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じっくり解説・IFRS導入の本音とデメリット| Vol.095 | M&A BANK

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2018.10.27

じっくり解説・IFRS導入の本音とデメリット| Vol.095

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「IFRS」は、買い手のお悩み「のれんの償却問題」を解決するか?

島袋
M&Aする時、買い手となりえる企業が上場企業の場合は、特に会計基準が重要そうですよね。
前に不動産メディアを売りにいろいろな会社にアプローチした時も、”のれん”の問題をかなり気にされた記憶があります。あれって要は、5年で償却できなければ赤字ということですよね?

冨岡
期間は5年に限らず10年とかもあるんですが、少なくとも毎期定額の償却費があってそれ以上の利益を稼がないといけないというものですね。
上場会社にとって利益は大事なので、「このM&Aは”のれん”の償却費がちょっと重たいな、どうしようかな」と悩む上場会社はすごく多いですね。

島袋
それを回避できるのがIFRS(国際会計基準)なのかなと思っているんですが、どうですか?

冨岡
本音のところはそうですね。国際会計基準IFRS(イファース)を導入する上場会社は増えていますが、表向きには「”のれん”の償却費がうんぬん」とは言いません。「国際的比較のため」とか「BS経営への移行」というのが建前です。
それ(建前)も事実なんですが、水面下では本音の質問がくるわけですよ。「イファースって実際どうですか?」「M&Aをどんどんやっていきたいんですけど償却費が重たいです」「だからIFRSを入れたいんです」という相談がすごく多いです。
正直、どこものれん償却費の問題から検討しているのが事実と言っていいと思います。

(IFRSにのれん償却費を軽くする)効果があるかといえば、確かにあります。

毎期無条件で定期償却する必要性がなくなるので、利益の成長性を重視する上場会社にとってはメリットが大きいですよね。
もちろん検討されている会社ならご存知だとは思いますが、「全く費用化しなくていい」のかというとそうではなく、事業計画書通りにいかなかったら減損というかたちで損失として処理する必要があります。
ただ、上手くいっている限りは償却しなくていいので、検討している会社は増えています。

でも、「本当に導入する価値があるの?」と聞かれると、なかなか微妙だなとは思っています。

導入の労力がすごいから、結果的にメリットがないかも

島袋
なぜですか?

冨岡
正確に言うと全部の会社にフィットするわけじゃないからです。
普通の上場会社で、日本の会計基準でもいっぱいいっぱいになっている場合だと、IFRSの導入を社内で対応するのは難しいです。経理の人とかが対監査法人でけっこうエネルギーを使うんですよね。
IFRSに詳しい人はまだまだ少ないので、社内に優秀な会計士がいなかったり、監査法人に慣れてなかったりすると、導入プロセスの中でぐちゃぐちゃになって、プロジェクトが取りやめになるケースもあります。

島袋
あるんですね……。

冨岡
上場会社は監査法人に払う監査報酬がありますが、その金額がめちゃくちゃ高くなったりもしますし。

島袋
そうなんですね。

冨岡
上場会社は有価証券報告書を公表する義務があって、その中に監査法人に毎期いくら払っているかが載っているんですよ。IFRS導入前後で比較してもらうと、けっこうばんって上がっているのが分かります。
うまいところはそれを削減するテクニックを使っているんですが、あまりうまくなかったりすると監査報酬が2000万円~3000万円から6000万円になってたりします。倍以上の金額を毎年払うことになるんですよ。

そうすると、のれんの償却費がなくなっても毎期監査報酬が数千万増えてるわけです。大型のM&Aをするなら(元を取れるので)いいんですが、あまりしない場合は、管理コスト・管理部の人員増加・監査報酬の方が大きくて、結果的には意外とメリットがなくなってしまいます。それを経験して愚痴を言っている会社さんもありますね。

島袋
「M&AするからIFRSだ」と簡単に決めてはいけないんですね。

さらに悲しいことになる可能性も

冨岡
また、これは検討段階の話ではあるんですが、IFRSもやはり日本みたいに毎期”のれん”を償却するように会計方針・会計基準を変えようかみたいな議論がされています。
せっかく一生懸命頑張ってIFRSを導入しても、もしかしたらその時にIFRSの団体が会計基準を変えました、と言ってくることも考えられます。そして定期償却……
そうなったら悲しくないですか?

島袋
相当悲しいですね。

冨岡
IFRSを導入するとしても、監査報酬などを適正に抑えるテクニックや やり方をしっかり検討した上でやらないといけないですね。

1部に上場するためには導入するべき?

島袋
大体の企業がマザーズから東証1部を目指しますよね。東証1部にいくためにはIFRSの方が有利なんでしょうか?
マザーズだと国内の個人投資家が大半だけど、東証1部になると外国人投資家と機関投資家が8割以上になりますし。

冨岡
東証1部にいくために有利かどうかで言うと関係ないです。ですが、IFRSを導入していると1つの加点ポイントになるようなところはあります。
これは外国人投資家に限らずですが、もし他の条件が全く一緒であればIFRSを導入している方が高く評価されます。明確なルールはないんですが、今のところはそうなってますね。

「これから将来的にガンガン伸ばして世界進出もするし、東証1部、いやそれ以上、トップを狙っていく!」という会社であれば、IFRS導入を積極的に検討してもいいかなと思います。

島袋
なるほど。IFRSを検討されている皆さん、参考にしてくださいね!

 

【出演者情報】
■島袋直樹:IdeaLink株式会社-代表取締役
2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡。尊敬するじげん社に倣い、「事業家集団IdeaLink」を目指す。
■冨岡 大悟:TOMIOKA C.P.A OFFICE 代表/公認会計士
オーストラリア帰りのM&Aバンカー。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。IdeaLinkの他にも複数社の社外役員を務める。

【IdeaLink株式会社のM&A実施背景】
資本力と競合優位性を俯瞰して自社サービスを見直した際に、現状の経営資源では更なる成長は困難と判断。2017年12月25日、シェアリングテクノロジー株式会社(東証マザーズ3989)に新設分割により「フランチャイズの窓口」、クレジットカード比較4サイトを売却。その後は売却した資金をもとに、「事業家集団」として新たなビジネスの種まきに奮闘中。

【YouTubeチャンネル】
https://www.youtube.com/channel/UCbxAeKe2f9WZGbKy1jHV0Dw

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