2018.12.12
第3回ベンチャーM&Aサミット【5/5】
「第3回ベンチャーM&Aサミット ~彼らの共通点は東大卒~」
当日の様子の一部をテキストにてお届けします。
登壇者プロフィールはこちら、イベント情報はこちらからご覧いただけます。
1.売り手の「値上げしたい気持ち」を抑えられるのも「気持ち」
来場者
わたしも元々仲介にいた人間なので、M&Aは仲介を入れてやるもんだという先入観を持ってお話を伺っていました。
売る方は高く売りたい、買う方は安く買いたいと、おそらくは利益相反が絶対に起こってくるはずですが、それを最終的な価格にすりあわせていった、そのバリューに落ち着いたポイントを、ぜひみなさまにお伺いしたいです。
吉田
私は二人とは違ってかなり異例になるとは思うんですけど、先程申し上げた通り、独特の方程式で、どちらかというと気持ちで動いていただきました。
ただやっぱり落とし穴もありまして、気持ちでいくらでもひっくり返ったり、変わったりすると思うんです。私もまあ、途中からこれは気持ちだからこちらも気持ちで応えようと思って、最終的に金額は落ち着いたんですけども、実は若干裏話があります。
当初はなかった話が、後からそれなりに出てくるんですね。退職金の金額が当初の話とは変わってきたり。
当然契約書を交わしていないですから、「それはちょっと…」となっても、結局感情で来るわけです。
もともと私はビジネスでは、「論理を用いて感情に訴える」をモットーにずっとやってきたんですが、思いで動く人たちに対しては、「なるべく論理を用いずにいかに感情に訴えるか」ということを、かなり気をつけていましたね。
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2.連続起業の先に目指すもの
来場者
私は東京大学の2年生で、農学部に在学しています。
ふたつお聞きしたいことがあります。
ひとつは、22,3歳で起業されていると思うんですが、人材集めではどんな工夫をされましたか?
ふたつめは、今後の2周目3周目になったときのビジョンがあれば、お聞きしたいです。
三橋
人に関しては僕も学生起業でした。
ほんとにわかりやすく近くの友達が優秀なので、喫煙所とかに行って知り合いとかに、「コード書けるやついない?」って聞くと、「あいつGoogle内定だよ」みたいな感じで、ふつうに集まるっていう。3〜5人くらい理学部情報学科の人たちを集めると、だいたい「情報オリンピック何番」みたいなやつがいるから、それでいけば。
自分も当然そこそこできる程度には能力がないとだめだけど、そういう人たちと一緒にやれば、50〜200万くらいとかでも、自分たちでHPを作ったり、それくらいだったらみなし法人でもできるから、登記しなくてもいいし。
創業融資でそのくらいなら引っ張れるし、2000万3000万くらいでも、休学してやるぐらいの勢いを見せれば、たぶん引ける。なんならVCとして俺が出してもいいし、VCいくらでもいるし、今よっぽどやりやすくなってます。
人は周りがいくらでも優秀なんだから絶対できると思います。
ふたつめは次のビジョンですね。まだあまりパブリックにできていないんですけど、僕次はブレインマシンインターフェイスってやつをやりたいと思っていて、頭で考えただけでシステムを動かすという技術が結構進化していて、それが一番進んでいるのは中国なんです。
中国に行って清華大学や北京大学で博士号とって、そういう人たちオーソリティに集めて、このブレインマシンインターフェイスができれば、今のタンジブルなスマホやパソコンでこんなこと全くしなくても、考えるだけでいけるから、全部のインターフェイスがガラッと変わる。
その次の世界では今度は脳がちゃんと理解しきれる状態になると、脳移植による半不老不死というのができる可能性があって、ほんとにSFの世界なんだけど、僕らが生きている30年、40年のスパン感で考えたら、これはビジネスまでいく可能性があるので、そこに入りたいと思います。大きいことやりたいので。そんな感じです。
大久保
人材については、学生起業の方が集まると思いますよ。
僕はゴールドマンを辞めて起業しましたが、中高6年間一緒だった子がそのときグリーにいて、同じ六本木ヒルズだったんです。よく一緒にランチをしていたので、それで何かやってみようかと言って起業しました。
その後のメンバー集めは、一回社会人になってしまうとみんなもう働いていて失うものが多いので、「辞めてスタートアップをしよう」という説得はけっこう難しいです。それでも何人か集まってなんとか形にはなったんですけど、たぶん学生起業の方が、人は絶対に集めやすいです。
ただ、お金は学生起業よりも社会人起業の方が集めやすいですね。ゴールドマンだからというのはあるかもしれないですけど、3,4年目くらいで辞めておけば、最初うまくいかなくてお金がないってなったときも、会社の先輩に電話すれば、すぐに数100万貸してくれるとか。
会場
(笑)
大久保
ゴールドマンっていうコミュニティを使えば、いくらでもお金は集まるところはあったので…お金はGS入ってよかったなと思う点ですね。(笑)
今2社目に入っての次のビジョンは、1社目がM&Aになったのは結果的にはすごくよかったと思うんですけど、ここで言うのは何なんですが、次は1回IPOをやってみたいですね。ゴールドマン時代はずっと株式マーケットと向き合ってきたということもあって…
