2018.12.09
第3回ベンチャーM&Aサミット【4/5】
「第3回ベンチャーM&Aサミット ~彼らの共通点は東大卒~」
当日の様子の一部をテキストにてお届けします。
登壇者プロフィールはこちら、イベント情報はこちらからご覧いただけます。
1. 「大企業のサラリーマン」的思考回路のまま、M&Aしてもらう
島袋
大久保さん、M&Aのときの今だから言える話、ないですか?価格交渉でも。
大久保
うちの場合は買い手がいるわけではなかったので、買いそうなところにはめるという作業でした。とにかく財務諸表を見て、「こいつらは現金をいくら持っとるんや」というところだけ明らかにして、「それじゃあこのくらい出せるかな」ということをひたすらやっていましたね。
あと、大企業は
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2. 反省点は、優秀な人を入れすぎたこと
冨岡
大久保さんにお聞きしたいんですが、若いですけど今2周目じゃないですか。
1周目の失敗というか、ノウハウ的に次にやるときは絶対これはやらないぞ、ということがあれば、お願いします。
大久保
あんまり優秀な人を入れすぎないことですね。これは本当に失敗したなと思うのが、最終的に売ったときは5,6人で、全員とても優秀だったんです。
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3. 「若き起業家のイグジット」のイメージ問題について
来場者
先ほど大久保社長から日本と海外の違いという話が出てきましたが、大久保社長の見解で、日本のM&A事情として感じているものがあれば、お聞きしたいです。
私みたいなところからするとM&Aは活況になっていると思うんですが、海外と比べてどんな違いがあって、今後どうなっていきそうなのか。独自の視点がありそうだったので、ぜひお聞きしたいと思います。
大久保
言いたいことを言ってしまいますけど、まずひとつは…特にベンチャーのM&Aの場合って、明らかにお金持ちになる人が出る瞬間があるじゃないですか。日本の買う側ってやっぱり、それをけっこう嫌がるんですよね。
30社くらいまわったんですが、買い手がみんなけっこう口をそろえて言うのが、「出資はする」「けど、買うのは最終的に4割くらい」ということです。4割買うとか意味ないと思うんですよ。創業側の株を買うのをけっこう嫌がるんですよね。
アメリカの場合は、スタートアップを立ち上げた、創業した人というのは、M&Aをするにしてもエグジットするにしても、しかるべきバリューを受け取って当然だという考えがあります。例えばUberみたいなケースでも、創業者がけっこうやらかして辞めていますけど、相当の額を受け取って辞めていきましたよね。
ラウンドとかでも、シードラウンドから数えていったとき、アメリカのVCの場合は、シリーズBからCにいくときに創業者から株を一部買ったりするんですよね。
IPOしたときはもっと大きなお金がもらえるけれども、今とりあえずここまで大きくしたから、今の段階でもうそれなりのお金をあげましょう、という。そういう創業者側にメリットを流していこうという、エコシステムの意識がすごくあるんです。
でも日本は、IPOをする以外でのエグジットで誰かがお金をたくさん得ることを本当に嫌がる傾向があると思いますね。それは実際交渉していて感じました。
「なんでこの若造がお金を持つことになんの」、みたいな。正直それはあると思います。
だからたぶん、ある意味事業承継のM&Aは日本という国に合っていて、きっとうまくいくんですよ。ずっと長い間やってきた歴史があって、この歴史を途絶えさせてはいけないから、自分たちが救うんだという形は、すごく日本ぽくていいと思うんです。
でも、「若いベンチャーが2,3年やりました」みたいなのでぽんと上がるのは、すごく嫌がると思います。
来場者
今後も日本独特の風土は根強いのか、多少変わっていく気配があるのか、実際にまわられていて感じることはありますか?
