2019.05.09
第4回ベンチャーM&Aサミット【6/6】
「第4回ベンチャーM&Aサミット ~投資ファンド、大解剖~」
当日の様子の一部をテキストにてお届けします。登壇者プロフィールはこちら
3. 「バイアウトファンドへの売却」が叶う条件
3.こんな選択肢も
1. 事業会社への売却
冨岡
売る会社さんの立場から考えて、どういう会社なら事業会社とM&Aが成立しうる、どういう会社ならファンドの方がありえる、といった傾向はありますか?
宮崎
ケースバイケースですね。
一般論として、ファンドさんが買収するとなった時に(買収額の)EBITDA倍率が20倍を超えるというのはおそらくそんなにないと思うんです。
ただ事業会社であれば、一般的には平均3~7倍なんですけど、正規分布みたいなものがあるとして、すごく高いディールでは、EBITDA倍率だけで見ると本当に何十倍、何百倍で売却が成立しているケースもあれば、赤字企業でも何百億という額で売却できているケースもあるわけです。
ですから、そういうことを狙える可能性がある会社であれば、事業会社に売る方針もありだと思います。
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2.資金調達して、さらに成長
細窪
VC的な視点からですと、もし今後も成長しそうな事業であればぜひVCから資金を調達して、ご自身でIPOまで持っていっていただきたいところです。
M&Aで売った方が早くイグジットできるんだけれども、みんながそればっかり考えると上場する会社がなくなっちゃうし、株式市場が活性化しないと経済が全体的に良くなくなりますので。
上場まで持っていくのは大変ですけれども、ぜひそれは挑戦してもらいたいなと思います。
冨岡
識学の梶山さんは最近上場されましたが、大変でしたか?
梶山
戦うステージが変わるので、ルールを理解するのは大変でしたね。
その点は今回M&Aという業界に入らせていただくにあたっても、最初はルールがわからないので、そこを把握する大変さは感じました。
冨岡
IPOはおすすめしますか?
梶山
やっぱり非常にいいですよね。
僕らの商売にはやっぱり社会性もありますし、個人的には上場という世の中のひとつの仕組み・ルールがわかりましたし、それがあるからああいう人たちがいるんだとか、これがあるからこうなんだと見地も広がりました。
何がやりたいかということにもよるかとは思いますが、私個人としては非常に面白いなと思いました。
※ 何をゴールとするか:イグジットにおける人生プランの必要性
宮崎
このへんの話ってかなりクリティカルで、大事な話だと思います。
会社を売却したいということで相談に来られた方に僕が毎回話すことがあるんですが、その人がその事業だけをやっている場合、相当長年やってこられていることが多いんですね。そもそもそこまで来られる確率は一般的に低いと思うんです。
そこまで来ていたら、さらに伸ばしていける確率がすごく高いケースがあって、伸ばせば伸ばすほど、当然高い金額で売れるわけです。
するとやっぱりオーナーとしては、キャッシュインした金額でそのオーナーにとっての資金の性質が結構変わると思うんですよ。例えば2~3億もらうとすると、これは運用するにはあんまり意味がない額なので、使っちゃう人が多いんです。やっぱり十億くらい預けないと(利回りが)年間数千万にはならないので。
島袋
ディスるのはやめてください。(笑)
宮崎
いや、例えばの話ですよ。(笑)
つまりは自分のせっかくの会社を売るわけなので、人生プランがかなり大事だと思うんです。
特にオーナー経営者の場合は、会社の売却は必ずその人の人生とセットだと思います。
たとえば「今すぐキャッシュインしたら、2~3億円あればできるこの事業をやりたい」という状態なら、売却するのはすごくいいと思うんです。そのキャッシュによって次の事業をやれるわけですから。島袋さんはそういうタイプじゃないですか。
でも一方で、この事業を一回大きくして売却したあとはのんびりしたいとか、人生をいったん安定させたいみたいな場合は、やっぱり10億以上、20~30億で売らないと達成できないんです。
そこに至る確率の問題もあります。そこに行ける確率はあるように見えて低いなら、やっぱりそれはリスクなので、そこは計算しなきゃいけない。このタイミングの良し悪しは実際金融理論で計算できます。
自分のライフプランを考えてそこから逆算してみると、選択を後悔される方が多いんですよ。「やっぱりIPOしたかったな」と後悔する人もいれば、逆に「IPOしないで売却したほうがよかったな」と考える人もいます。
なので、いろんな事情を踏まえたうえで、どれが自分の人生にとっていい選択なのか考えたほうがいいなと、いつも思いますね。
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