変なこと言いますけど、一旦資本主義の限界というか、資本主義というゲームにおいて、一番おもしろい、うまみのあるプレーヤーをやってみたいんですよ。それってたぶん親が超お金持ちな家に生まれるか、上場企業のオーナー社長・大株主をやるか、どっちかなんです。――まあ、上場したら普通の投資家も入ってきますけど――残念ながら親が大金持ちではないので、一旦資本主義のマーケットに向き合ってみて、その限界を見たいですね。
ゴールドマンのときに資本主義の限界を感じたので、その限界を感じたうえで、次の思想を自分で作りたいですね意味分かんないこと言ってますけど(笑)
3.行き詰まりで講じた「必殺技」
来場者
今税理士法人でM&Aの仲介、FAとスタートアップをやっています。
質問はふたつあります。ひとつめは、サービスローンチまでの間、副業されていたのか、調達した資金でやりくりをされていたのかを知りたいです。
ふたつめは、途中で予定通りにいかなくなって、手詰まりを感じたことがもしあれば、そのときどう乗り切ってこられたのかを知りたいです。
三橋
僕は、結果的にはビジコン荒らしをしていましたね。学生起業だったのでたしかにお金がなかったんですけど、ビジネスコンテストに勝つと賞金がもらえる上に、告知もできるから、投資家や興味のある学生の子たちに通知できるし。――しかもシリコンバレーとか連れて行ってもらって、それで僕シリコンバレーに3回くらい行ったんです――
ビジコンで100万円手に入れて、サーバー代にあてるみたいなことを、超超初期はやっていました。
真面目に採用し始めたころからちゃんとリリースするまでの間は、シードラウンドの資金を4000万くらい引いて、4人くらいいたので、サーバー代とかを含めると1年半くらいしかもたない状態でした。それまでの間に成果を出して、次のラウンドを決めるっていう前提で逆算して動いていた感じです。
個人借り入れをそんなに引く力がなかったので、そこはできなかったんですけど、やれたらそれもやっていたと思います。
ふたつめの質問に関しては、基本98%くらいは予想外のことが起こり続けるので、むしろその発想を逆にした方がいいですね(笑)うまくいくことはまずないっていうなかで動くという。
おそらく僕の場合は、3ヶ月先は未来くらいの感覚で全部やっていたので、それくらいおよそ今の時点で想定できる悪いことはすべて起こると思っていた方がよくて、その想定できない何かまでふってくるので、そのときに耐えられるような、理由なき自信とか、メンタルの強さ。超超創業期に月400時間働いてもめげずにがんばるみたいな、事故っても事故っても頑張れるかを問うた方がいいのではないか、というのが僕の個人的な感覚です。
大久保
そうですね、悪いことは起きますね。
僕も起業して最初にやろうと思ったのはアドテクではなくてスケジュールアプリづくりだったんですが、ゴールドマン時代の貯金を半年ぐらいですべて溶かしちゃいましたからね。
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4.「自分の代わりになれる人はいるのか」問題
来場者
アパレルブランドの会社をやっております。
従業員の方のお話があったと思うんですけど、私は新しい人に教えたらなんとかなるものだと思うのでそちらは心配していないんですが、取引先との関係の方にすごく心配があります。
例えば、生産工場の社長との関係です。すごく大きな会社の生産をしている工場なんですが、私はどの会社よりも最安値で最優先納期でやってもらっていて、これは私が抜けたら絶対やってくれないと思うんです。でもその工場との取引がうまくいかなくなったら、品質も変わってしまったり、一から型紙を全てやらなきゃいけないとか。
他にも、モデルさんとのコミュニケーションとかも、私がいなくなったら動いてくれない子たちってたくさんいるなと思っているので、従業員よりも取引先の人たちが動いてくれないことの方が、運営自体がすごく難しくなるんじゃないかと思っています。
大久保
その質問は僕が回答した方がいいですね。うちの会社は今アパレル事業をやっているので。おっしゃる通り、工場とかOEMとかをどこにするかはとても大事ですが、ひとつ私が思うのは、極論、自分がいないとできないことは本当はないと思うんですよ。
会社の中の他の人を紹介してその人を担当にして、自分は他の取引先を開拓するっていうのも、時間をかければそのコミュニケーションは作れるはずです。自分自身が絶対特別で、その人は自分だから発注してくれているという状況は、変えられると思いますね。
それは、変えられると思わないと変えられないです。
私自身は、最初の開拓はそれこそ私が中国の工場に行って一緒に工場長と飲んだりしましたけど、結局今そこは関わっていなくて、でも発注しています。
もう自分自身がいなくてもまわるような人材が自分の会社にいるのだと信じることだと思いますね。
たぶんそんなに優秀じゃないんですよ、みんな。僕もそうですし、たぶん自分じゃなきゃできないことなんてないんですよ。大体のことは誰でもできることなので、それは自分の社員を信じることだと思います。
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本ページでは割愛とさせていただきましたが、他にも「まさにそこが知りたい」という、リアルでためになるエピソードをいくつもご披露いただきました。
次回は3月に開催を予定しております。ぜひ会場でノーカット版をお楽しみください。
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