大久保
それは売った側の人たちの動きによると思っています。
僕はそんなに大きな金額で売ったわけではないので、それで人生一生何もしなくても暮らせるということはないんですけど、そういう人もいるじゃないですか。そういう人たちがお金の使い方を間違えないことだと思いますね。
ちゃんと世の中のためとか、日本のために、お金が使われているという印象を与えるようなお金の使い方をできるかどうかだと思います。そうすると、別にいいかなと思います。
島袋
すみません、ツッコミ入れていいですか?大久保さん、今何時ですか?(※大久保さんはパテック フィリップの腕時計を付けています)
大久保
そうですね、そのツッコミ待ってましたけど(笑)
会場
(笑)
島袋
別にそれ(時計)は、バリュエーションに対しては(そこまで額が大きいわけではないから)ね…
大久保
まあ、自分へのご褒美の部分とそうじゃない部分とかですかね。
本当は僕自身がもっとやらなきゃいけないと思っているのは、若いベンチャーに出資するだけじゃなくて、NPO法人とか、利益とか経済のためだけじゃない部分にもお金をまわすようなシステムを、お金を持った人たちが作れるか、というところですね。
三橋
ちょっと話していいですか?さっきからめちゃくちゃ共感しまくりで…さっきからどこで入ろうかずっと迷ってました。すごく近い(ものを感じる)んですよ。
今日ちょうどタクシーで来たときも、二人して識学の同じもの(CM)を見ていたのにはじまり、僕も一応就活のときにミーハーなのもあってゴールドマン受けていたり。テクノロジー部門なのでそこは違うんですけど。
なんなら近いつながりでいくと…大久保くんの元カノ、僕の元カノでもあるみたいなのも。(笑)
会場
(笑)
三橋
真面目な話、今話してたところはほぼ全部そうだなと頷けます。
「和をもって尊しとなす」的な文化がやっぱりあるから、一人の人が突出して金持ちになってしまうことに対する…どうしても嫌な感じが出てしまうという日本の文化もすごくよくわかる。
その先の話もそうです。シリコンバレーだと1周目、2周目どころかもう7周くらいしてる状況だと思うんです。
エンジェル投資っていうと概念がわかりやすいと思うんですが、「この若者が富を手にしたからこそ、次の事業ができて、あるエコシステムに未来ができた」というような形で日本もやっていかなきゃいけないというのもそうです。僕らは当事者だと思っているので、そういうつもりで動きたいと思っています。
NPOの話については、僕の場合は財団のことを考えていました。
一番最初に話したように僕はお金がなくて困っていたので、中部奨学会というところから奨学金を借りていたんです。金額は大したことないんですけど、金利はゼロなので、冷静に考えてその奨学金を設立している財団側には何の金銭的メリットもないんですよ。返済する側にも一括返済する経済的理由がないじゃないですか。
そもそもなんでそんな奨学金をやっているんだろうと思って調べたら、マルハニチロの創業者の方が同じような原体験をもって、そういうやる気や意志はあるけれど、何かしらの理由で学ぶことができない人のために財団を作ったと書いてありまして、もう最高の自己実現のしかただなと思ったんですね。
僕が教育分野をやりたかった理由はまさにそれで、過去の自分を救いたい。やる気はあるけどお金がないって人を救いたい。
ただ実際フタをあけてみると、ビジネス上の一番でかいニーズは、みんなそもそもやる気がないということにあるんです。――ここにいる方々はみなさんやる気があって出てこられているので、たぶんハズレ値です――これはけっこう重要なことで、95%くらいの人はやる気がないんですよ。学ぶ気がない、仕事する気がない。
それで、そこの子たちのやる気をモチベートしてあげて、学ぶ気、仕事する気を起こしてあげるっていうのが、教育の一番大きなニーズなんです。これはたぶん真です。
でもこれのアプローチには、テクノロジーは向いていないんですよ。リアルの方がいいんです。リアルで友達が一緒に頑張るとか、怖い先生がケツを叩いてあげる方が、よっぽどモチベーションが上がるんですよ。そういうことがわかったから、BtoBでリアル塾を持っているところと組みにいきましたが、最初の頃、3,4年間プロダクトをずっと作っていたときはなかなかそれがわからなくて…
ちょっと派生しましたけれど、そんなことを共感しまくったので、どうしても喋らずにはいられませんでした。
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次回更新:12月12日(水)10:00 ~
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