Aを検討しにくく、交渉がスムーズにいかない可能性があります。
売り手企業の経営者・オーナーはなるべく早いタイミングで株主や役員の意思確認を行いましょう。
また、事業譲渡について従業員への相談は必ずしも必要ではありませんが、最終契約書を交わすタイミングでM&Aに至った経緯や目的、雇用が守られることなどを真摯に伝えることが大切です。
求められた必要書類は提示できるようにしておく
M&Aは売り手企業が自社の実態を正確に把握できていることが大前提です。買い手企業は投資する価値があるかどうかを判断するデューディリジェンス(買収監査、リスク調査)で、さまざまな切り口から売り手企業の資料を求めてきます。
部門別・製品別の収支の実態を資料で提示できるようにしておくことはもちろん、株主総会議事録や取締役会議事録といった、売り手側の株式の動向などを確認する資料も整備しておきましょう。資料の請求に対し、出し渋るようなことがあっては買い手企業がM&Aに難色を示す場合もあります。
自社の強み・弱みを明確にする
買い手企業は、シナジー効果によって自社の成長に期待できる企業とM&Aを実現したいと考えています。新規事業をゼロから立ち上げるよりも、その分野の技術やノウハウ、販路に強みを持った企業を買収するほうが有利な場合があるからです。
売り手企業にとっては、自社の強みが買い手企業の成長を後押しできるというアピールこそ、事業譲渡成功のカギを握っています。M&AでWin-Winの関係を実現するためにも、自社の強みと弱みを明確にしておく必要があります。
自社の弱みは買い手企業の潤沢な資金や経営資源で補える可能性があるので、強みにクローズアップして、「この経営資源の支援があれば、自社の事業が相手会社(買い手企業)の成長を後押しできる」という点から考えると良いでしょう。
誠実に対応すること
M&Aを純粋にビジネスと割り切れば、売り手企業にはなるべく高い金額で事業を譲渡したいという希望があり、買い手企業にはなるべくコストを抑えて会社を譲り受けたいという希望があります。
しかし、M&Aは信頼関係を構築できる会社同士でなければ成立しません。
売り手側は従業員や取引先を冷遇するような買い手に会社を売却したくないように、買い手側も希望条件が満たされないからと言って、情報の提供を渋ったり、合理性のない条件変更を持ちかけたりするような不誠実な対応をする売り手を買収したいとは思わないものです。
M&A仲介者を活用する
ほとんどの経営者・オーナーにとって、M&Aは初めての経験です。
時間をかけてでも納得のいく事業譲渡を実現できればベストですが、時間をかけすぎて交渉を先延ばしにしている間に、企業価値が下がるようなことがあっては本末転倒です。また、一刻も早い事業譲渡を実現したいと思っていても、上記のように必要書類が揃っていないような状況では、タイミングを見誤ります。
M&Aにはプロのサポートが必要不可欠です。事業譲渡に関する知識がなくても、経営者や会社にとって最善の方法を提示してくれるような仲介者がいれば、売り手企業にとっても買い手企業にとっても最大限のメリットを獲得できるM&Aが実現できるでしょう。
おわりに
売り手企業にとって事業譲渡が成功するかどうかは、買い手が自社を買収して事業拡大や新しい収益源の確保、リスク分散が実現できると判断できることが重要です。
買収候補企業にとって魅力的な商品、経営資源、ノウハウ、取引先があることをアピールし、なおかつ誠実な対応で交渉をスムーズに進めていくことが事業譲渡の実現および成功につながります。
従業員の雇用の確保やハッピーリタイアを実現したい経営者の方は、今回ご紹介したポイントを把握し、必要な場合は仲介者を活用することが、事業譲渡成功に向けた現実的な方法と言えるでしょう。
安田あかね:M&A BANK編集部 ライター
大阪大学人間科学部を卒業後、教育系企業に就職。新規事業部にて新サービスの運営基盤づくり、スタッフの管理育成やイベント企画に携わる。
IdeaLink社ではウェブマーケティング領域の業務を経て、M&A BANKの立ち上げ・運営に関わる。サイト管理の他、経営者インタビューや記事の編集を担当。
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